2007年6月15日号Last updated on June 2, 2007
特報
 サミーを相手とするアルゼの特許訴訟を東京地裁は退けた。

 タイトーはすでに黒字化している、と見れるスクウェア・エニックス決算。

海外
 ブラジルのビンゴ遊技場を巡る汚職は裁判官まで巻き込んでいた。

 イリノイ州議会はゲーム大会についての州法を定めた。

国内

 タイトーはこの夏、本社を平河町から西新宿に移転する見込みだ。

 アドアーズの鈴木英一社長が会長に、中川健男取締役が社長になる。


2007年6月15日号のニュースダイジェスト
写真は香港および中国・広東省でコピー品対策のための講習会などを実施する、米国メリット社のボブ・フェイ部長(下の写真左から2人目)ら

10年前の主なニュース

 バンダイは10月に予定していたセガ社との合併をキャンセル、セガ社も合意解消を受諾した。3月期決算は業務用が伸ばして、ナムコ、コナミが最高を記録、カプコンも黒字回復した。米国ラスベガスでゲームワークス2号店がオープンした。SNK「ネオプリ・安室奈美恵バージョン」が出た。(1997年6月15日号)

20年前の主なニュース

 遊園施設をすべてトーゴが納入した、中国・北京の遊園地「北京遊楽園」がオープンした。コナミ工業でトップが交替、上月景正社長が会長に、菱川文博会長が社長になった。テクノスジャパンが開発した「ダブルドラゴン」をタイトーが発売した。JAPEAは公正競争のための「倫理規定」を採用した。(1987年6月15日号)

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【ニユースダイジェスト】

 1.主にスロットマシンを設置しているブラジルのビンゴ遊技場はこれまでもしばしば取り締まり対象となっているが、違法営業の蔓延に業を煮やした連邦警察は今年4月に、「ハリケーン作戦」という名の大掛かりな取り締まりを実施した。その結果、賭博営業で得た不正資金に群がっていたのは業者だけでないことが判明し、取り締まりを妨害してきた裁判官、検察官など司法関係者も次々と逮捕することになった。最高裁は逮捕された裁判官の釈放を命じているが、連邦警察は物証を固め、あくまでも起訴に持ち込む構えを続けている。スロットマシンはサンパウロ州だけでも約30万台設置されており、一台で毎月平均千レアル(約5万4千円)儲かる利益を元に、汚職に巻き込まれるのは以前なら警察、検察までだったが、裁判官にまで及んでいたことは衝撃的で、政治問題に発展しつつある。 

 2.サミーのパチスロ機「北斗の拳」がアルゼの特許2件(第3069092号と第3708056号)を侵害しているとして、アルゼが05年12月に起こしていた訴訟で、東京地裁は5月22日、アルゼの訴えを棄却する判決を言い渡した。これらの特許はパチスロ機の「告知機能システム」に関するもので、アルゼはサミーが210億円の損害賠償をするよう求めていた。なお2件の特許についてサミーは06年3月、特許庁に無効審判を請求しており、うち第3708056号は無効だと、特許庁は06年10月に審判している。訴えを全面的に退けられたアルゼは、これら特許の意味が正しく理解されていない、として控訴する方針を明らかにした。

 3.スクウェア・エニックスは07年3月期連結決算を明らかにするとともに、完全子会社のタイトーに関わる「AM等事業」の売上高は約757億円、営業損失は3億5千百万円と発表した。大株主が京セラからスクウェア・エニックスに異動する前の05年9月中間期は売上高が415億円、異動後の下半期は411億円だったので、06年3月期は合計826億円と見られ、69億円ほど減収だったと推測される(06年7月に業務用カラオケ部門を売却したこともある)。営業損益は06年3月期の上半期が9億円の黒字、下半期が11億円の赤字だったので、実質黒字化しているとも言える。ただしタイトーの部門別業績などは明らかにされていない。スクウェア・エニックスはタイトーに関し、家庭用ソフトなどの不振をAM施設部門でカバーするに至らず、利益面で厳しい結果になったとしている。 

 4.コナミは5月22日、米国基準の07年3月期決算を発表、売上高は前年比約7%増の約2,802億円、営業利益は11倍の281億円、当期純利益は29%減の162億円だった。部門別売上高は主力のデジタルエンタテインメントが0.3%減の1,648億円(うち家庭用は0.7%減の836億円、業務用は22%増の401億円、遊戯王などトイ・ホビーは31%減の254億円など)、健康サービスは9%増の884億円、ゲーミングは57%増の167億円となっている。業務用ではネットワーク通信網で結んだ「eアミューズメント」の「麻雀格闘倶楽部」シリーズなどが好調だった。コナミグループは4月、東京ミッドタウンへの事務所統合を果たした。 

 5.カプコンは5月18日、07年3月期連結決算を発表、売上高は前年比約6%増の約745億円、経常利益は51%増の106億円、最終利益は16%減の58億5千万円だった。家庭用の売上高は3%増の438億円で営業利益は175%増の80億円、業務用の売上高は15%増の80億円で営業利益は23%増の13億円、ゲーム場運営(期末33店)の売上高は13%増の130億円で営業利益は18%減の20億円、コンテンツエキスパンション(携帯電話向けゲーム配信など)の売上高は24%増の71億円で営業利益は31%減の16億円など。業務用では「機動戦士ガンダムシードディスティニー連合vsZAFTU」が根強い人気で伸ばした。

 6.投資組合とアルゼが大株主となっているアドアーズの今年3月期決算は、売上高が15%増の204億円、経常利益が21%増の12億円、当期利益が83%増の3億4千万円と回復した。うちゲーム場運営は、5店増の5店減で64店、売上高は5%増の168億円、営業利益は2%増の17億円となった。今期も5店増などでゲーム場の売上高194億円(15.6%増)を目指している。なおアドアーズは5月29日にトップの異動を発表。6月27日付で鈴木英一社長が代表権のない会長に退き、昨年6月に取締役になった中川健男経営企画室長が社長に、同じく八多川昭一管理本部長が代表権のある専務に、それぞれ昇格することになった。 

 7.ソニーが5月16日発表した07年3月期連結決算で、SCEが担当するゲーム部門の業績は、売上高が「PS3」発売により前年比6%増の1兆168億円と1兆円を越したが、営業損益は2,323億円という巨額赤字となった。「PS3」の製造コストを下回る戦略的な価格設定による損失と、立ち上げ関連費用による。「PS3」の出荷台数は計画を8%下回る550万台で、今期は1,000万台出荷する計画だが、それでも約500億円の営業赤字になる見込み。これに対し、任天堂は連結決算(4月26日発表)によると、ハンドヘルド型「ニンテンドーDS」を2,356万台、また「Wii」も584万台出荷して、売上高は90%増の9,665億円、経常利益は80%増の2,888億円と過去最高を記録した。任天堂は今期売上高1兆1,400億円、経常利益2,900億円を見込んでいる。

 8.タイトーは8月ごろにも、本社をスクウェア・エニックス本社のある新宿文化クイントビル(渋谷区代々木3−22−7)に移転する見通しとなった。同社は06年3月以来、スクウェア・エニックスの完全子会社になっており、円滑な業務推進を目的に本社を移転することにしたものだが、正式発表はもう少し先になる。千代田区平河町にある現本社ビルは国会議事堂や中央官庁にも近く、一等地にあることで知られているが、これはタイトーが土地を取得して73年7月に新築したもの。その土地建物を大株主だった京セラへ01年3月期に売却、以後は賃借して使用してきた。

 9.ナムコは07年6月5日を「ナムコ(765)の日」と制定、そのキャンペーンの催しを6月3−5日の三日間、直営ゲーム場など276店で実施することになった。273店ある直営ゲーム場では、それぞれ「太鼓の達人9」を終日無料でプレイでき、またメダルゲーム設置店では5日に貸出しメダルの50%増量サービスを行なう。ナンジャタウン、金沢りらくの森、玄創工房でも入園無料や次回割引券進呈などを行なう。同社は06年3月末、旧ナムコから分割新設されたオペレーター会社。

 10.米国イリノイ州議会は5月16日、業務用TVゲーム機を使用して開催される大会の定義などを明らかにする州法案を可決した。これはIT社のゴルフゲーム「ゴールデンティーフォー」やTVボウリングゲーム、トラビアゲームなどのスキルゲームが、ゲーミング(賭博)遊技と関係ないことを明らかにするもの。もちろんポーカーゲームなどのTVカードゲームやTVスロットマシンを合法化するものでもない、と説明されている。イリノイ州のオペレーター協会であるICMOAは、法案審議を追跡、それを会員に逐一報告している。 



 ◎ 業界紙「ゲームマシン」は1974年以来、TVゲーム機を含む業務用アミューズメントマシン、遊園施設などに関する業界ニュースを、月2回のペースで伝えてきましたが、印刷媒体は2002年6月一杯で休刊しました。