2014年4月15号 Last updated on April 1, 2014
特報
 豪州GTAの調査によると、日本は賭博遊技機の超大国。

 S&S社「ツイストコースター」、初日に逆走のトラブル。

海外
 韓国が外資系にカジノ運営の予備的許可与える。

 サイパン島カジノ合法化なるも、許可申請のハードルは高い。
国内

 エスケイジャパンの八百博徳専務が社長に、久保氏は会長に。

 家庭用のハムスターが、ニチブツのコンテンツを取得。


2014年4月15日号のニュースダイジェスト
写真はAOU/JAMMAの第2回JAEPOで、上はセガ社の「頭文字(イニシャル)Dアーケードステージ8インフィニティ」(年内出荷予定)、下はネシカ対応のカプコン/タイトー「ウルトラストリートファイターⅣ」(4月)。



20年前の主なニュース

 カプコン対データイースト著作権侵害訴訟で、米国連邦地裁は「保護すべき表現をコピーしていない」として、カプコンの予備的禁止命令申請を却下した。メキシコ当局は、カプコンなどの製品をコピーした現地の5社を摘発した。アイレムはTVゲーム開発から撤退を決めた。(1994年4月15日号)

30年前の主なニュース

 米国・シカゴで初のASIに続き、第5回AOEが開かれた。福井県が青少年条例改正、ゲーム場に届け出制を採用。大阪府はゲーム機運営業者に自主規制を求める。データイーストは単独展で「サンダーストーム」など披露した。コナミ工業の技研ビル(豊中)が完成した。(1984年4月15日号)



【ニユースダイジェスト】

 .ユニバーサルエンターテインメントがフィリピン・マニラ湾のカジノリゾート、「マニラベイリゾーツ」の開発・運営をするため資本提携したセンチュリー・プロパティーズグループは、3月26日にユニバーサル側から提携解消の通知を受けたと27日に発表、ユニバーサルはその事実を否定していないが、まだ発表もしていない。現地報道機関が一斉に報じたところによると、ユニバーサルは土地保有子会社のイーグル1などを通じ、13年10月にセンチュリー社と資本提携したが、その後ユニバーサルが条件を変更、商業施設と居住施設の独占権をセンチュリー社から取り込もうとして失敗し、その結果提携解消を通知したもの。センチュリー社は提訴を含む法的対応を検討中としている。フィリピンの法律では、外国企業は土地を40%以上所有できないし、カジノ監督機関の「PAGCOR」もカジノ許可を与えることができない。そのためユニバーサルは現地資本との資本提携を模索してきたが、これまでロビンソンズ社、エムパイア社とはいずれも交渉が打ち切られている。

 .韓国が外資系企業に初めてカジノ運営の予備的許可を与えた。複数の現地報道によると、韓国の文化体育観光部は3月18日、外資系の「LOCZコリア社」が申請していたインチョン(仁川)国際空港にあるヨンジョンド(永宗島)に外人向けカジノを建設・運営する計画に対し、審査の結果、予備的許可を与えた。LOCZコリア社は米国ラスベガスを拠点とするカジノ運営大手のシーザーズ・エンタテインメント社と、インドネシア華僑系財閥のリッポーグループの合弁会社で、13年6月に事前審査で不適合と判定されたが、計画を修正して認められた。ただし18年1月までに本許可を取得しなければならない。同社は7,467億ウォン(約712億円)を投じ、18年までにカジノ、ホテル、ショッピングモールを建設、23年までに複合リゾートを完成させる予定。完成すれば、韓国で最大の外人専用カジノとなる。永宗島では韓国最大手カジノ会社のパラダイスグループが、17年完成を目標にカジノリゾートを建設中で、このほか海外の3、4社も進出を計画中とされている。

 .オーストラリアの賭博機メーカー協会である、ゲーミングテクノロジーズアソシエーション(GTA)が例年3月に発表している調査結果によると、各国内で設置されている合法的ギャンブル機は13年度、2位の米国88万9千台を大きく離して、日本が458万台で世界のトップ, 3位はイタリア41万台になることが分かった。過去8年間、国別では日本が1位、米国が2位、イタリアが3位(08年だけロシアが3位)となっており、日本が賭博遊技の超大国になっていることを、この調査では裏付けていることになる。90年設立のGTAが99年度調査以来毎年発表しているもので、その「合法ギャンブル機の定義」によるため、こんな数字となっている。この調査で対象となるギャンブル機は「ゲーム・オブ・チャンス」が含まれていて、遊技の結果(直接間接を問わず)金品が払い出されるもので、エレメカ式のギャンブル機はもちろん、TVギャンブル機や米国のビデオラッタリーターミナル(VLT)、欧州のAWP機、日本のパチンコ/パチスロ遊技機、ルーレットなど電子テーブル台が含まれている。

 .米国の自治領である北マリアナ諸島連邦のサイパン島カジノ導入法案は3月21日、エロア・イノス知事が署名したことにより成立した。同連邦でカジノが合法なのはテニアン島(「ダイナスティ」が有名)、合法だが渡航が不便でカジノが定着しないロタ島(従ってロタ島にはカジノはない)、今まで違法だったが合法になったのがサイパン島ということになる。サイパン島でカジノ運営の許可を申請するためには、25年の許可期間(25年間以外はなく、40年間まで延長可能)について3千万ドルの前払い金と、毎年千5百万ドルを支払うという条件(40年間の場合これだけで6億ドルになる)を承諾する必要がある。それだけではなく、少なくとも2千室の客室を備えるホテルと関連施設に、20億ドル投資しなければならない。これだけすれば、議会でカジノ導入を求めてきた推進派議員が主張してきた、25%の未支給年金問題と、赤字経営になっている健康保険制度を、カジノで吸い上げた、賭博客からのあぶく銭により支えることができる、という見通しが初めて実現することになる。

 .セガ社の業務用欧州子会社は北米と欧州を担当しているが、セガ社に統合する前の米国サミーによるヒット作、景品獲得ゲームの「キーマスター」が米国で集団訴訟の対象になり、注目されている。原告は、ニューヨーク州に住むスチュワート・ブラウン氏とロサンゼルスに住むイェール・ケンペ氏で、どちらも「ウルフ」で始まる長い名の法律事務所が昨年米国の東西でそれぞれ提訴した。「キーマスター」は料金を投入し、縦と横の位置を二つのボタンで指定、奥に進むキーが合って鍵を開ければプライズが出るというゲーム機だが、原告によると、著しく上手なプレイヤーが操作しても、プレイ料金の合計が所定の金額に達していないと、プライズが出ないよう設計されている、として機械とそれを売ったメーカーなどの責任を問うとしている。しかも原告らは、プライズを出しすぎないよう説明するオペレーター向け説明書などがネット上で公開されている事実まで指摘したとのこと。これに対し、セガ欧州子会社のポール・ウィリアムズ社長は、進行中の訴訟についてコメントできないとしている。

 .日本初のS&Sワールドワイド社製絶叫型ローラーコースター、「ツイストコースターロビン」がよみうりランド(東京都稲城市)で完成、3月19日に営業運転を開始したところ、4人乗りの車両がコースをスタートして午後0時40分過ぎに、5メートルの地点で逆走、次に控えていた無人車両に衝突する事故が起こった。けが人はなかった。神奈川県警多摩署が調べており、よみうりランドは原因が究明されるまで営業運転は中止すると説明している。よみうりランドの「ツイストコースターロビン」(メーカーの機種名は「エル・ロコ」)はコマドリが空を飛ぶ感覚を味わえる、という趣旨で導入された。コース全長313m、最高速度毎時62km、一周1分10秒で、スタートしてすぐ上り詰めた後、真下方向に「93度の落下」を体験、次に「360度スパイラル」、「180度のハーフスパイラル+ループ」から成る「ツイストダイブ」、「逆カントカーブ」が味わえるとしている。メーカーのS&Sワールドワイド社は、三精テクノロジーズの米国子会社。

 .米国マイクロソフト(MS)社は3月18日、次世代家庭用TVゲーム機「Xbox One」(エックスボックスワン)を日本では9月に発売すると発表した。「Xbox One」は13年5月米国で開発を発表、米大陸、欧州、豪州の13ヵ国で499ドル・499ユーロ・423ポンドの価格で発売、昨年末までに390万台を販売したが、日本を含めた市場での発売はずっと未定だった。日本と同時発売になるのはインド、韓国、ロシア、サウジアラビアなど25か国で、販売価格などは4月下旬にも明らかになるもよう。ライバルのソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)は「プレイステーション4」(PS4)を11月に北米・欧州・中南米で発売、日本でも2月22日に発売し、3月2日までに57ヵ国で600万台以上(うち日本は37万台)販売したとしている。「Xbox One」はこれまでの「Xbox」シリーズと比べ、機能アップは当然として、スマートフォンやクラウドコンピューティングなどとのミットワーク対応を強化したとされている。

 .㈱ハムスター(本社東京、浜田倫社長)が、業務用TVゲーム機メーカーだった日本物産㈱(ニチブツ、本社大阪、鳥居末治社長、創業70年、設立72年)が開発したビデオゲームの権利をまとめて取得したことが分かった。ハムスターが3月14日に発表したが、取得金額などは明らかではない。ハムスターは撤退した東芝EMIのゲームスタッフが99年11月に設立した家庭用ゲームソフトメーカーで、00年以後SCE・任天堂・MS社のコンソール用ゲームソフトを開発しており、業務用はAMIが販売した「すくすく犬福2もっとすくすく」(07年3月)のみ。これまでにも単発で日物のゲームを家庭用などに許諾開発したことがあるが、今回ニチブツが所有する400タイトル以上のコンテンツを一括して取得、継承していくことにした。この中には、2本のレバーを操作してビルをよじ登る「クレイジークライマー」(80年)といった画期的なヒット作も含まれている。ニチブツ自体は、07年以来業務用TVゲームの開発から撤退しており、大阪・天神橋の日物ビルを引き払ってからもずいぶんになる。

 .エスケイジャパンは3月24日にトップの異動を発表、4月1日付で久保敏志社長は取締役に、八百博徳専務が社長に昇格することになった。会長職を新設するため、5月24日の株主総会で定款を一部改正するとしており、その手続きを経て、久保氏は代表権のない会長に就任する予定。新社長となる八百博徳氏(やお・ひろのり)は80年に長崎県立五島高卒、82年銀座商事入社、91年エスケイジャパン入社、92年常務、13年9月から専務。長崎県出身。52歳。14年4月12日続報=エスケイジャパンは4月11日、14年3月期業績予想を売上高70億2千万円(10月の前回予想は6億7千万円)、経常損失1億6千5百万円(1億円)、最終損失1億7千8百万円(1億千8百万円)に、赤字幅を広げる大幅下方修正を明らかにした。一方、マーベラスAQLは3月20日、社名を7月1日付で「マーベラス」に変更、社名ロゴも変更すると発表した。このため定款の一部変更の手続きを始め、6月に開く株主総会の承認を得て変更する。



 ◎ 業界紙「ゲームマシン」は1974年以来、TVゲーム機を含む業務用アミューズメントマシン、遊園施設などに関する業界ニュースを、月2回のペースで伝えてきましたが、印刷媒体は2002年6月一杯で休刊しました。Copyright ©Amusement Press Inc. 2014