2006年4月15日号

Last updated on April 10, 2006

特報

 アルゼが持株を一部売却したため、アドアーズは子会社でなくなった。

 カプコンは国税局から「移転価格税制」の適用を受けた。

海外

 ラルフ・ベア氏が2月13日、大統領から技術栄誉賞を授与された。

 米国カミング・アリソン社は、グローリー工業から和解金23億円を受け取った。

国内

 アトラスは海外の3子会社を整理することにした。

 セガサミーグループのトムスは、子会社のオーペスを宮地氏に売却した。


2006年4月15日号のニュースダイジェスト
写真上は米国ホワイトハウスで、ジョージ・ブッシュ大統領(右)から技術栄誉賞を手渡されたラルフ・ベア氏(左)。下は大統領(中央)、商務長官(右端)とともに(左から)、モトローラ社のウォーリアさん、IBM社のドノフィリオ氏、ジェン・プルーブ社のノードホフ氏、ロジャー・イーストン氏、ラルフ・ベア氏、ILM社のイングランドさんとジョージ・ルーカス氏、パッカー社のピゴット氏。

10年前の主なニュース


 米国でセガ社とMCA社などの合弁会社はセガゲームワークス社として、セガUSA社の販売業務を引き継ぐことになった。ナムコは6月にオープンする「ナンジャタウン」の概要を明らかにした。NHKは「新・電子立国」シリーズでTVゲームの技術的変遷を追う番組を放送した。タイトーの欧州子会社が業務を停止した。(1996年4月15日号)

20年前の主なニュース


 ASIとAOEが合併して出来た初のACMEが米国シカゴで開催され、内容も充実し成功した。PC用ソフトウェアの無断貸与を禁じる判決が東京地裁で出た。任天堂VSシステム用初の外部ソフトとして、ジャレコ「忍者じゃじゃ丸くん」が発売された。東洋娯楽機直営の「浅草花やしき」が全面改装し、再オープンした。(1986年4月15日号)

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【ニユースダイジェスト】

 1.米国のジョージ・ブッシュ大統領は2月13日の昼前、TVゲームを考案し開発したラルフ・ベア氏ら2名と5社代表をホワイトハウスに招き、2004年度技術栄誉賞(National Medal of Technology)を手渡した(受賞決定については本紙05年12月1日号参照)。5社の内訳はジェン・プルーブ社、IBM社マイクロエクトロニクス部門、インダストリアル・ライト&マジック社(ILM)、モトローラ社、パッカー社。この賞は連邦議会が1980年に創設、商務省が運営しているもので、受賞者はこれまで166人。大変名誉ある章とされている。

 2.アルゼは3月30日付で、子会社であるアドアーズの株式の約32%を、外部の投資ファンドに売却し、親会社でなくなることが判明した。アルゼとアドアーズがそれぞれ29日に発表した。新たにアドアーズの筆頭株主になるのはGF投資ファンド投資事業有限責任組合(東京、大岡伸明代表)だが、詳しくは不明。持分がこれまでの62%から30%に下がるアルゼは第二位株主となるが、売却益約21億円を特別利益に計上する。なおアドアーズはこれと平行して、3月期業績予想を下方修正した。主力のゲーム場運営が厳しく、修正後の予想売上高は178億円(2月の前回予想では202億円)、経常利益は10億円(16億円)、当期利益は2億5千万円(5億2千万円)となっている。

 3.カプコンは3月31日、大阪国税局から約51億円の申告漏れを指摘され、約17億円の追徴課税を受けることになったと発表した。国内企業と海外子会社との取引で、取引価格が独立企業間価格と異なると判断された場合に適応される「移転価格税制」によるもので、国税局は05年3月期までの6年間について修正申告を命じた。カプコンは取引価格をあくまで適正としており、この処分に対し異議を申し立てる。カプコンは国税処分に加え、海外家庭用ゲームソフトの伸び悩みにより、06年3月期業績予想を下方修正した。修正後の経常利益は64億円(昨年11月の前回予想では74億円)、当期利益は65億円(89億円)となっている。

 4.アトラスは3月27日、海外の3子会社を整理するとともに、オンラインゲーム「リスク・ユアライフ・パート2」の運営を打ち切ることを決めた。整理される海外子会社は中国で写真シール機の販売・運営を担当するアトラス天津エレクトロニクス社、アトラス上海デジタルイメージ社と、英国で写真シール機の特許を持つフォトスター社。中国では事業黒字化の見通しが立たず、また英国特許は買い取りを決めたため、子会社にする意味がなくなっていた。オンラインゲームは昨年10月から試験運営してきたが、収益確保が困難と判断した。これらにより3億5千6百万円の特別損失を計上する。

 5.トムス・エンタテインメントは3月24日、子会社のオーペス(本社大阪府吹田市、宮地俊二社長)を現社長の宮地氏に7億円で売却したことを明らかにした。オーペスは80年12月に神戸で大王振興として設立されたオペレーター会社で、86年6月にいったんセガ社の子会社になったが、92年8月にキョクイチがセガ社と提携したことから、96年3月にセガ社の手を離れて、キョクイチの子会社となった。現在セガサミーホールディングスの子会社であるトムス・エンタテインメントは2000年1月にキョクイチから改称、またオーペスは同年4月に大王振興から改称していた。オーペスは現在ゲーム場7店を運営しており、05年3月期の売上高は約13億円。トムス・エンタテインメントもゲーム場23店を運営している。

 6.イオンは3月31日、グループ内サービス事業再編策のひとつとして、マイカルクリエイト(本社大阪、平沢範雄社長)をイオンファンタジーが株式を取得した上で、吸収合併することに決めた。213店の屋内遊園施設を運営するイオンファンタジーは4月10日付で、同様に77店のゲームコーナーを運営するマイカルクリエイトの全株式を同じグループ内のマイカルから取得し、8月1日付で合併する。両社はこれまで、一部店舗で取引があったほか、直接の資本・人的関係はなかった。また4月5日に発表されたイオンファンタジーの06年2月期決算では、期末店舗は226店で前年比20店増え、売上高は19.5%増の344億円、経常利益は22.9%増の37億円と伸ばしており、07年2月期は売上高458億円、経常利益43.5億円を見込んでいる。

 7.松下電器産業とスクウェア・エニックスは4月7日、さまざまなデジタル家電でシームレスに利用できるコンテンツの開発環境と、開発したコンテンツを利用できる環境を共同構築していくこと、並びにこれらの環境をセットメーカーやコンテンツプロバイダーに共同で提案していくことで合意したと発表した。両社は07年3月までに、スクウェア・エニックスが持つソフトウェア技術を活用したミドルウェア「シードエンジン」を、松下電器が家電統合プラットフォーム「ユニフィエ」に組み入れていく。これによりパソコンにとどまらず、テレビやDVDレコーダなどのデジタル家電、携帯音楽プレーヤー、携帯電話、カーナビなどのモバイル機器などで、機種に関係なくTVゲームなどのコンテンツが利用できることになるとしている。

 8.米国の貨幣処理システムメーカーであるカミンズ・アリソン社が、米国で日本のグローリー工業を特許侵害で訴えていた裁判は02年以来、カミンズ・アリソン社の本社があるイリノイ州だけでなく、一部訴訟についてテキサス州にある連邦地裁でも争われているが、この3月にもテキサス州にある連邦地裁で和解が成立し、グローリー工業がカミンズ・アリソン社に2千万ドル(約23億4千万円)を支払うことになった。紙幣識別機に関する特許訴訟なので内容が複雑な上、一部について訴訟地の変更をめぐる争いもあったため、分かりにくいが、グローリー工業側の敗訴は確実となっており、さらにイリノイ州での訴訟が残されているもよう。

 9.神戸ポートピアランドが3月31日、25年の歴史に幕を下ろした。81年の神戸ポートピア博の付属遊園地をもとに、81年10月に開園し、91年のピーク時に163万人を集めた。しかし、95年1月の阪神大震災の打撃を受け、回復できず、そのため経営してきた阪急電鉄が02年4月に撤退し、その後は神戸市による運営で打開策を模索してきたが、入園者は04年度に37万人まで落ち込み、閉鎖を決めたもの。跡地には大型店舗が進出する予定。



 ◎ 業界紙「ゲームマシン」は1974年以来、TVゲーム機を含む業務用アミューズメントマシン、遊園施設などに関する業界ニュースを、月2回のペースで伝えてきましたが、印刷媒体は2002年6月一杯で休刊しました。