2013年8月15日号 Last updated on August 1, 2013
特報
 セガ社第1・四半期は遊技機が好調で大幅増益、カプコンは大幅減益。

 オリエンタルランドは絶好調で開業30周年をスタート。

海外
 フィリピン司法省、反ダミー法違反でユニバーサルの起訴を勧告。

 中国政府、家庭用TVゲーム機の販売解禁か。

国内

 高額景品の空くじ露店、詐欺罪で摘発される。

 カプコン格闘ゲームが「ネシカ」で来年にも戻ってくる。


2013年8月15日号のニュースダイジェスト
写真はGTI2013台北にて、上は台湾IGS社の小間で42インチ画面のTVドライブゲーム「オーバーテイク」(火線狂飆)、下はセガ台湾の小間で中国ワーラップ社(華立)のTVドライブゲーム「ストームレーサー(雷動)MT」(左)と「KOドライブ」(右)を試しているようす。


20年前の主なニュース

 米国ニューヨーク市警が一斉摘発して45人を逮捕、コピー基板とギャンブル機、賭金を大量に押収した。旭精工のホッパーを偽造した台湾の上陽工業が摘発され、謝罪した。景品提供機問題でJAMMA、AOUが緊急役員会を開いた。タナカ製作所/産升が不渡りを出し倒産した。(1993年8月15日号)

30年前の主なニュース

 家庭用TVゲームの不振で、米国アタリ社のカサール会長が更迭され、モーガン氏が会長に就任した。中村雅哉JAMMA会長が、通産省の産業構造審議会の小委員会でソフトウェア保護を訴えた。AMショー(9月、TRC)に63社が出展する予定だ。オルカが不渡りを出し倒産した。(1983年8月15日号)



【ニユースダイジェスト】

 .オリエンタルランド(OLC)は7月30日、第1・四半期(4-6月期)決算を発表、売上高は22%増の1,070億6千2百万円、経常利益は55%増の260億6千3百万円、純利益は40%増の162億7千6百万円と絶好調だった。事業別でテーマパークの売上高は21%増の881億円、営業利益は52%増の221億円、ホテルの売上高は35%増の148億円、営業利益は50%増の33億円、その他(イクスピアリ、モノレールなど)の売上高は6%増の40億円、営業利益は3億円(前年同期は2百万円の赤字)だった。東京ディズニーリゾート(TDR)開業30周年イベントなどにより全体の入園者数、入園者1人当たりの売上高、客室利用率のすべてが上昇し、売上高、営業利益ともに過去最高になった。しかしながら、第2・四半期までの中間期および通期の業績予想は、天候リスクなどを踏まえ据え置くことにした。

 .セガサミーHDは7月31日、第1・四半期(4-6月期)決算を発表、売上高は30%増の907億千5百万円、経常利益は264%増の170億4千4百万円、純利益は409%増の129億4千7百万円と大幅な増収増益だった。固定資産売却益など特別利益33億円を計上した。パチンコ・パチスロなど射幸遊技機の売上高は54%増の518億円、営業利益が139%増の187億円、業務用AM機器の売上高は15%減の76億円、営業損失は4億円(前年同期は2億円の利益)、ゲーム場の売上高は0.1%増の100億円、営業損失は9千万円(4億円の利益)、家庭用(スマートフォン用、PC用などを含む)の売上高は25%増の188億円、営業利益は3千万円(15億円の損失)。ゲーム場(今期から国内直営店のみをカウントする)は1店増、2店減で201店舗になった。海外は2店のみ。なお通期の業績予想は変更しなかった。

 .カプコンは7月31日、第1・四半期(4-6月期)決算を発表、売上高は6%減の174億5千7百万円、経常利益は48%減の11億5千百万円、純利益は37%減の8億2千8百万円と減収で大幅減益となった。部門別では、デジタルコンテンツ(家庭用、オンラインゲーム、モバイル用)の売上高が9%減の124億円、営業利益が82%減の4億円、機器販売(パチスロ用部材、業務用製品)の売上高は19%増の20億円、営業利益は5%減の6億円、ゲーム場運営の売上高は4%減の24億円、営業利益は5%減の3億円、その他の売上高は20%減の4億円、営業利益は3%減の2億円。ゲーム場は1店増えて35店舗になった。ゲーム場分野はけん引機種の不足、競合娯楽との競争激化に、天候不順が重なり客足が伸び悩んだとしている。なお通期の業績予想は変更しなかった。

 .イオンファンタジーは7月29日、中国国内での「室内ゆうえんち事業」を急速に拡大している子会社、「イオンファンタジー北京」の社名をこの日から、「イオンファンタジー中国」(永旺幻想中国児童遊楽有限公司、本社北京)に変更したと発表した。中国での同社の店舗数は3月末現在11店だったが、5月に7店、6月に2店、7月に3店オープンしており、さらに8月に5店のオープンを予定しており、今期(13年1-12月)中に計25店をオープンし、中国全体で前年の3倍以上の36店になる予定。ロケーションも従来の北京を中心としたものでなく、中国各地(東北、華北、華東、華南)に重点を置く多店舗展開へとシフトしていることから、社名変更することを決め、中国当局(北京市工商行政管理局)の認可を得たもの。また他の海外子会社はマレーシアで今期15店、タイで10店程度オープンする予定。

 .中国は2000年6月から禁止している家庭用TVゲーム機の販売解禁に向けて動き出すもようだと、香港の「サウスチャイナ・モーニングポスト」(南華早報)が7月10日報じて以来、任天堂、SCE、米国マイクロソフト社などのメーカーに巨大市場が開かれるかもしれないとの観測が広がっている。これは中国文化部を含む政府7部の共同通達により家庭用と業務用のTVゲーム機の輸入販売を禁止してきたが、家庭用本体(コンソール)は闇市場で以前から入手可能であり、販売禁止が現実とかけ離れてきたのを是正する狙いがある、と見られている。ゲームソフトについては、いわゆる「ガンコン」があればネット上からコピー品が入手可能で、野放し状態でこれも大変な問題。中国政府の発表はないが、観測筋では家庭用とゲームソフトの輸入販売を認める方向で文化部など政府7部が意思統一し、まず上海の自由貿易試験区で販売を認め、次に解禁する地域を段階的に広げるのではないか、と見られている。

 .フィリピンの捜査当局は7月15日、マニラのカジノ用地買収のためダミー会社を使った疑いで、ユニバーサルエンターテインメントの岡田和生会長を含む26名を、反ダミー法違反で刑事訴追するよう勧告したことが分かった。フィリピンの司法省(DOJ)と国家捜査局(NBI)の調査委員会が発表したもので、26名(個人と法人)の内訳は日本人9名、フィリピン人17名。フィリピンでは外国企業は国内企業を40%以上所有できないが、ユニバーサルの米国子会社アルゼUSA社が、ユニバーサルのカジノ用地を保有する「イーグル・ワン社」の64%を保有しており、外国人の企業活動を制限する反ダミー法に違反することになる。ユニバーサルはそういう事態にならないよう、不動産会社のロビンソンズランド社と交渉を進めてきたが、5月下旬に交渉は決裂した。そのため7月10日にエンパイア・イーストランドHD社との交渉を開始した。なお約4,000万ドルの贈賄疑惑について、捜査当局は勧告するだけの十分な証拠は発見できなかったとしている。

 .ドイツ連邦議会はこのほど遊技機運営に関する新規制をまとめ、連邦政府の承認を受けることになったが、まだ完全に決まったわけではない。ドイツは16の州(ベルリンなどの都市州を含む)から構成され、遊技機運営は州の規則によって規制されるが、その規制内容は連邦議会と政府で調整されており、射幸遊技に批判的な州政府側と業者側の間で議論が続けられてきた。遊技客が負けるのは時間当たり60ユーロ以下に制限される、最高払い出しは400ユーロまで(ただしジャックポットは別)、そしてパブ1ヵ所に設置できる射幸遊技機は2台以下、飲食が本業でない営業所では設置禁止、というのが州政府側の最終的な提案内容。後のほうの制限は、近年急増している「カフェカジノ」に対処するもので、特にベルリンなどでは射幸遊技機を何台も設置し、その結果射幸遊技場が増えてきている点について、遊技業界側は明確に「カフェカジノ」を禁止し、正規の遊技場やパブを強化するよう求めている。

 .露店の客が高額景品を狙って1回300円(2回500円)のくじに、1万円注ぎ込んで引いても当たりが出てこないのはおかしいと警察に相談したら、この露店営業は詐欺罪に問われることが分かった、という事件が大阪府下であった。府警阿倍野署は7月29日までに、露店を運営する毛利川強容疑者(40)を詐欺容疑で逮捕したと発表した。調べによると、同容疑者は27-28日、大阪市阿倍野区にある安部王子神社で開かれた夏祭りで、当たりのないくじ引き(空くじ)の露店を営業し、男女3人から計1万4千円をだまし取った疑い。一枚のくじに1から100番までの数字が振ってあり、55番以上なら「PS3」や「WiiU」、「iPad」などが当たるとうたっていたが、実際は54番以下の「外れ」しか入っていなかった。27日に1万円以上注ぎ込んだ客がいて府警に相談、翌日警察が露店を捜索し、残る340枚のくじを調べて判明した。容疑者は1日10万円売り上げたと語り、容疑を認めている。

 .カプコンは「ストリートファイター」シリーズの最新作「ウルトラストリートファイターⅣ」の業務用版(アーケード版)を、タイトーのTVゲーム配信システム「ネシカクロスライブ」用として供給することになった。タイトーとカプコンが連名で7月18日に発表した。ネット配信と課金制によるゲーム供給が10年12月、タイトーにより(続いて別にセガ社なども)発足して以来、伝統的な基板タイプのTVゲームが途絶えており、カプコンでも「スーパーストリートファイターⅣアーケードエディション」(10年12月)以後基板タイプは出荷されていないが、形を変えて継続されることになったもの。ただしアーケード版では家庭用にはない、「ネシカ」(共通カード)に対応、ゲームのデータを保存できるようにする予定。カプコンは家庭用「ウルトラストリートファイターⅣ」(PS3用、Xbox360用)の14年発売に伴いアーケード版を供給する予定だが、その時期は未定。

 10.サンリオは大幅にリニューアルした「サンリオピューロランド」を、7月20日に再オープンした。旧「キティズハウス」などのあった区画を「サンリオタウン」(約4,000㎡)として新たに開発したもので、キティの家を体験できるアトラクション「レディキティハウス」、ライドアトラクション「~マイメロディ&クロミ~マイメロードドライブ」、ウォークスルーアトラクション「~キキ&ララ~トゥインクリングツアー」の三つのアトラクションとレストランにより構成され、またサンリオキャラクターの歴史をたどることのできる「いちご新聞ミュージアム」を含むイベントスペース「ストロベリーホール」もある。サンリオが90年12月にオープンして以来、初めての大幅リニューアルとなるもので、15億円投資した。12年度年間入園者数は115万人まで落ち込んだが、リニューアルにより今年度は30%増の150万人を見込んでいる。入場券、アトラクション券とパスポートの併用制。



 ◎ 業界紙「ゲームマシン」は1974年以来、TVゲーム機を含む業務用アミューズメントマシン、遊園施設などに関する業界ニュースを、月2回のペースで伝えてきましたが、印刷媒体は2002年6月一杯で休刊しました。Copyright ©Amusement Press Inc. 2013