2012年9月15日号Last updated on September 1, 2012
特報
 「ジャパン・アミューズメント・エキスポ2013」の出展募集が始まる。

 スクエニ、ゲーム中のダイスで賭博の可能性なし、と発表。

海外
 米国プライムタイム社がハバロフスクに大規模FEC建設中。

 米国ドリームワークスが上海に合弁で「東方夢工場」設立。

国内

 ゲオグループ、テクモのゲーム場の四半期業績は厳しい。

 韓国・仁川のカジノ開発でもユニバーサル、セガサミーが競合。


2012年9月15日号のニュースダイジェスト
写真はスペインの総合遊技機展「FER2012」(3月26−28日、マドリード)の主催者側記録写真からオーティス社の小間にて。ドイツなどと同様、スロットマシンなどの射幸遊技機(AWP機)が主役で、アミューズメントマシン(AM機)は付録のようなもの。主な出展社はR・フランコ社、ノボマチック社、ウニデサ社、メトロニア社など。


20年前の主なニュース

 米国任天堂は業務用市場からの撤退を決めた。JAMMA単独主催のアミューズメントマシン(AM)ショーに52社が出展し、盛り上がった。愛知県警はクレーン用景品の偽ゴマちゃんを摘発した。六甲環境計画の「AOIA」に屋内遊園地「ダイナヴォックス」が完成した。(1992年9月15日号)

30年前の主なニュース

 米国連邦捜査局(FBI)はTVゲームの無断コピー品の押収を開始した。NAOは子どもがメダルゲームで遊べるようメダルゲーム場運営基準を改定した。警察白書82年版はゲームセンターが非行少年のたまり場のひとつと指摘した。ナムコは「ポールポジション」を出荷する。(1982年9月15日号)



【ニユースダイジェスト】

 .「ジャパン・アミューズメント・エキスポ2013」(13年2月15-16日、幕張メッセ、JAE)の出展募集はこのほど開始され、10月末に締め切られることになった。ショーの名称のうち「2012」となっていたのは「2013」に取り換えられた。出品できないものは公序良俗に反するもの、知的財産権を侵害するもの、その他主催者が不適当と認めたもので、これらについては事前審査される(国内出展は2月14日に審査し、違反品は撤去される)。海外からの出展については、出展ゾーンを「海外ゾーン」として完全に区分し、日本仕様でないと国内では使用できないことを明記、出品物は持ち帰りを義務付けるとし、11月上旬に審査するなど決めた。JAEの基本的な性格は2日目の有料一般公開に表れているように、広く一般に業界をアピールすることにあり、展示会とともにクレーンゲーム大会、接客デモンストレーションなども開催される予定。

 .ゲオホールディングスの第1・四半期(4−6月)業績のうち、アミューズメント事業の売上高は4%減の29億円、営業損失は2千2百万円(前年同期は2億8百万円の利益)だった。店舗数はゲオディノス21店、ウェアハウス1減の10店、ゲオフィットネス15店、ゲオカフェなど8店。子会社ゲオディノスの同期業績は売上高が3%減の19億円、営業損失が3千6百万円(6百万円の利益)で、うちゲーム場の売上高は11%減の7億4千7百万円だった。またウェアハウスの業績は売上高が9%減の20億円、営業損失が1億円(2億円の利益)で、うちゲーム場の売上高は13%減の11億円、営業利益は69%減の5千9百万円だった。なおコーエーテクモHDのゲーム場売上高は3%減の4億円、営業利益は24%減の千8百万円だった。いずれ劣らず厳しい結果だった。

 .スクウェア・エニックスが8月2日発売したWii用ネットワーク対応RPGゲームソフト「ドラゴンクエストX」のゲーム中、「ダイス」を使ってゲーム内通貨を賭ける行為が賭博に当たる可能性があるとの指摘に対し、同社は30日、「賭博罪に問われる可能性はないと認識している」との見解を発表した。指摘したのはゲームジャーナリストの新清士氏で、29日付日経新聞電子版のコラム「ゲーム読解」において、「ゲーム内の仮想通貨の取引がユーザー間でやりとりする行為のみであれば」問題ないが、「ダイス」という「確率を利用した機能」があり、それと(ネットオークションで高額で取引されている)「リアルマネートレード(RMT)が密接に結び付く可能性が出てくる」とした。スクエニ側は、ネットオークションでの売買取引を利用規約で禁止しており、守らないユーザーに対しては専門スタッフを置いて対応しているとしている。

 .米国を拠点とする世界的なゲーム機オペレーター、プライムタイム・アミューズメンツ社(フロリダ州フォートローダーデール、ダビッド・ゴールドファーブCEO)がこのほど、ロシア極東地区のハバロフスクに国際的なファミリー・エンターテインメントセンター(FEC)「イクストリーム・ハバロフスク」(約5,000u)を、11月1日オープンに向けて建設中であることを明らかにした。同社は92年設立のオペレーター会社で、国際的なロケーション開発はアンゴラに次いで2件目となる。今回は単独の建物にTVゲームやシミュレーターなどのAM機器のほか、エキストリームカーティング社とテクニックプロテクション社による屋内カートコース「ユーロピアン・ボウマンアロー」をメイン施設にし、サコイア社のカードシステムも採用する予定。ハバロフスクは日本海に面したウラジオストックに次いで大きな都市で、日本からも近い。

 .ユニバーサルエンターテインメントは8月28日、米国ウィンリゾーツ社とスティーブ・ウィン会長ら役員12名を相手取って、112億円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に提出したと発表した。原告には岡田和生会長、親会社の岡田ホールディングスも名を連ねている。訴えの理由は、ウィンリゾーツ社が2月19日付プレスレリースにより名誉または信用棄損などの損害を被ったためとのこと。そのレリースでは、岡田氏が海外(フィリピン)のカジノ当局者に不適切な支出を行ない、米国の海外腐敗行為防止法(FCPA)に違反した可能性がある、として証拠を米国当局者に提出する方針だとしていた。ウィンリゾーツ社はそのため2月に同社役員から岡田氏を解任し、岡田氏らが保有してきたウィンリゾーツ社の株式の20%を大幅な安値で買い戻した。ユニバーサルはこれらに対し米国で訴訟を展開しているが、日本では今回が初めて。

 .韓国ソウル近郊の仁川(インチョン)永宗島に最大で4ヵ所のカジノ建設計画が進められており、セガサミーとユニバーサルがそれぞれ参加、ここでも競合していることが分かった。仁川経済自由区域庁によると、ユニバーサルエンターテインメント社系の現地法人、オカダホールディングスコリア社が当地でのカジノ建設を進めるため交渉中で、8月7日に追加投資(当初4千3百万ドルに加え、追加1億千万ドル)を決めたとのこと。米国ラスベガスにあるシーザーズ・エンターテインメント社は7億ドルの投資計画を持って交渉中。韓国のパラダイスグループは営業中のハイアットホテルのカジノを仁川空港国際業務団地に移転する計画を進めており、このパラダイスグループのカジノ開発事業にセガサミーホールディングスが5月に参加、カジノ運営会社の45%を出資する第2位株主となっている。4つ目の建設計画についてはまだ明らかにされていない。

 .米国ニューヨークのブルックリンにある連邦地方裁判所で8月21日、ポーカー大会を運営し有罪がほぼ確定していた被告に対し、ポーカー遊技は「ゲーム・オブ・チャンス」(賭博遊技)でなく、「ゲーム・オブ・スキル」(技量を競う遊技)として、逆転無罪を言い渡す判決が出て注目されている。ローレンス・ディクリスティーナ被告(33)は昨年倉庫裏で賭け金の高い「テキサス・ホールデム」というカード遊技を運営して摘発され、今年7月には有罪の評決が出されており、10年以下の禁固刑が言い渡される直前で逆転した。被告側国選弁護士が、勝つためにブラフ(ポーカーで言うはったり)などのスキルが必要なポーカーでは、連邦法(違法賭博営業の禁止、1955年)でいう違法賭博の定義に当てはまらないと主張したため、ジャック・ウェインステイン判事は120ページにわたる理由書を添えて、連邦法では組織犯罪を禁止するため賭博営業を禁止しているが、この場合組織犯罪とは関係なく、またスキルの要素が多いこの遊技では違法賭博とは言えないとして無罪とした。

 .アニメ制作大手の米国ドリームワークス・アニメーションSKG(ジェフリー・カッツェンバーグCEO)は8月7日、中国・上海でチャイナ・メディア・キャピタル、上海メディアグループ、上海アライアンス投資とともに、CG制作会社「上海東方夢工場(オリエンタル・ドリームワークス)影視技術」を設立、上海市黄浦江河畔にその拠点建設を進めていると正式発表した。東方夢工場は中国・海外間で過去最大の2百億元(31億ドル)を投資(うちドリームワークスは45%出資)、CGクリエーターら800人以上を集め、世界最高水準のCG作品を制作していき、16年にはドリームワークス社と「カンフーパンダ3」を制作する予定。東方夢工場はまた16年までに、スタジオ、映画館、店舗、レストラン、ホテルを含むテーマパーク「ドリームセンター」(夢中心)を開設すると発表した。中国で映画産業が急速に拡大発展しており、これに対応するものと説明している。

 .米国アタリ社業務用部門の創設40周年を記念して、当時の役員、従業員ら325人と家族、友人らが8月18日、サンノゼの旧本社に近いレストラン「ソノマチキンコープ」に集まり、旧交を温めた。出席者は創業者のノーラン・ブッシュネル氏を始め、スー・エリオット、メアリー・フジワラ、エレエン・シャーリー、ケビン・ヘイズ、ジーン・ジャービスらの著名人のほか、DBのアイラ・べテルマンなど。アタリ社は1972年に設立され、業務用「ポン」のヒットで基礎を固め、家庭用へと広げた。76年ワーナー傘下に入り、1984年に業務用アタリゲームスと家庭用アタリ社に分離、業務用は85−87年ナムコの傘下、87−90年独立系となり、90−96年タイムワーナーの傘下、96−98年WMSの傘下、98−2000年ミッドウェーゲームスの傘下、00−03年ミッドウェーゲームス・ウェストとなり、01年に業務用から撤退している。知的所有権は09年以降、ワーナーブラザースが管理している。

 10.パソコンソフトウェア大手のジャストシステムは8月23日、ネット上のアンケート調査「ファストアスク」で調べた結果、SNSゲーム購入者の約6割がお金を「無駄に使ってしまった」と後悔していることが分かったと発表した。調査期間は8月10−13日、SNSゲームの利用経験者を対象に実施し、有効回答数は千件。SNSゲームは無料だが、有利に進めるにはアイテムを購入する必要がある。購入経験のあるユーザーは全体の49%で、その1ヵ月の平均使用額は「千円以内」が55%、「5千円以内」なら90%だったが、反面「3万円以上」が2%もいた。SNSゲームに費やした金額について、「反省・後悔している」が61%、そのうち46%が「減らしたい」、41パーセントが「ゼロにしたい」と回答した。また費やした時間については「どちらかと言うと」を含め「反省・後悔している」が41%、そのうち「減らしたい」が56%、「ゼロにしたい」が16%だった。


  

 ◎ 業界紙「ゲームマシン」は1974年以来、TVゲーム機を含む業務用アミューズメントマシン、遊園施設などに関する業界ニュースを、月2回のペースで伝えてきましたが、印刷媒体は2002年6月一杯で休刊しました。