2012年5月1日号Last updated on April 16, 2012
特報
 フランスのルーブル美術館は任天堂「3DS」を音声ガイドに採用した。

 イオンファンタジーの2月決算は地震にもかかわらず増収増益だった。

海外
 米国コナミゲーミング社は、IGT社のUAG技術を採用した。

 米国JJP社のフリッパー出荷は半年早くなる見込みだ。

国内

 警察庁調べ「8号営業」は店舗、台数とも減少した。

 関東娯楽工業の中村哲社長が死去した。


2012年5月1日号のニュースダイジェスト
写真は米国アミューズメントエキスポ2012で、上はセガ・アミューズメンツ社の小間で「バーチャテニス4」を、下はナムコアメリカ社の小間で「パックマン・バトルロイヤル」をそれぞれ試しているようす。いずれも入口に近い小間で、来場者でにぎわっていた。


20年前の主なニュース

 広島県呉市に遊園地「呉ポートピアランド」が、長崎・佐世保市にレジャー施設「ハウステンボス」がオープンした。ナムコの真鍋正社長が副会長になり、中村雅哉会長は社長を兼任することになった。セガ社はCG基板「モデル1」の開発を発表した。ユウビスは新社屋を披露した。(1992年5月1日号)

30年前の主なニュース

 音楽レコード「パックマンフィーバー」が米国でヒット中だ。セガ社はコレコ社と提携、家庭用への進出を決めた。米国アタリ社は子会社、アタリファーイーストを設立した。タイトーは新作展で「ワイルドウェスタン」など披露した。ボナンザ・エンタープライゼスが本社ビル竣工を披露した。(1982年5月1日号)



【ニユースダイジェスト】

 .警察庁保安課は4月13日、11年中の風俗事犯の概略を発表、遊技機使用の賭博犯は71件(前年は118件)、453人(777人)検挙し、賭金7千9百万円(1億4千万7百万円)を押収した。主な検挙事例として、宮城県で11年11月、バカラ台を設置して賭博場を開設し、不特定多数の客に賭博をさせてコミッション料を取っていた経営者らを賭博場開帳図利の容疑で、賭客を賭博容疑で検挙、バカラ台2台と賭金約310万円を押収した件と、広島でのパチスロ遊技機常習賭博、鹿児島のゲーム喫茶での常習賭博の3例を挙げた。風営法に基づき許可を取得することが必要な「8号営業」(ゲームセンター等)の営業所数は昨年12月末現在、7%減の6,648店(7,137店)で、うち専業店は6%減の3,730店(3,972店)、遊技設備の設置台数は3%減の461,465台(473,601台)だった。

 .イオンファンタジーは4月5日、12年2月20日期決算を発表、売上高は1%増の424億4千7百万円、経常利益は40%増の36億3千百万円、当期利益は34%増の16億8千4百万円だった。売上高の内訳はゲーム場が1%減の329億円、商品販売が7%増の93億円、その他が1億円。国内店舗は直営が4店減の316店、フランチャイズが3店と変わらず計319店。これまで非連結の海外は中国が2店増の5店、マレーシアが20店増の20店。同社は決算期を2月末に変更するための手続きに入る。これとともに中国子会社の永旺幻想児童遊楽有限公司、マレーシアのイオンファンタジー・マレーシア社は連結子会社となる。2013年2月期連結業績は売上高450憶円、経常利益37億円、最終利益18億円と予想している。

 .エスケイジャパンは4月13日、12年2月期決算を発表、売上高は7%減の88億2千5百万円、経常利益は18%減の2億3千4百万円、最終利益は19%増の1億6千5百万円だった。前年と同様、前日に業績予想を下方修正した。部門別では、キャラクターエンターテインメントの売上高が9%減の50億円、営業利益が77%減の2千9百万円、キャラクターファンシー(合わせて旧卸売)の売上高が1%減の29億円、営業利益が31%増の2億円、リテイル(旧小売)の売上高が13%減の8億円、営業損失が2千6百万円。キャラクターエンターテインメントの売上高のうち、アミューズメントは3%減の39億円、SPは28%減の9億円、ECは45%増の8千8百万円だった。13年2月期は売上高93憶円、経常利益3億円、最終利益2億千7百万円を見込んでいる。

 .宮崎の大型複合リゾート施設「シーガイア」を運営するフェニックスリゾートを完全子会社化した、セガサミーホールディングスの里見治会長が4月5日、現地で記者会見して、「今後もリゾートとしての本来の価値を保持したい」と語り、従業員雇用や、ホテルのブランド、ゴルフ場のプロツアー大会など継続する考えを明らかにした。閉鎖中の屋内プール「オーシャンドーム」は建設に400億円かかっており、再開可能か調査中であり、半年後にも方向を固めたい。ゴルフ場は全面改修する予定。これまで中国からの客が少なかったので、格安航空会社を使って中国・台湾からの客を呼べるよう、積極的に取り組みたいと強調した。とくに記者団が質問した「カジノ構想」については、「法制度が整えば、そういうことも念頭に置いてやっていきたいが、(それには)県民の支援がなければならない」と語った。

 .セガ社は4月12日、東京・お台場にある屋内型テーマパーク「東京ジョイポリス」を全面的にリニューアルし、7月14日に再オープンすると発表した。改修工事のため1月から休館中の東京ジョイポリスは96年7月に開業、デックス東京ビーチの3−5階、約9,600uに立ち乗りライド「ハーフパイプキャニオン」、コースター「スピンバレット」などのスリルライドを設け新感覚の遊園地を実現してきたが、今回TVゲームの「デジタル」と遊園地の「リアル」を融合した「デジタリアル」をコンセプトに、非日常体験を提供することにしたもの。具体的には@ライブステージ、Aプロジェクションマッピング、B進化型アトラクション、Cスペースインタラクション、DDラウンジで構成される。セガ社はこのほか13年春、横浜で英国BBCの自然映像資産を活用したテーマパークを開業する予定になっている。

 .任天堂は4月11日、フランス・パリにあるルーブル美術館と提携して、同美術館専用のオーディオガイドシステムを開発、12日から正式に利用が開始になると発表した。年間890万人が訪れる世界的なルーブル美術館では、これまでにも磁気テープで各国語により最寄りの美術品について説明するオーディオガイドがあったが、任天堂が開発したのはハンドヘルド機の「3DS」を利用して立体的に700点以上の美術品についてオーディオガイドをしていくもので、「サモトラケのニケ」の裏側など普通では見えないところまで鑑賞できるなどの特徴がある。2つのコースから選択する方式で、一回のツアー所要時間は約45分間。美術館のチケットデスクで貸し出される。日本語、韓国語を含め7ヵ国語に対応しており、貸出料は一般5ユーロ(従来は6ユーロ)、18歳未満者、障碍者、低所得者など3ユーロ。

 .神戸ハーバーランドの商業施設「モザイク」に付属する入園無料の遊園地「モザイクガーデン」(5,700u)が5月6日に、観覧車を除いて営業を終了することが分かった。「ミニコースター」は3月15日に営業を終えており、「アラビアンメリー」、「2層メリーゴーランド」などの遊園施設も5月6日に営業を終える。「モザイクガーデン」は92年、土地所有者の三菱倉庫などが開業、95年12月に高さ50mの観覧車「ワンダーホイール」を加えたが、遊園地全体の利用者が減少しており、将来新たに集客施設を設ける方向で、いったん大幅に縮小することにした。観覧車は11年8月、イルミネーションを全面的に発光ダイオード(LED)照明に改装(CO2排出量を約8割削減)しており、すでにランドマークとなっていることから営業を続けることになったもの。

 .米国カジノ機器大手のIGT社(インターナショナル・ゲーム・テクノロジー、本社ラスベガス)が昨年6月に発表したスロットマシン用のアドオン技術「ユニバーサル・ゲーム・アダプター」(UGA)を、コナミの米国子会社であるコナミゲーミング社が採用することで、両社は合意したと4月4日に発表した。「UAG」はTVスロットマシンの画面上の絵の中にもう一つの絵を表示するという汎用性のある(ユニバーサル)アドオン技術で、IGT製品ではこの技術により「サービスウィンドウ」機能を持つと説明されている。今回の合意によりコナミ製TVスロットマシンに採用されるだけでなく、コナミが国際的に販売しているカジノ運営システム「コナミ・カジノ・マネジメント・システム」(KCMS)にも結果的にこの技術が導入され、一層有利に展開されると期待されている。

 .ジャック・ガーネリ社長が昨年設立したフリッパー開発メーカー、ジャージー・ジャック・ピンボール社(JJP、ニュージャージー州レイクウッド)の最初の製品、「オズの魔法使い」(ウィザード・オブ・オズ)は今年12月出荷予定だったが、3月13日に生産が開始されており、予定より半年早く、初夏にも出荷される見通しになった。これは「エメラルドシティ」という副題の付いた千台限定版と、それに続く普及版の二種類あり、すでに受注を開始している。このフリッパーには26インチ液晶画面のバックガラスが付いており、プレイフィールドにはフリッパー5個、マグネット4ヵ所、ポップバンパー4個と、「ドロシーの家」やその他いろんな仕掛けを盛り込んでおり、ガーネリ社長は「そのメカニカルな動作はTVゲームでは真似ができないし、プレイヤーは何度も挑戦する必要が出てくる」と説明している。

 10.オペレーター会社のムラタ・エンタープライズ梶i横浜市青葉区新石川、村田和夫代表)が東京地裁に自己破産の開始を申請、3月27日同地裁は破産手続きの開始を決定した。同社が経営してきたゲーム場「ゲームインパラダイス」には、11年10月に閉鎖した藤沢市湘南台の湘南台店のほか、川崎市多摩区登戸の向ヶ丘ロフト店、横浜市青葉区新石川のあざみ野店がある。

 11.中村哲(なかむら・てつ=関東娯楽工業社長)氏が3月8日に病死したことがこのほどわかった。75歳。通夜は3月14日、告別式は15日に東京・新宿の落合斎場で行なわれた。喪主は妻宮子(みやこ)さん。1972年8月に関東娯楽工業を設立、社長に就任し、バッテリーカーなど乗物機を企画、製造してきた。JAMMAの監事を務めたことがある。

  

 ◎ 業界紙「ゲームマシン」は1974年以来、TVゲーム機を含む業務用アミューズメントマシン、遊園施設などに関する業界ニュースを、月2回のペースで伝えてきましたが、印刷媒体は2002年6月一杯で休刊しました。