2015年10月15日号 Last updated on October 1, 2015
特報
 大阪のUSJが米国コムキャストのUPRグループに。

 神戸市議会、遊技型「通所介護」施設を規制。
 

海外
 「上海ディズニー」周辺の、汚染物質工場撤去に。

 北京ユニバーサルスタジオ建設で正式契約。

国内
 バンダイナムコ、インドに初のSCロケを開設。

 東京ゲームショウ、会場と入場者は最大規模に。


2015年10月15日号のニュースダイジェスト
 写真上は9月1日に発表された、「上海ディズニーランド」の「奇幻童話城堡」(シンデレラなどすべてのディズニープリンセスの集まる城)を含む、ミニチュア模型と、米国ウォルトディズニー社のボブ・アイガー会長兼CEO。下は12日に披露されたパレード用フロート。©Walt Disney


30年前の主なニュース

 米国アトランタの連邦地裁が、TVゲームのコピー品を販売した業者に、禁固5年の判決。AMショーは活発で、アイレム「バトルバード」、セガ社「スペースハリヤー」などが注目された。セガ社は東京・羽田の新本社ビル完成を披露した。(1985年10月15日号)

40年前の主なニュース

 メダルゲーム協議会は、メダルゲーム場運営基準の制定など成果を挙げ、発展的に解消。アタリジャパンは「アンチエアクラフト」、セガ社は「プントバンコ」、三共精機は「キングハンター」、こまや製作所は「ジャンプアップ」を発売した。(1975年10月15日号)



【ニユースダイジェスト】


 1.大阪のテーマパーク「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」(USJ)を運営するユー・エス・ジェイ(USJ)は、米国のケーブルTV大手のコムキャストの子会社になることが決まった。コムキャスト傘下のNBCユニバーサルを通じて、ゴールドマン・サックス(GS)など主要株主が持つ、USJの株式の51%を15億ドル(約1,820億円)で取得する内容で、コムキャストとUSJらが9月28日、大阪で合意、発表した。コムキャストはUSJの事業展開に強く関わるとともに、NBCユニバーサルとその事業部門のユニバーサル・パークス&リゾーツ(UPR)とともに、グループ全体でテーマパーク事業の世界戦略を加速するとしている。USJは2001年にテーマパークを開業、07年に東証マザーズに株式を上場したが、09年にGSが株式公開買い付け(TOB)をして、上場廃止となった。近年の業績は快調で、株式の再上場を予定していたが、再上場は来年以降にずれ込む見通しになった。グレン・ガンベル社長兼CEOはこれを機に退任、後任にUPRのCFO、ジャン・ルイ・ホニエ氏が就任する予定。11月14日続報=USJ買収手続きは11月12日に完了し、社長兼CEOも交代した。

  .神戸市議会は9月24日、パチンコや麻雀、ポーカーなどの遊技を介護予防の訓練内容とする遊技型「通所介護」(デイサービス)施設を規制するため、こうした施設の運営者を事業者に指定しないようにする条例改正案を全会一致で可決した。近く公布、施行する。①日常生活から著しく逸脱した遊技、②射幸心をあおり、依存性を強める疑似通貨(メダルなど)の使用、③賭博や風俗営業を連想させる名称や広告、を禁止するもので、違反した場合は介護保険法の趣旨に反するとして、事業所開設の段階で指定しない。すでに指定した施設が該当することになった場合、市は指導、聞き入れない場合は指定を取り消す。地方自治体が遊技型介護施設を規制するのはこれが初めて。兵庫県も同様の改正条例案を県議会に提出する方針。SC遊園ロケで長時間パチスロ遊技をしている老人がいるのは、介護保険とはまったく関係がないが、そういう客を当てに営業している業者と、今回規制されることになった業者はよく似ている、と言われても仕方がないことになる。

  .一般消費者用TVゲーム総合展「東京ゲームショウ15」(TGS、主催CESA、9月17-20日)が初めて幕張メッセの全館(展示場1-11ホール、イベントホール、国際会議場)を使い切り、過去最大の規模となって、展示会、講演、各種イベントを繰り広げた。全体では過去最大の480社(団体)(うち海外246)が出展したが、ハードウェア関係の出展はSCEのみで、任天堂、マイクロソフトは参加していない。ゲームソフトの主な出展社はセガゲームス、バンダイナムコゲームス、カプコン、スクウェア・エニックス、コナミデジタルエンタテインメントなどの常連。スマホ用などオンラインゲームではグリー、DMMなどが参加したが、ガンホーなどはしてないなど、取り組みに差があるのも事実。会期の前半はビジネスディー、後半は有料の一般公開でいずれも来場者が多かったが、これだけ多いとビジターも出展物に近寄れないまま帰らざるを得ない場合も増し、不満を抱かせることにもなりかねない。ビジネスに関係のある業者しか入場できない、という米国「E3」と比べると、どちらが業界のためになるか、検討する時期に来ている。

 .中国・上海の浦東(プートン)地区に来年上半期のオープンを目指す、「上海ディズニーリゾーツ」の「夢に点火する」フロート(パレード用山車)が9月1日、発表された。この山車は12日に開催される上海観光フェスティバルで実物を披露されたが、同リゾーツの象徴的建造物である、「奇幻童話城堡」(シンデレラなどすべてのディズニープリンセスの集まる城)を紹介するもの。またアトラクションに使用されるエネルギーをすべて電力に依存するのではなく、エネルギーを総合利用する、「セパレート型エネルギー技術」を採用することも紹介した。同リゾーツの規模は東京ディズニーリゾートとほぼ同じで、11年4月正式に着工した。一方、上海市当局は9月初め、建設中の「上海ディズニーリゾーツ」周辺にある、大気汚染物質を扱う150ヵ所の工場に対し、年末までの閉鎖・撤去を命じた。上海経済情報委員会(SEIC)はこれによって影響を受ける民間企業は、移転に伴う補償を受けることになると説明している。

 .中国・北京にテーマパーク「北京ユニバーサルスタジオ」を建設する計画は14年10月13日に米国のユニバーサル・パークス&リゾーツ社が発表、19年オープン予定に向け計画が進められているが、9月13日にニューヨークにある親会社、ケーブルTV大手のコムキャスト/NBCユニバーサル社の本社で、北京市の幹部と正式契約が結ばれた。投資総額は200億元(約4千億円)以上、ジョイントベンチャーの北京首寰(ショウファン)文化旅遊投資有限公司と米国のユニバーサル・パークス&リゾーツ社が共同で投資・建設する。北京市通州区の通州(トンゾゥ)文化観光地区の用地120ha(日本のユニバーサルスタジオの約2倍)にリゾートホテル、ショッピングエリアなどとともに建設。世界的にも最大規模のユニバーサルスタジオになる予定だ。中国の国家発展改革委員会も計画を承認している。当然ながら全体に中国の伝統、文化など中国色が盛り込まれる予定だが、詳しい計画は追って発表するとのこと。

 .中国GTIアジア展2015(8月28日-30日、広東省広州市)には延べ252社(前年は150社)が、琶洲国際展示場の約3ホールと4分1の約3万㎡(2ホールと4分の1、約2万㎡)に出展、出展規模は過去最大となった。広州市、番禺区、中山市など会場に近い地域に集中している業者が主な出展社で、これに香港、台湾などその他地域の業者が加わる形だ。規模こそ大きくなったが、展示品の多くは過去の製品で、中身は新規性の乏しいものにとどまった。ショッピングセンター(SC)の遊戯場が増加したのはプラス面だが、中国のバブル経済の行き詰まりが表面化してきており、リスクは依然として巨大と見られている。前回まで出展したバンダイナムコや精文世嘉(セガ上海)など日本勢は今回出展せず、華立(ワーラップ)がバンダイナムコエンターテインメントの「スターウォーズ・バトルポッド」、「タイムクライシス5」を、また韓国のアンダミロ社がユニットE社の音楽ゲーム「ネオンFM」を出品して、注目されたぐらいだった。

 .イオンファンタジーは9月25日、中間期(3-8月)業績予想を大幅に修正、売上高は278億6千万円(4月の前回予想では275億円)、経常利益は10億5千万円(20億円)、中間利益は5億千万円(9億円)が見込まれることになった。6月1日付でファンフィールドとの経営統合したことと、海外での売り上げ増により、売上高は前年比17%増になった。しかし国内13店、海外38店、計51店と積極的に出店したことによる一時的なコスト増と、人民元の切り下げなどによる為替差損が発生した結果、利益面で前回予想を下回る見込みになった。通期(16年2月期)の業績予想は、ファンフィールド店舗と海外事業の利益改善が見込まれるので、修正しないとしている。なお中間決算(3-8月、第2・四半期までの6ヵ月累計)は10月7日に発表される予定。

 .バンダイナムコグループは6月23日、インドに現地法人、バンダイナムコ・インディア・プライベート社を設立、同社を通じて10月にも、インド最大の都市ムンバイ市内に開設される、大型SC「オベロイモール」内にゲーム場「ナムコ・オベロイモール・ムンバイ店」をオープンすることになった、と9月25日に発表した。ゲーム場は「パックマン」の3DCGアニメ「パークワールド」をモチーフに、明るく安全・安心な日本基準の店舗として、ボールプールなどの大型キッズ遊具を導入、充実したリデムプション景品を特徴としたものにするとのこと。店舗面積は859㎡。日系企業によるインドでのゲーム場開設は初めて。現地法人は既存のバンダイナムコ・エイシア社の子会社として設立されており、今回のゲーム場開設を手始めに、アジアでのロケーション開拓を積極的に展開していくとしている。

 .任天堂は9月14日、7月に急死した岩田聡社長の後任として、銀行出身で経営統括本部長などを勤めてきた君島達己常務を16日付で昇格させるトップ人事を発表した。経営全般を見てきた君島氏を、ゲーム開発の2人の代表取締役が支える、3人代表の「トロイカ体制」で臨む構図だ。このため、ゲーム機開発の竹田玄洋専務は技術の、ゲームソフト開発の宮本茂専務はクリエイティブの、それぞれ新設ポストの「フェロー」となって、代表取締役に留まる。新社長の君島達己氏(きみしま・たつみ)は一橋大法卒、1973年4月三和銀行(現・三菱東京UFJ銀行)入行、2000年12月任天堂の開発子会社のポケモン社長、02年1月米国任天堂取締役、同6月任天堂の取締役、06年5月米国任天堂会長兼CEO、13年6月から任天堂の常務兼経営統括本部長兼総務本部長。14年6月から兼人事本部担当。東京都出身。65歳。

 10.ユニバーサルエンターテインメントは9月16日(25日に内容を一部訂正)、フィリピンの「マニラベイリゾーツ」関連の計4千万ドルを不正流出させた、とする当時の同社従業員に対する損害賠償請求訴訟を9月11日付で、請求放棄の形で終結させたと発表した。「マニラベイリゾーツ」の開発資金を調達するため私募債の引き受けを募集するのに、経営資源を集中するよう金融機関から要請されたため、というのがその理由だとしている。同社は元アルゼUSA日本支社長の飛田光男氏など4名の元従業員に対して、千5百万ドルの損害賠償と、10億円の貸付金返還に伴う損害賠償を求めて、12年8月ごろ東京地裁に提訴していたが、これらすべての訴訟は請求を「放棄」されて終了した。同社はこれらの民事訴訟と並行して名誉棄損などを理由に刑事告訴していたが、東京地検は14年12月、いずれも嫌疑不十分により不起訴となった、と同社は14年12月に明らかにしている。




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