2011年6月1日号Last updated on May 16, 2011
特報
 セガサミーは増収増益に、バンナムは黒字回復した。

 サノヤス・ヒシノ明昌は10月に持株会社制に移行する。

海外
 震災によりOLCは減益で、米国ディズニー社も減益に。

 中国・杭州郊外に「ハローキティパーク」建設計画発表。

国内

 スクエニは大幅減収で赤字に転落。カプコンは家庭用が好調。

 ラウンドワンは出店計画変更で特別損失計上、赤字に。


2011年6月1日号のニュースダイジェスト
写真はバンダイナムコゲームス新作展(5月11日、大阪会場)で、「鉄拳タッグトーナメント2」と「パックマン・バトルロイヤル」を試す業者のようす。前者はDX、DXキット、基板の3種類が9−11月に出荷される予定で、5月中に注文が締め切られる。


20年前の主なニュース

 香川県綾野町に大規模テーマパーク「レオマワールド」がオープンした。「卑猥なTV麻雀ゲーム」でAOU理事会は「大人用でも排除」に修正した。宮城県協が企画するMOMAショーの募集に応じて22社が74小間に出展する予定になった。レジャー白書はゲーム場、遊園地とも好調とまとめた。(1991年6月1日号)

30年前の主なニュース

 米国ミッドウェー社はナムコから許諾を受けた「パックマン」の商標・著作権を侵害する日米35社を国際通商委員会に提訴した。宝塚ファミリーランドはデンマークのチボリ遊園地と姉妹提携した。全日本遊園協会(JAA)の清算が完了した。データイーストはDCシリーズ「ロックンチェイス」を発売した。(1981年6月1日号)



【ニユースダイジェスト】

 .セガサミーHDは5月13日、11年3月決算を発表、売上高は3%増の3,967億円、経常利益は90%増の681億円、最終利益は105%増の415億円と回復した。特別利益37億円、特別損失143億円(うち大震災で12億円の損害を出した。)を計上した。セガトイズなど3社を完全子会社にした。部門別で遊技機の売上高は32%増の2,122億円、営業利益は118%増の642億円、業務用の売上高は5%増の503億円、営業利益は3%増の73億円。ゲーム場国内は6増17減の249店で、売上高は17%減の457億円、営業利益は3億円(前年13億円の赤字)と4年ぶり黒字回復した。家庭用の売上高は27%減の895億円、営業利益は69%減の19億円。12年3月期は売上高4千5百億円、経常利益590億円、最終利益330億円を見込んでいる。

 .バンダイナムコHDは5月10日、11年3月期決算を発表、売上高は4%増の3,941億円、経常利益は8.6倍の163億円、最終利益は18億円(前年は299億円の損失)と黒字回復した。分野別でトイホビーの売上高は6%増の1,583億円、営業利益は28%増の138億円、コンテンツ(家庭用と業務用)の売上高は7%増の1,799億円、営業利益は30億円(前年は77億円の赤字)、ゲーム場の売上高は5%減の623億円、営業利益は524%増の17億円、その他の売上高は17%増の185億円、営業利益は151%増の8億円だった。ゲーム場は直営国内が5増11減の217店、海外は2増17減の51店。第4四半期の大震災による被害で4億円を計上した。12年3月期は売上高4千億円、経常利益165億円、最終利益80億円を見込んでいる。

 .コナミは5月12日、11年3月期決算(米国基準)を発表、売上高は2%減の2,579億円、営業利益は11%増の207億円、税引前利益は11%増の190億円だった。部門別でデジタルエンタテインメントの売上高は7%減の1,331億円、営業利益は21%減の170億円、ゲーミング関係の売上高は9%増の218億円、営業利益は38%増の64億円、遊技機関係の売上高は25%増の179億円、営業利益は117%増の61億円、健康関係の売上高は0.2%増の859億円、営業損失は25億円(前年19億円)だった。デジタルエンタテインメント売上高のうち家庭用は657億円、eアミューズメントは283億円、カードゲームは214億円、SNSは158億円。12年3月期は売上高2,580億円、営業利益260億円、税引前利益240億円を予想している。

 .スクウェア・エニックスHDは5月12日に業績予想の下方修正を発表、13日に11年3月期決算を発表、売上高は35%減の1,252億円、経常利益は81%減の53億9千万円、最終損失は120億円(前年は95億円の利益)と大幅減収で赤字転落した。分野別のうち家庭用などの売上高は46%減の642億円、営業利益は61%減の112億円、ゲーム場と業務用(主にタイトー関連分)の売上高は14%減の450億円、営業利益は45%減の21億円など。さらにのれん償却88億円、開発中止損45億円、ゲーム場災害損失6億円、固定資産除去損6億円など合わせ計160億円の特別損失を計上した。それでも12年3月期は売上高千3百億円、経常利益百億円、最終利益50億円と予想している。

 .カプコンは5月6日、11年3月期決算を発表、売上高は前年比46%増の977億円、経常利益は133%増の128億円、最終利益は258%増の77億円と好調だった。分野別で、家庭用・オンラインの売上高は「モンスターハンター」のヒットで61%増の702億円、営業利益は60%増の124億円、モバイルの売上高は13%増の40億円、営業利益は83%増の13億円、ゲーム場の売上高は3%減の116億円、営業利益は92%増の11億円、業務用の売上高は74%増の79億円、営業利益は26億円(前年3億円の損失)、その他の売上高は28%増の38億円、営業利益は8%増の10億円だった。業務用で「ストリートファイターWAE」が貢献した。ゲーム場は10店が被害を受け、うち3店は営業再開した。不採算1店を閉鎖、37店となった。

 .ラウンドワンは5月11日、11年3月期決算を発表、売上高は3%増の843億円、経常利益は12%減の69億円、当期損失は126億円(前年は33億円の利益)と増収赤字だった。4店(うち1店は米国)増やし109店になった。売上高の内訳はゲーム場が1%増の352億円、ボウリングが3%減の310億円、スポッチャが0.5%減の87億円、カラオケが0.1%増の67億円、その他が0.1%増の26億円。東日本大震災により東北4店(盛岡、仙台苦竹、福島、郡山)が大きな被害を受けたが、4月末に営業再開した。出店計画変更による214億円の特別損失を計上した。12年3月期は1店増の予定で、売上高880億円、経常利益80億円、当期利益33億円を見込んでいる。

 .アドアーズは5月12日、11年3月期決算を発表、売上高は0.3%減の259億4千5百万円、経常利益は88%減の7千4百万円、当期損失は41億9千7百万円と大幅赤字だった。1ヵ月前に業績予想を大幅下方修正済み。ゲーム場は1増2減の約80店で、売上高は2%減の191億3千8百万円、営業利益は32%減の3億7千9百万円、設計・施工の売上高は8%増の55億8千万円、営業利益は44%減の4億3千3百万円、遊技機レンタルの売上高は26%減の2億2千6百万円、営業利益は48%減の2千9百万円、不動産の売上高は1%減の10億円、営業利益は18%減の1億4千4百万円。震災の影響で売上が落ち込んだほか、今なお宮城県仙台市の2店が営業再開の見込みが立っていない。それでも12年3月期は売上高240億円、経常利益7億円、当期利益4億5千万円を見込んでいる。

 .オリエンタルランドは5月6日、11年3月決算を発表、売上高は4%減の3,561億円、経常利益は30%増の528億円、最終利益は10%減の229億円と東日本大震災と不安定電力の影響を受け減収減益になった。分野別ではテーマパークの売上高が1%増の2,904億円、営業利益が39%増の462億円、ホテルの売上高が3%減の440億円、営業利益が0.2%増の84億円、その他の売上高が10%減の216億円、営業損失が12億円(前年8千6百万円)。テーマパーク入園者は6%減の2,537万人だったが一人当たり売上高は0.8%増の10,022円と好調だった。大震災による損失は営業利益67億円、特別損失97億円の計164億円としている。12年3月期業績予想は算定困難でまだ出していない。

 .米国ウォルトディズニー社は5月10日、第2・四半期(1−3月)決算を発表、売上高が6%増の90億ドル、営業利益が1%増の17億ドル、純利益が1%減の9億ドルだった。3月中間期(10−3月)では売上高が8%増の197億ドル、営業利益が19%増の39億ドル、純利益が25%増の22億ドルだった。パーク&リゾート部門だけを見ると、中間期の売上高が8%増の54億ドル、営業利益が17%増の6億ドルだったが、第2・四半期だけでは売上高が7%増の26億ドル、営業利益が3%減の1億4千万ドルだった。東京ディズニーリゾートが大震災と電力問題により一時休園したため、オリエンタルランドから入るライセンス料が減少、営業利益が2千5百万ドル(約20億円)押し下げられたとしている。

 10.「ハローキティ」などサンリオのキャラクターを使ったテーマパーク「ハローキティパーク」(仮称、9.5万u)が、中国浙江省安吉県の杭州市郊外に2014年完成をめざし、建設されることが判明した。許諾したサンリオが5月9日、中国で発表されたレリースの日本語版を発表した。許諾を受けたのは浙江銀潤閑旅遊(リゾート)開発有限公司で、上海から車で2時間の距離にある安吉天使楽園(60万u)内に建設することを、安吉県共産党が支持するなか、浙江銀潤とサンリオが2年以上交渉、10年11月に合意したもの。パークデザインは米国「ユニバーサルアイランズ・オブ・アドベンチャー」などを担当したHETTEMA社とサンリオが共同設計する。マレーシアにも12年にサンリオ施設が出来るが、これほど大規模なテーマパークが出来るのは日本以外で初めて。

 11.バンダイナムコゲームスは5月9−10日東京(11−12日大阪、13日福岡)で新作展を開き、「鉄拳タッグトーナメント2」をプレイできる状態で出品した。「鉄拳タッグトーナメント」(99年)から12年ぶりになる続編で、AOUエキスポ11で披露してから一段とレベルアップしたもので、ライブモニターも紹介した。システム369基板に基づく動きを、人目を惹く720pの高解像度で表現する。バナパスポート対応。オールネット接続が必須。1レバーと5ボタンで、2人のどちらかを倒すと1ラウンド勝ちで、2ラウンド先取でゲーム勝利となる。DX完成品9月出荷、DXキット10月、PCB11月。新作展では米国で評判の「パックマン・バトルロイヤル」(4人用カクテルタイプ)も紹介された。

 12.サノヤス・ヒシノ明昌は5月9日、持株会社制に移行したうえで、今年度内に子会社として造船、陸上、レジャー、サービスの4事業に再編することを決めた。10月3日付で設立する持株会社、サノヤスホールディングス(大阪市北区中之島、上田孝社長)がサノヤス・ヒシノ明昌の親会社になり、子会社となった事業会社を会社分割により4つの事業グループに再編し、造船、陸上、レジャー、サービスのグループごとに事業会社と子会社を配置することになる。株式移転のための株主総会を6月28日に開催、9月28日に上場廃止し、10月3日に持株会社の株式を上場する予定。同社は佐野川谷安太郎氏が1911年に佐野安船渠を創業したもので、40年に法人設立、84年にサノヤスに改称したもので、90年に菱野金属工業を、また91年に明昌特殊産業を吸収合併、現社名になった。

 13.中山隼雄氏が44%の株式を所有するマーヴェラスエンターテイメント(中山晴喜社長)がAQインタラクティブ(許田周一社長)などマーヴェラスグループの会社を吸収合併し、マーヴェラスAQLとして統合することになった。同グループの業績はこのところ低迷しており、スマートフォン向けゲーム開発により、打開を図るべく再編することになる。まず、AQインタラクティブは8月1日付けで完全子会社のアートゥーン、キャビア、フィールプラスの3社を吸収合併する。次にマーヴェラスがAQインタラクティブ、ライブウェア(中山氏が54%所有)の2社を10月1日付で吸収合併し、新社名に変更する。AQインタラクティブは9月末に上場廃止となる。マーヴェラスAQLでは代表権のない会長に中山晴喜氏、社長に許田周一氏が就任する予定。

 14.ソニーとソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)は5月1−3日、運営するプレイステーションネットワーク(PSN)、ソニー・オンラインエンタテインメント(SOE)にハッカーが侵入したことを確認、顧客情報が違法に取得された可能性があることが判明した、と発表した。それによると、米国サンディエゴにあるデータシステムに4月中旬サイバー攻撃が加えられたことが20日ごろ発覚、直ちにネットワークサービスを停止、調査を開始した。さらにFBIなど捜査機関に依頼して徹底調査を進め、データ保護のための監視・管理機能を強化する一方、近日中にシステムを復旧して、顧客にオンラインゲームの30日間無料提供なども行なうとのこと。しかし、まだ侵入された原因などは判明しておらず、システム保護のため強化される対策も万全かどうか疑問視されている。


 ◎ 業界紙「ゲームマシン」は1974年以来、TVゲーム機を含む業務用アミューズメントマシン、遊園施設などに関する業界ニュースを、月2回のペースで伝えてきましたが、印刷媒体は2002年6月一杯で休刊しました。