2010年5月1日号Last updated on April 15, 2010
特報
 イオンファンタジーは発火事故を巡るカプコンとの訴訟で和解した。

 カプコンは業務用「スーパーストリートファイターW」の開発を決めた。
海外
 米国ゲームワークスは7店閉鎖するリストラを発表した。

 米国任天堂はアナスケープ社による特許訴訟で逆転勝訴した。

国内

 エスケイジャパンは2月期決算で回復した。

 元エイブル社長の熊谷俊範氏が死去した。


2010年5月1日号のニュースダイジェスト
写真は米国春のアミューズメントエキスポ2010のナムコアメリカ社の小間にて、新作「パックマン・バトルロイヤル」(上)と、「タンク!タンク!タンク!」(下)をプレイする4色の大きな「パックマン」キャラクター。「パックマン・バトルロイヤル」の日本での発売は今のところ予定されていない。

20年前の主なニュース

 韓国・ソウル市警は、コナミ「TMNT」のコピー基板を製造販売した業者13名を著作権法違反で摘発した。タイトーは家庭用と業務用のファン3,300名を幕張に招いて感謝祭を催した。熱海のタイガー娯楽が設立25周年を祝った。カプコンは第2ビル(大阪・常盤町)の完成を披露した。(1990年5月1日号)

30年前の主なニュース

 東京地裁はデータイーストの申請に基づき、無断で「アストロファイター」にコピー改造したトキワへの仮処分を決定した。「インベーダー」など日本製の中古TVゲーム機が欧州に次々と輸出されている。米国アタリ社はVCS用ゲームカートリッジ「スペースインベーダー」をヒットさせた。(1980年5月1日号)

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【ニユースダイジェスト】

 1.セガ・サミーグループの米国子会社で、ゲーム場チェーン「ゲームワークス」を運営するセガ・エンタテインメントUSA社(カリフォルニア州グレンデール、コーリー・ハイネス社長)は3月29日、カリフォルニア州ロングビーチ店など、半数近くの7店を閉鎖したことを明らかにした。従来どおり運営を継続するのは、ワシントン州シアトル店、ネバダ州ラスベガス店、テキサス州ダラス店など8店とツーソンの専用レストラン1店。今回のリストラで閉鎖する店が再オープンできるよう望んでいる、と同社は説明している。96年3月、ドリームワークス社、ユニバーサルスタジオズ社、セガ社の3社が出資してゲームワークス社を設立、97年からシアトル店を手始めに10数店開設したが、04年にチャプターイレブンを申請、05年からセガ・サミーグループが単独運営している。

 2.米国任天堂は4月13日、アナスケープ社から訴えられていた特許訴訟で事実上、逆転勝訴した。テキサス州ラフキンにあるアナスケープ社は、同社が持つTVゲーム「振動機能付き3Dコントローラー」特許を、任天堂「Wii」などのコントローラーで侵害された、として2,100万ドル(約19億円)の損害賠償を求めて06年に提訴し、テキサス東部地区連邦地裁の陪審は08年5月に訴えを認める評決をしたが、任天堂が控訴していた。連邦控訴裁は連邦地裁の決定を取り消したので、任天堂が逆転勝訴した形になる。アナスケープ社はマイクロソフト社も訴えていたが、地裁審理前に和解していた。

 3.イオンファンタジーはカプコンの6人用メダルゲーム機「ドンキーコング・バナナキングダム」が発火事故を起こしたため、ゲーム場から撤去したのに伴い、仕入れた79台の売買契約を解除したことから、6億円の損害賠償請求訴訟を07年10月に起こしていたが、東京地裁の勧告を受け、3月26日にカプコンと和解した。イオンファンタジーが4月6日、10年2月期決算発表に伴い、補足的に明らかにしたで、和解の内容自体は発表されていない。決算によると、この分の機械の帳簿価格は09年2月現在約4億7千万円で、今年2月現在で3億円となっている。カプコンは、発火事故を起こしたこのメダルゲーム機を289台販売した、原因となった不良部材は交換した、と07年11月に説明していた。

 4.イオンファンタジーは4月6日、10年2月(20日)期決算を発表、売上高は前年比9%減の437億円、経常利益は37%減の23億5千万円、当期利益は42%減の11億2千9百万円と、減収で大幅減益だった。直営店は6店新設10店閉鎖で336店、フランチャイズは14店満了解約で3店になり、海外は北京直営1店とその他FCが5店増の21店になった。主力の国内遊戯場が8月まで好調だったのに、新型インフルエンザの影響で8月以後来客数が減り、業績が落ち込んだとしている。中国北京店は初年度黒字を達成した。11年2月期は売上高が5%減の417億円、経常利益が10%増の約25億9千万円、当期利益が10%増の12億5千万円と減収増益を予想している。

 5.エスケイジャパンは4月14日、10年2月期決算を発表、売上高は前年比4%増の95億8千万円、経常利益は5億2千万円(4億7千万円の赤字)、当期利益は3億円(7億8千万円の赤字)と持ち直した。AMゲーム業界のヒット不足でプライズ機が見直されて卸売りは回復したが、小売は低迷したとしている。子会社への貸倒引当金戻り入れなど7千6百万円を特別利益に、納入した「ドラえもんセット」の不具合発生で9千3百万円を特別損失に計上した。11年2月期はさらに厳しく、売上高89億円、経常利益1億8千8百万円、当期利益1億6千万円と減収減益を見込んでいる。ゲーム場経営ができるよう株主総会で定款を一部改正する。

 6.カプコンは4月4日、業務用「スーパーストリートファイターW」を開発することを決めた、と明らかにした。この日、東京・秋葉原で開いた業務用「ストリートファイターW」の全国ゲーム大会で、同社の小野義徳プロデューサーが発表したもので、出荷時期などは未定。「スーパーストリートファイターW」は、業務用「ストリートファイターW」(08年7月出荷)と、その家庭用(PS3/Xbox360用)(09年2月発売)を基に進化させたもので、家庭用「スーパーストリートファイターW」(今年4月末発売)の発売は09年9月に発表されていたが、業務用は開発されるのかどうかさえ、これまで明らかでなかった。プレイヤーの希望が多かったため、開発することが決まったとしている。

 7.エイブルコーポレーションの社長だった熊谷俊範(くまがい・としのり)氏が、3月14日に病死したことが分かった。62歳。通夜は16日、葬儀・告別式は17日、東京都世田谷区喜多見の知行院で行なわれた。喪主は妻・有美さん。義兄の故・矢野俊一氏が経営していたダイサン商事で業界入りし、83年3月に独立、エイブルコーポレーションを設立した。98年5月からJAMMA理事を務め、流通委員長として00年1月に「中古機販売は業界にとって不可欠である」との意見をまとめた。エイブルコーポレーション自体は06年5月に経営破たんしており、加賀電子が8月に業務を引き継いだ上で、07年4月に加賀アミューズメントとして分離独立している。



 ◎ 業界紙「ゲームマシン」は1974年以来、TVゲーム機を含む業務用アミューズメントマシン、遊園施設などに関する業界ニュースを、月2回のペースで伝えてきましたが、印刷媒体は2002年6月一杯で休刊しました。