2007年2月15日号Last updated on February 5, 2007
特報
 スクウェア・エニックスはタイトーのリストラ計画を明らかにした。

 カプコンは好調な第3・四半期実績に続き、通期予想を上方修正した。

海外
 フランスではTVゲーム開発が映画制作並みに優遇されている。

 英国「スーパーカジノ」の建設はマンチェスターに決まった。

国内

 バンダイナムコゲームスとSCEが合弁会社、セリウスを設立する。

 SNKプレイモアがパチスロ機生産工場の建設に着手した。


2007年2月15日号のニュースダイジェスト
写真は年明け早々の新作展で、上はバンダイナムコゲームスの「湾岸ミッドナイト・マキシマムチューン3」、下はバンプレストの「キン肉マン・マッスルグランプリ2」を試しているようす。(いずれも大阪会場で)

10年前の主なニュース

 セガ社は米国家庭用で生じた累損270億円の特別損失処理を決めた。ナムコはシステム11基板の次のシステム12基板に基づく「鉄拳3」を出荷する。「ときメモ」アダルト漫画を発行した三和出版がコナミに全面謝罪した。4月までにコナミ製品専門の販売会社が12社生まれる。(1997年2月15日号)

20年前の主なニュース

 米国データイーストにフリッパー部門、「データイーストピンボール」が誕生した。英国ATEIでコピー品は少なくなり、日本メーカー開発のTVゲーム機が話題の中心になった。米国の冬季CESで家庭用が活発化しつつある。米国ディズニーランドに「スターツアーズ」が加わった。(1987年2月15日号)

  Copyright ©Amusement Press Inc. 2007    ゲームマシン、アミューズメントプレス、アミューズメント通信は登録商標です。無断で本紙記事を転載したり、その他アミューズメント通信社の知的所有権を侵害することは違法です。




【ニユースダイジェスト】

 1.スクウェア・エニックスは1月30日、第3・四半期までの業績を発表。05年10月以来連結対象となったタイトーに関わる「AM事業」について、売上高は前年同期比169%増の56,369百万円、営業損失は754百万円としたうえで、リストラを進めていることを明らかにした。タイトーの業務用カラオケ事業は06年7月に売却したが、家庭用ゲームソフトについては仕入れ販売を止めて、開発に特化し、販売は親会社に移管する。主力のゲーム場は立地が多少劣っても新規ゲーム機の導入に資金を投入するなど、競争力を高めていく。そのため現在2百数十店のうち高コストの約2割(40店)を閉鎖し、現在千名いる社員のうち2百数十名の希望退職を募るとのこと。

 2.カプコンは2月2日、第3・四半期までの連結業績を発表、売上高は前年同期比約3%増の493億円、経常利益は45%増の77億円、純利益は42%減の43億円とした。部門別では、家庭用の売上高が15%減の250億円で、営業利益は90%増の44億円、業務用は売上高が22%増の68億円で、営業利益は17%減の9億円、ゲーム場運営は2店増の35店となり、売上高が14%増の96億円で、営業利益は8%減の15億円、ゲーム携帯配信や遊技機用などコンテンツエキスパンションは売上高が110%増の60億円で、営業利益は57%増の18億円だった。カプコンは通期予想を売上高696億円、経常利益80億円、最終利益44億円に上方修正した。

 3.ソニーは1月30日、第3・四半期(10―12月)連結決算(米国基準)を発表。うちSCEが担当するゲーム部門は、「PS3」の発売により売上高が前年同期比5.6%増の4,428億円となったが、営業損益は542億円の赤字(前年同期は678億円の黒字)だった。「PSP」用ゲームソフト以外は、「PS2」本体とソフト、「PSP」本体ともに減収だった。営業赤字は「PS3」の価格設定による損失、「PS3」立ち上げ費用などによる。12月までの9ヵ月決算では、ゲーム部門の売上高7,356億円に対し、営業損失は1,245億円となっており、営業赤字はさらに拡大する見込み。

 4.バンダイナムコゲームス(BNG)とソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)は1月24日、家庭用本体「PS3」のCPUである「セル・ブロードバンド・エンジン」を使った「新しいエンタテインメントコンテンツ」を創造するための合弁会社、セリウス(東京都目黒区、中村勳社長)を3月6日に設立すると発表した。出資比率はBNG51%、SCE49%で、鵜之沢伸BNG副社長と久多良木健SCE会長兼グループCEO、佐藤明SCE副会長も新会社取締役に就任する。中村勳氏は88年日大生産工学卒でナムコ入社、06年4月バンダイナムコゲームスのコンテンツ制作本部第4制作ユニットリーダーで、01年4月から東北芸術工科大教授兼任。埼玉県出身。41歳。

 5.アルゼの子会社であるセタは1月31日、吉田賢吉サミー元社長が2月1日付でセタの特別顧問に就任したと発表した。吉田賢吉氏は95年1月にセガ社の研究開発部門からサミーに移って取締役SP開発部長となり、04年6月には常務を経て社長となったが、05年に所得税法違反(脱税)が発覚、05年2月に体調不良で退任した。この脱税事件では起訴事実を認め、同7月に懲役1年・執行猶予4年と罰金の有罪判決を受けた。特許紛争を含めサミーと厳しい対立関係にあるアルゼグループの特別顧問に就くことになるが、セタでの具体的な職務などの説明はない。

 6.シチエは1月29日、06年12月期単独決算を発表、売上高は前年同期比約8%増の11,748百万円、経常利益は8%減の1,866百万円、当期利益は10%減の1,002百万円と増収減益だった。ボウリング場を含むAM施設の売上高は19%増の6,852百万円、ゲーム場だけでは20%増の6,676百万円で、ゲーム場の比率は高い。なお減益となったのは、AM機器減価償却費負担の増加と、新規の東雲店開設費用などによる。

 7.SNKプレイモアは1月23日、パチスロ機の増産とリサイクルを目的とする新工場建設に着手した、と発表した。今年7月竣工の予定。兵庫県三木市志染町の「ひょうご情報公園都市」内にある約4万uの敷地に、2階建ての工場と倉庫(延べ床面積12,360u)を建設するもので、毎月6万台の製品を生産できるほか、3万台の製品を倉庫に保管できる。回収したリサイクル機を活用して、低価格販売計画を実施できるというのが大きな特徴。(その後、12月5日に竣工した。12月6日追記)

 8.フランス政府がまとめたTVゲームの開発メーカーに対する20%の税制優遇案を国民議会が承認した、とロイターが1月末に伝えた。フランスにはアンフォグラム社(米国アタリ・インタラクティブ社の親会社)、UBIソフト社、ビベンディ社などの家庭用メーカーが存在するし、06年3月には任天堂の宮本茂氏らに芸術文芸勲章を授与するほど、TVゲームに映画と同等の芸術文化的価値を認める姿勢を打ち出している。ルノー・ドヌデュー・ド・ヴァーブル文化大臣は、今回の税制優遇措置についても「ビデオゲームは芸術的表現。私をゲーム大臣と呼んでもいい」と公言するほど積極的姿勢を示した。なお税制優遇の具体的な内容は映画制作と同様とされている。

 9.英国賭博法(ゲーミングアクト)改正に伴いラスベガスサイズの「スーパーカジノ」建設が可能になったが、その建設予定地レースでマンチェスターが勝った。候補地を選定する政府の委員会が1月30日に発表したもので、1,250台の無制限ゲーミング機を設けるカジノはマンチェスターに、中規模のカジノはサザムプトンなど8ヵ所に、小規模のカジノはバースなど8ヵ所にそれぞれ建設が認められた。「スーパーカジノ」は当初案では40ヵ所予定されていたのが、8ヵ所に削減され、さらに1ヵ所となるなど当初案から大幅に後退した。



 ◎ 業界紙「ゲームマシン」は1974年以来、TVゲーム機を含む業務用アミューズメントマシン、遊園施設などに関する業界ニュースを、月2回のペースで伝えてきましたが、印刷媒体は2002年6月一杯で休刊しました。