2013年2月15日号 Last updated on February 1, 2013
特報
 オリエンタルランドの4−12月期、過去最高益に。

 任天堂は営業赤字だが、外国為替が好転し、大幅な経常利益。

海外
 家庭用の米国アタリ社がチャプターイレブンの適用を申請した。

 米国、小学校の銃乱射事件に関連してゲームの影響調査も。

国内

 スクエニが「ガンスリンガー」の東京ゲーム大会を開催。

 警視庁と福岡県警、「金スロ」遊技場を風営法違反で送検。


2013年2月15日号のニュースダイジェスト
写真上はAOU近畿地区協の新年会で(左から)タイトーの小島理一(みちかず)AM事業管掌常務、セガ社の山下滋常務兼国内リージョン統括本部長、ナムコの橘正裕社長兼バンダイナムコHD取締役、下は近畿地区協と大阪府協会(OAO)の合同忘年会の出席者。


20年前の主なニュース

 ティム・ディズニー氏が戦闘ゲーム「バトルテックセンター」を開発した米国VWE社を買収した。松下興産は和歌山市に独自のテーマパーク「ポルトヨーロッパ」の建設を開始した。AOUエキスポ93は幕張メッセの2ホールで、59社が962小間に出展することになった。(1993年2月15日号)

30年前の主なニュース

 大阪府警はTVゲーム「ドンキーコングジュニア」のコピー基板を製造販売した疑いでファルコンの井上治雄社長らを逮捕した。東京都はNAOに対し、ゲーム場での青少年非行防止のための自主規制の強化を要請した。ナムコは新作展でTVゲーム「ゼビウス」を紹介した。(1983年2月15日号)



【ニユースダイジェスト】

 .オリエンタルランドは1月30日、第3・四半期までの4−12月期決算を発表、売上高は前年同期比13%増の3,051億円、経常利益は29%増の733億円、純利益は73%増の468億円と、4−12月期としては過去最高益となった。相次ぐ新アトラクションの導入や季節ごとのイベント開催により強力な集客力を発揮し、東京ディズニーランドと東京ディズニーシーの入園者数が前年同期を上回るペースで移行、1人当たり売上高も好調に伸びてきている。部門別でテーマパークの売上高は14%増の2,548億円、営業利益は26%増の615億円、ホテルの売上高は24%増の376億円、営業利益は47%増の106億円、その他の売上高は20%減の125億円、営業利益は39%増の10億円だった。テーマパーク事業は好調で、会社全体の営業利益もすでに通期予想の97%を達成しているが、天候リスクなどを考慮して現時点では通期業績予想を据え置くとしている。

 .任天堂は1月30日、第3・四半期までの4−12月期連結決算を発表、売上高は2%減の5,430億円、経常利益は227億円(前年同期は660億円の赤字)、純利益は145億円(483億円の赤字)と一転して黒字回復した。12月に「Wii U」を順調に発売したものの、ゲームソフトが遅れたため、営業損益は2年連続赤字になった。経常黒字になったのは、海外売上高が66%もあって、外国為替相場が年末に円安に転じたため、前年同期に537億円あった為替差損がなくなり、逆に為替差益が222億円発生したことによる。このためドルのレートは90円、ユーロは120円にそれぞれ見直し、13年3月期の業績予想を売上高6,700億円(10月の前回予想では8,100億円)、経常利益200億円(100億円)、最終利益140億円(60億円)と上方修正した。売上高は前回予想を下回るが前年実績の2%減にとどまり、利益面は大きく改善され、最終損益は前年432億円の赤字から黒字回復する見込みとなった。

 .欧州最大のAMゲーム機総合展、英国EAG(1月22−24日)の開催を前に米欧では大手メーカーから活発にニュースレリースが出されている。ナムコアメリカ社は、先日の米国IAAPA12でIAAPA賞を受賞した、2人用立体ホラーガンゲーム「ダークエスケープ4D」(日本では7月発売)は、注文が殺到して品切れとなり、3月にも追加出荷することになったと発表した。米欧市場を統括している英国セガ・アミューズメンツヨーロッパ社は、IAAPAエキスポ12で披露した、可動座席に乗ってさまざまな戦いの旅を満喫する、2人用ガンゲーム「ドリームレイダーズ」を米国向けに出荷する段階に入ったと発表した。また中国・広東省中山(チョンシャン)を拠点とするUNIS(世宇科技、ユニバーサルスペースビデオ)は、米国市場で同社製品の保守サービスをするためテキサス州ダラスにUNISUSAのパーツ&サービスセンターを開設したことを明らかにした。

 .米国コネティカット州ニュータウンの小学校で12月14日に起こった悲惨な銃乱射事件を受け、全米で銃規制の厳格化、規制強化が進むなか、バラク・オバマ大統領は1月16日に銃規制の強化のための大統領令を発表、その中で、暴力的なTVゲームが子どもたちに与える影響についても調査するよう求めた。これに対し家庭用ゲームソフトメーカーの業者団体のESAは、銃暴力に関する話し合いを歓迎するとしながら、同様の娯楽環境にある世界各国と比べ米国では突出して銃暴力が多い理由を調査する必要がある、とのコメントを出した。業務用メーカーの団体であるAAMAは、業務用より家庭用ゲームの方がより過激な銃撃を行なうなどの内容が多く、しかも大量に出回っているなどの差はあるが、10年以上前からレイティングシステムを導入し、影響が出ないよう努力していると説明、銃暴力に関する話し合いを支持するとコメントしている。

 .家庭用TVゲームソフト開発で知られる米国アタリ社はアタリインタラクティブ社など姉妹関係にある3社とともに1月21日、連邦破産法11条(チャプターイレブン)の適用をニューヨーク州南部の破産裁判所に申請したと発表した。これはフランスのリオンに本社を置く親会社、アタリSA(旧イ(ア)ンフォグラム・エンタテインメント社)から経営を切り離し、業務を停止することなく、独自に開発費用を調達、モバイルゲームメーカーとして再建を図るため、共同管理を申請するもので、120日以内に新たな買い手を見つけたいとしている。「アタリ」ブランドと「ポン」など200以上の有名なゲームタイトルは保全される見込み。アタリSAは2000年にアタリ社に出資、08年に残りの株式を取得して完全子会社にしたが、アタリSA自体が1999年以降ずっと赤字で、昨年12月に深刻な資金難を露呈していた。

 .セガ社は1月25日、カナダのパソコン(PC)用ゲームソフト開発スタジオ、「レリック・エンタテインメント」(本社バンクーバー)とその開発タイトルを、24日に約23億円で取得したと発表した。レリックスタジオは97年に設立、00年に米国家庭用大手のTHQ社に買収され、THQ社の子会社であるTHQカナダ社として戦争ゲーム「ウォーハンマー40,000」、「カンパニー・オブ・ヒーローズ」シリーズなどのヒット作を開発してきた。セガ社は米国THQ社から、これらのタイトルとともにTHQカナダ社を買い取ったと説明している。THQ社は89年設立の玩具メーカー(社名はトイ本部を意味する)だが、94年ゲームソフトメーカーに転じ、M&A(企業の吸収合併)を繰り返して業績を拡大してきたが、07年をピークに業績を下げ始め、12年5月期に巨額の赤字を出し、12月19日に破産法チャプターイレブンを申請、子会社の処分などを進めている。

 .ユニバーサルエンターテインメントの岡田和生会長は1月24日、米国ウィンリゾーツ社(本社ラスベガス、スティーブン・ウィン会長兼CEO)が、同社役員メンバーから岡田氏を解任するため、2月22日に予定している臨時株主総会の開催差し止めを求めて連邦地裁に提訴したことが分かった。ワシントンポスト紙などが26日に報じたもので、岡田氏はウィンリゾーツ社役員としての身分を守るためネバダ州裁判所に提訴していたが、1月15日に却下され、連邦地裁に改めて出した。ウィン氏と岡田氏はラスベガスとマカオのカジノ「ウィン」と「アンコール」開設では親密に協力してきたが、東南アジアでのカジノ開発を巡り12年初頭から激しく対立し、複数の訴訟に発展している。なおユニバーサルは24日、同社が設置したいわゆる「第三者委員会」の目的、対象、方法について説明、フィリピン事業に伴う報道に関してその4千万ドル支払いの事実関係、発生原因、問題点などを調査し、5月末までに答申することになったと発表した。

 .警視庁保安課と福岡県警は1月18日までに、福岡市在住で無職の豊島晴次容疑者(65)、東山恭久(やすひさ)容疑者(同)ら6名を、風営法違反(無許可営業)の疑いで逮捕、4名を書類送検した、と18日に発表した。それによると容疑者らは、古物商で換金できるという金箔カードを払い出し、遊技をさせる「金銀プラチナの自動販売機」(金スロ)と称する、違法なパチスロ機を設置した店を、昨年7−10月に新宿・歌舞伎町など都内3ヵ所で運営、歌舞伎町の店だけでも4億円の売り上げを上げていた。「金スロ」の仕組みは豊島容疑者が発案、東山容疑者が社長を務める福岡市のゲーム機会社が、ギャンブル性が高く風俗営業の許可が得られないパチスロ機を改造して、抽選機能付きの自動販売機にした上で、フランチャイズ方式により全国10都道府県で展開していたことが警察により確認されている。豊島容疑者は「無許可営業に当たらない」と犯行を否認している。

 .スクウェア・エニックスは1月13日、東京ビッグサイトで「ガンスリンガー・ストラトス」第1回公式大会を開催、一次予選から決勝トーナメントまでを一気に行い、優勝チームには賞金300万円、準優勝チームには150万円、3位チームには50万円など高額賞金が贈られた。午前中は4人一組で36チームが、横に並べられた8台の本体を使用して8ブロック戦に参加、千人以上の参加者が予選を繰り広げ、午後は8チームによる決勝トーナメントとなった。これは3戦のうち2勝したチームが指定したホームステージで戦うなどのルールで勝ち進めるもの。その結果、「全吉祥寺1マークスマンを見守る会」が1位となった。大会コミッショナーの和田洋一スクウェア・エニックス社長が賞金などを贈った後、「この大会をやって良かった」と語った。次はこの夏、インテックス大阪で開催し、両大会で賞金は計千万円になる予定。

 10.三井不動産は1月28日、09年に閉園した遊園地「エキスポランド」の跡地(約17万3千u)に、遊園施設と商業施設からなる大型エンタテインメント複合施設(約9万6千u)を建設、2年後の15年に開業するとの計画を発表した。同社は日本万国博覧会記念機構から土地活用を任された大阪府が募集した開発事業者として、11年12月に選定され、教育と娯楽を融合するエデュテイメントを柱に、大屋根のある広場、スポーツ施設、社会教育施設、観覧車、商業施設などを建設する計画を詰めていた。職業体験施設、大型映画館、温浴施設、観覧車などを設ける予定で、鉄道、高速道路、空港からのアクセスの良いことを生かし、国内外から広く集客できると見込んでいる。同社はこれとともに、「ららぽーと和泉」(大阪府和泉市、14年開業予定)など国内3ヵ所の複合施設の開発に着手したことも明らかにした。

  

 ◎ 業界紙「ゲームマシン」は1974年以来、TVゲーム機を含む業務用アミューズメントマシン、遊園施設などに関する業界ニュースを、月2回のペースで伝えてきましたが、印刷媒体は2002年6月一杯で休刊しました。