2006年6月15日号

Last updated on June 6, 2006

特報

 AOUの新会長にタイトー専務の飯沢幸雄氏が就任した。

 バンダイナムコゲームスが新作展で、「戦場の絆」を紹介した。

海外

 米国アイオワ州でビデオラッタリーが禁止となった。

 パラマウントパークス社がシーダーフェア社に買い取られた。

国内

 アルゼのトップが異動、岡田氏は再び会長になった。

 仙台ハイランドは倒産、奈良ドリームは閉鎖に。


2006年6月15日号のニュースダイジェスト
写真はバンダイナムコゲームスの新作展(大阪)で、披露された「機動戦士ガンダム・戦場の絆」のようす。同ゲームの映像はプロジェクト投影式なので、ストロボ発光させると見えなくなってしまう。上の写真は用意された同製品説明フライヤーに掲載されたものから使用した。

10年前の主なニュース


 米国第2回「E3」で「ニンテンドウ64」の実物が披露された。06年3月期業績は、セガ社が海外家庭用の後退で増収減益、ナムコは最高の増収増益、タイトーは大幅減収で初の大幅赤字となった。AOUは桜井健雄専務が執筆した「ゲーム場が風営になった理由」(管理運営教本)を発行した。(1996年6月15日号)

20年前の主なニュース


 SNKはヒット作「怒」について、米国トレードウェスト社など海外に基板販売を許諾した。ゲーミング機を全面禁止している米国ニューヨーク州の取締り当局は、クレジット/ベット式TV機についても一掃することを決めた。コナミ工業創設者の一人、仲真良信氏が同社を退社した。(1986年6月15日号)


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【ニユースダイジェスト】

 1.バンダイナムコゲームスは5月中旬(12日福岡、15−16日東京、18−19日大阪)新作展を催し、「機動戦士ガンダム・戦場の絆」など詳しく紹介した。期待の大作「機動戦士ガンダム・戦場の絆」は、プレイヤーを包み込む形のキャビネットの内側をスクリーンとして使用する、POD(パノラミック・オプティカル・ディスプレイ)の威力を最大限発揮するもので、頭上に設けられたプロジェクト光源からの距離が違うにもかかわらず、焦点が合うよう特殊レンズが使用されている。また映像周りもよくできており、プレイヤーの操作(2本レバーとボタン)に応じて、一斉にこれらの映像が動くため、思わず酔ってしまうほどの臨場感がある。最大8人用(4人対4人)だが、4人用セット(1,380万円)から受注。9−12月に分納。

 2.全日本アミューズメント施設営業者協会連合会(AOU)は5月26日、東京・赤坂で開催した通常総会を経て、入江昭造会長の退任に伴い、飯沢幸雄理事の会長昇格を決めた。たつみ娯楽代表、栃木県協会長の入江昭造氏は、94年6月から12年間もAOU会長を務めた。新たにAOU会長となった飯沢幸雄氏はタイトー代表取締役専務で、05年3月から東京都協会長、AOUでは04年6月から理事を務めている。なおAOU副会長には平本将人氏(プロバックス代表、広島県協会長)が留任、梶修明氏(プレビ代表、茨城県協理事)が新任で選任された。AOUは90年3月以来、業者の利益を図る業者団体と公共の利益を図る公益法人という、相反する性格を併せ持つ矛盾した体質を保っている。

 3.TVゲームを幅広く学術的に研究するための、環境作りを進める「日本デジタルゲーム学会」(会長=馬場章東京大大学院教授)の設立総会が5月19日、東大・本郷キャンパスで開かれた。「日本はゲーム大国といわれているが、ゲームの学術的な研究が立ち遅れている」との認識から、国際的な組織であるDiGRAの日本支部(ディグラジャパン)という位置づけで、数年前から始まった学術研究に弾みをつけようとするもの。07年9月に東京で開催される予定の「DiGRA07」の準備を進める狙いもある。副会長に立命館大学の細井浩一教授が、また理事にバンダイナムコゲームスの岩谷徹氏らが就任した。

 4.米国で「ビデオラッタリー」と言えばTVゲーミング機のことだが、中西部のアイオワ州では税収入が見込めることから、「ビデオラッタリー」を設置する雑貨店などのミニカジノ運営が長年認められてきた。ところがそれが蔓延するようになると、今度はギャンブルを非難する世論が高まることになり、ついに州議会は今年3月に方針転換し、5月限りで同州約3千ヵ所に6千台あるとされる「ビデオラッタリー」とそれに類するゲーミング機(最も多いのはバリー社スロットマシン「タッチプレイ」)の運営を禁止することになった。あわてたのはこれらのゲーミング機を設置運営している業者で、アイオワ州から撤退するものもあれば、州政府を相手取って訴訟を起こすものも出てきた。5月5日、この州法は施行された。

 5.米国メディア大手のCBSコーポレーションは5月22日、子会社で遊園地経営チェーンのパラマウントパークス社を、競業するシーダーフェア社に12億4千万ドル(約千3百億円)で売却することで合意した。パラマウントパークス社はカナダのワンダーランド、シンシナティのキングスアイランドなど、5ヵ所のテーマパークを運営し、年間約12百万人を集めている。シーダーフェア社は、遊園地7ヵ所とウォーターパーク5ヶ所を運営し、年間約13百万人を集めており、パラマウントパークス社を取得することにより、一挙に規模を二倍にすることになる。CBSコーポレーションはパラマウントパークス社売却の考えをすでに1月に発表していた。

 6.カプコンは5月23日、06年3月期連結決算を発表、売上高が前年比6.6%増の702億53百万円で、経常利益が5.2%減の70億16百万円だったが、移転価格税制による更正処分の結果、最終利益は92%増の69億41百万円となった。部門別で、家庭用ゲームソフトは売上高が7%増の427億円、営業利益が25%減の29億円とさえなかったが、業務用は売上高が6%減の約70億円、営業利益が43%減の11億円、ゲーム場運営は売上高が6%増の115億円、営業利益も6%増の24億円、コンテンツエキスパンション(遊技機向け液晶表示基板など)は売上高が36%増の57億円、営業利益が35%増の23億円と、いずれも快調だった。

 7.アルゼは5月29日、富士本淳副社長の社長昇格と、産業再生機構から余語邦彦氏を代表権のあるCEOに採用するとのトップ異動を発表した。6月29日の株主総会を経て、正式就任する予定。また元セガ社長の中山隼雄氏(アミューズキャピタル会長兼社長)が6月1日付でアルゼの特別顧問に就任した。富士本淳氏は78年日本電子工学院電子工学科卒、82年世田企画社長、85年セタ社長。セタがアルゼ子会社になったのに伴い、01年アルゼ常務、04年6月から副社長兼開発本部長。48歳。実質オーナーの岡田和生会長兼社長は、再び代表権のない会長となる。余語邦彦氏は東大機械工学科卒、光通信副社長を経て、03年8月から産業再生機構執行役員(今年1月までカネボウ化粧品の会長兼CEO)。49歳。

 8.アルゼは5月24日、06年3月期連結決算を発表、売上高が前年比33%減の約485億円と連続して大きく後退し、経常損失85億円、最終損失127億円と赤字に転落した。棚卸資産評価損31億円など特別損失58億円を計上した。部門別では主力の七号遊技機の売上高が47%減の250億円で、営業利益は75%減の28億円、関連会社となったアドアーズが担当するゲーム場の売上高は1.1%減の160億円で、営業利益は0.6%減の19億円、その他販売(海外カジノ用、国内メダルゲーム用、家庭用ソフト)は売上高が8%増の52億円で、営業損失は25億円。アルゼ対ケイエム企業の訴訟とは別に、アドアーズは真鍋氏に対し短期貸付金20億7千4百万円の返還を求める訴訟を起こして勝訴し、アルゼはその債権をアドアーズから取得したので、訴訟当事者になったとのこと(判決など詳細な事実は不明)。

 9.青葉ゴルフ(仙台市青葉区、高橋敏明代表)が5月24日、民事再生法手続き開始を申請し、仙台地裁は保全命令を出した。負債は123億円。64年3月創業、66年1月設立のレジャー施設運営会社で、宮城県では数少ない遊園地とサーキット場、そしてゴルフ場の複合施設「仙台ハイランド」を運営してきた。これは「青葉山ゴルフ練習場」(68年5月開設)と「仙台ハイランドカントリークラブ」(74年8月開設)に、遊園地とサーキット場を加えたもので、90年8月に「西仙台ハイランド」から「仙台ハイランド」へと改称。遊園地は「仙台ハイランド遊園地」、サーキット場は「仙台ハイランドレースウェイ」、ゴルフ場は「仙台ハイランドカントリークラブ」としてそれぞれ運営されてきたが、この複合施設自体の不振により、資金繰りが悪化していた。

 10.伝統的遊園地のひとつ、「奈良ドリームランド」(奈良市法蓮佐保山、ドリームパーク経営)が8月末で閉園することになった。日本ドリーム観光が61年7月に開業した遊園地で、93年にダイエー傘下に入ったのに伴い、ダイエー子会社のドリームパーク(現ドリームランド)経営となり、同社は05年11月不動産会社のテンラッシュに売却されていた。テンラッシュは経営不振を理由に閉園を決めたとしている。日本ドリーム観光が64年8月に開園した横浜ドリームランドは02年2月に閉園しており、また奈良市では04年6月にあやめ池遊園地が閉園している。一方、96年の歴史を持つ「ひらかた大菊人形」は05年秋で幕を閉じたが、そのためひらかたパーク(京阪電気鉄道経営)の年間入園者は例年を大きく上回る、150万人に達した。



 ◎ 業界紙「ゲームマシン」は1974年以来、TVゲーム機を含む業務用アミューズメントマシン、遊園施設などに関する業界ニュースを、月2回のペースで伝えてきましたが、印刷媒体は2002年6月一杯で休刊しました。