2013年12月15号 Last updated on December 1, 2013
特報
 国際赤十字、TVゲームで国際人道法の順守求める声明。

 米国ネバダ州に続き、NJ州でオンラインカジノ実施。
海外
 メキシコ政府、スロットマシンを全面禁止に。

 米国ディズニー社の9月決算、遊園地部門極めて堅調。
国内

 セガ社、サンリオ株の一部売却で特別利益100億円計上。

 SCE「PS4」を米欧で発売。MSは「Xboxワン」。


2013年12月15日号のニュースダイジェスト
写真はアジアン・アトラクション・エキスポ(AAE)13にて、上は中国・上海のエレクトロニック・オーディオビジュアル・テクノロジーズ社の小間で紹介された球形の表示装置「パッファースフィア」(英国パッファーフィッシュ社製)。球形の映像を手元のタブレット端末で操作する。地球など天体の描写に優れている。下はUAE・ドバイのショータイム・エンタテインメント・プロダクション社(SEP)の小間をはみだして、来場者に話しかけ握手もする「インタラクティブ・ロボット」で、相手に合わせてBGMまで流したりする。受注品。


20年前の主なニュース

 データイーストはカプコンの訴えに対し、東京地裁に反訴を提出した。埼玉県警は、SNK「餓狼伝説2」のキャラクターカードを無断製造した、千葉のコピーヤーを逮捕した。ナムコはソニーが開発中の家庭用TVゲームコンソールで提携した。コナミは名古屋支店を開設した。(1993年12月15日号)

30年前の主なニュース

 大蔵省はAM機への物品税課税の検討を開始した。警視庁はゲーム場運営業者に自主規制強化を求めた。辰巳電子は「TX-1」の販売権を米国アタリ社とタイトーに認めた。コナミは米国センチュリー社に資本参加した。米国で摘発されたナサ・トレーディングが不渡り、倒産した。(1983年12月15日号)



【ニユースダイジェスト】  

 .プレイヤーが武器を持った兵士として敵陣に入り、敵の攻撃をかわしながら敵を銃撃するという「ファースト・パーソン・シューター」(FPS)が、リアルさを売り物にした家庭用TVゲームなどで近年特に好まれていることに対し、赤十字国際委員会(ICRC、本部ジュネーブ)が、実際の戦争と同様、市民への攻撃などを禁じた国際人道法を順守するよう求める声明を出していることが分かった。ICRCは9月27日、「国際人道法とビデオゲーム」と題する声明(英文)を発表、日本赤十字社は10月29日、その日本語版の「戦争のリアリティーを追及したゲームに関するQ&A」をウェッブサイトに掲載した。ICRCは宇宙戦争や歴史をさかのぼった戦い、ファンタジー感のある架空のゲームは問題にしていない。戦場にいる人間ならだれを殺害してもいいというような、国際人道法を犯すゲームをリアルに作ることが問題であり、そのことを十分配慮すべきだとしている。

 .米国ウォルトディズニー社は11月7日、第4・四半期(7-9月)を発表、売上高は前年同期比7%増の107億8千2百万ドル、純利益は12%増の12億4千4百万ドルと順調だった。部門別でメディアネットワーク(テレビ)の売上高は1%増の48億ドル、営業利益は8%減の15億ドル、パーク&リゾーツの売上高は8%増の34億ドル、営業利益は15%増の4億ドル、スタジオエンタテインメント(映画)の売上高は7%増の14億ドル、営業利益は35%増の8千万ドルなどとなっている。同時に2013年次決算(12年10月-13年9月)も発表、売上高は7%増の422億7千8百万ドル、純利益は8%増の56億8千2百万ドルと極めて堅調な発展ぶりを示した。うちパークス&リゾーツの売上高は9%増の129億ドル、営業利益は17%増の19億ドルだった。米国決算で四半期決算というと、年4回ある四半期ごとの決算を指し、同時に2-4回の累計を発表するのに対し、日本では後者の累計のみに重点を置くという違いがある。

 .米国の一部地域でインターネットを通じた「オンラインカジノ」の実施が、開始されているが、アトランチックシティーにカジノホテルが多数ある、東海岸のニュージャージー州では11月26日に本格的に実施された。06年以来全米で明らかに違法営業とされてきたオンラインカジノは、11年末に連邦法の解釈変更により事実上解禁され、12年から州単位で合法化が進められ、13年2月にネバダ州、デラウェア州に続きニュージャージー州でも合法化され、実施に向け許可手続きを含む準備が整えられてきた。オンラインカジノの仕組みは、普通お金を使わない無料プレーで遊ぶことも可能だが、そうではなく(21歳以上の)客がクレジットカードなどを使って「リアルマネー」を賭け、スロットマシンやルーレット、ポーカーなどの遊技をして勝った場合、銀行口座などに払い込まれるもので、24時間営業する。賭客が負けた場合はカジノ側が賭金を没収、その数パーセントが州税として徴収されるというもの。カジノ側の資格などは厳しく規制されている。

 .メキシコ政府は10月24日、1947年制定の賭博に関する連邦法の一部を改正、スロットマシンの全面禁止と、カジノ許可保持者が第三者へ許可を貸出・譲渡することの禁止を明らかにした。スロットマシンはメキシコで「硬貨を飲み込む機械」という意味で使われるほど、賭博とのつながりが強い。ドライブゲームなどの硬貨作動式TVゲームや移動遊園地のゲーム機などは、賭博要素がないため放任されているが、ここ数年賭博用のスロットマシンが公道にまではびこってきたため、国会の特別委員会の審議を経て、エンリケ・ペーニャ・ニエト大統領が法令を交付、施行した。許可制のカジノは(ビンゴパーラーその他ギャンブリングセンターの形で)あるにはあるが、ここでもカジノ許可をめぐるスキャンダルが繰り返されたことから、ライセンス期間は最長25年(改正前は40年)と規制を強化した。このほか運営者がする広告で、年少者がスロットマシンなどで遊べないことを明示することなども決めている。

 .サンリオは11月15日、筆頭株主(セガサミーHD)と創業家の資産管理会社(光南商事と清川商事)が保有してきた合計574万株(発行済み株式の6.4%)を投資家に売り出すと発表。セガサミーも同日、サンリオの決定に沿って、保有するサンリオ株式の一部287万株を売り出すことを明らかにした。その後引受金額が1株4,371円と決定され、セガサミーが受け取る売却総額は約125億円となり、うち100億円を第3・四半期に特別利益に計上する見込みになった、と25日に発表した。サンリオが株式売り出しの実施を決めた理由は、主な事業が個人を対象としており、「ハローキティ」を始めとするキャラクターを通じて、仲良く助け合って生きていくことの大切さを世界中に広めるところにあり、そのために株式の流動性を改善し、個人投資家の持株比率を高める必要があるというもの。セガサミーのサンリオにおける議決権は14.0%から10.数パーセントに下がる見込みになっている。

 .ユニバーサルエンターテインメントは11月1日、不動産子会社であるイーグル1ランドホールディングスを通じて、フィリピンのセンチュリー・プロパティ・グループ社並びにファースト・パラマウントHDに対して、イーグル1の計7億2千万株の議決権付き優先株を発行する契約を結んだと発表した。これにより土地保有について外資ではなくフィリピンの企業等が60%以上所有しておかねばならない、との規定を満たすことになったもようである。またユニバーサルがマニラで建設中の「マニラベイリゾーツ」(44ha)のうち、住宅とショッピングセンター(5ha)の開発契約をセンチュリー社と結ぶことでも合意した。ユニバーサル側はカジノホテル開発について12年7月、ロビンソンズランド社との提携をめざしたが合意に至らなかった。センチュリー社などとはこのほど提携するもようだが、提携先の有力候補と見られていたエムパイア・イーストランドHDは11月4日、ユニバーサルとの提携案を打ち切ったと発表している。

 .家庭用TVゲームの次世代機がソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)、米国マイクロソフト社(MS)からまず北米向けに発売された。SCE「プレイステーション4」(PS4)は11月15日、北米向けに基本コンソールが399ドルで発売され、初日で100万台以上販売したと発表した。続いて11月29日から欧州、そして中南米でも発売されるが、日本では日本市場向けゲームソフトが揃う来年2月になるとされている。SCEでは7年ぶりの新コンソールとなる「PS4」を、14年3月までに世界で500万台の出荷を見込んでいる。一方、MS「XboxOne」(エックスボックスワン)は11月22日、北米、欧州、南米の13ヵ国向けに基本コンソールが、「PS4」より100ドル高い499ドルで発売され、これも100万台以上の販売台数になったとされている。しかしながら、MS社の家庭用コンソールの普及が低調な日本では、発売は14年中としか予定が決まっていない。

 .北陸高岡の古参オペレーター会社、㈱日高商会(富山県高岡市下関町、高畑広宣代表)が自己破産を申請、富山地裁は10月25日、破産手続き開始を決定した。故高畑吉秀氏が64年6月に創業、69年6月に設立し、高岡駅ビルの屋上遊園地などを運営していた。2月18日に報告集会が開かれる予定。また東京のオペレーター会社、アルバ㈱(東京都世田谷区赤堤、阿部仁代表)が自己破産を申請、東京地裁は10月23日、破産手続き開始を決定した。1月31日に報告集会が開かれる予定。詳細は不明だが、負債は10億円と推定されている。


 ◎ 業界紙「ゲームマシン」は1974年以来、TVゲーム機を含む業務用アミューズメントマシン、遊園施設などに関する業界ニュースを、月2回のペースで伝えてきましたが、印刷媒体は2002年6月一杯で休刊しました。Copyright ©Amusement Press Inc. 2013