2004年7月1日号

Last updated on June 26, 2004

特報

 タイトーは米国MGM社の映画4タイトルの映像を使用する多人数用メダルゲームを開発中だ。

 日本プロ野球選手会はコナミとのパブリシティ権訴訟を取り下げた。

海外

 米国ミッドウェー社の資本異動により、ケネス・クロン氏が会長に就任した。

 ブラジルのビンゴ遊技場は息を吹き返したが、賭博規制法案も提出されている。

国内

 アルゼの岡田和生社長は代表権のない会長に、原旭氏が新社長に就任することになった。

 アドアーズの社長が株主総会の翌日に交代した。



2004年7月1日号のニュースダイジェスト

写真はナムコ創立50周年記念パーティーで、上は右端の中村雅哉会長が紹介した経営陣のうち(左から)田中慶治常務、橘正裕専務、猿川昭義副社長、木久四郎社長。下は会場で(左から)高井商会の高井一美社長、ナムコの石村繁一取締役、ドリームスの西角友宏社長


10年前の主なニュース


 海外家庭用の不振で、セガ社が12年ぶりの減益になるなど大幅に後退した。タイトーでは長谷川桂祐社長が会長に退き、中村紘一副社長が社長に昇格した。コナミでは西村靖雄社長が退任し、上月景正会長が社長兼任となった。SCEは開発中の家庭用「プレイステーション」の概要を初めて明らかにした。(1994年7月1日号)

20年前の主なニュース


 福井県は青少年条例施行規則を公布し、規制対象となる「特定遊技機」とはメダルゲーム機など、技術介入の極めて少ないものと規定した。JAMMAおよび中部オペレーター会は風営法改正反対の運動を開始した。セガ社では資本異動を機に、取締役だった越智止戈之助、中山孝蔵の両氏が退任した。(1984年7月1日号)

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【ニユースダイジェスト】

 1.タイトーは6月25日、米国の大手映画会社MGM社から、映像使用権を獲得し、多人数用メダルゲーム機に使用することになったと発表した。第1作は9月発売予定の「シネマテックルーレット」で、遊技の進行に合わせて、映画「ロッキー」、「ロボコップ」など4タイトルの各シーンを使用し、臨場感を高めるのが特徴となる。価格は600万円以上で、年内に500台の出荷を見込んでいる。「シネマテックルーレット」では特に、高分子液晶スクリーンと回転プロジェクター投影による大画面、大迫力の異次元映像演出を可能にした「マジックピクチャーシステム」を採用するなど、技術的な特徴も盛り込んでいる。タイトーではゲーム場を盛り上げるために多人数用メダルゲーム機の開発が重要と捉えており、特にクレジット/ベットタイプの製品揃えを進めていきたいとしている。

 2.日本プロ野球選手会はコナミと社団法人日本野球機構(JBO)を相手取って、02年8月にプロ野球選手の氏名・肖像などを使用したTVゲームソフトの製造販売の差止めなどを求めて提訴していたが、選手会はコナミに対する訴えを取り下げることで6月25日に和解した。選手会とJBOの訴訟は継続中。コナミはJBOから99年に許諾を受け、3年間にわたり他社への許諾を含め独占していたが、選手会から許諾を得ていなかったため選手会から訴えられていた。また、00年4月には公正取引委員会から警告を受けており、そのときまでに独占的契約は解消された。訴えられていたコナミは今年3月に選手会との和解交渉を開始し、選手らのパブリシティ権が選手側にあるのか球団側にあるのかが争点となっていることを確認したうえで、選手会とJBOとの間で出るこの争点の結論にコナミが従うことで和解したもの。

 3.アルゼは6月15日、トップ異動を発表。6月29日付で岡田和生社長が代表権のない会長となり、今年3月に入社し営業本部長になったばかりの原旭氏が社長に就任することになった。原旭氏は68年明治大政経卒で住友銀行に入行し、94年に上野支店長。97年に日本管財センターに常務として入社、98年ビルメンテナンスの清建社に業務本部長として入社し、99年1月に常務昇格。04年3月、アルゼに入社して営業本部長。58歳。なお、富士本淳常務は取締役に降格となる。岡田氏は5月20日に神戸地裁尼崎支部に提出した陳述書の中で、「人心を一新させ、代表を退任することを決意しました」と代表辞任を表明し、5月25日に出した決算短信でも「オーナー社長であった岡田社長を主軸にして動いていた組織を見直していく」としていた。しかし、40%以上の筆頭株主であることに変化はなく、経営の実権を手放すことはないと見られている。なお、アルゼは神戸地裁尼崎支部に、鹿砦社発行の単行本「アルゼ王国の崩壊」の出版差し止めを求める仮処分を申請していたが、5月27日に申請は却下された。

 4.アドアーズは6月24日、前日の定時株主総会で取締役になったばかりの重久伸正氏がこの日、社長に就任したことを明らかにした。前社長の河野良明氏は取締役を退任したが、顧問にとどまる。新社長の重久伸正氏は71年国学院大経卒、東邦生命保険入社。98年GEエジソン生命保険出向、01年オーエープロジェクト社長を経て、今年からアドアーズの顧問。神奈川県出身。55歳。アドアーズは、67年12月設立のシグマが00年2月にアルゼの子会社となり、アルゼグループのテクニカルマネージメント、環デザインの2社と00年10月に合併し、現社名に改称したもので、主に関東地区で65ヵ所のゲーム場を運営している。合併後の社長は森茂樹氏(代表権なし)、伊藤靖宏氏、河野良明氏の順で交代してきた。

 5.米国シカゴのミッドウェーゲームズ社は6月14日、ニール・ニカストロ会長退任に伴い、ケネス・クロン氏が会長に就任したと発表した。同社は96年にWMSインダストリーズ社から分離分割された業務用AM機と家庭用TVゲームソフトのメーカーだったが、99年10月にフリッパーから、また01年6月に業務用TVゲームから撤退しており、その後は家庭用のみとなっている。しかし家庭用市場での競争は激しく、03年12月期の売上高は9,252万ドル(約102億円)まで下がっており、今年に入ってメディア大手のバイアコム社のサマー・レッドストーン会長兼CEOと、かれが会長を勤めるナショナルアミューズメント社が、ミッドウェー社の70%の株式を取得したので、6月10日の株主総会で役員の大幅異動が行なわれたもの。クロン氏はビベンディ・ユニバーサルゲームズ社CEOを経て、02年からコンピューターアソシエーツインターナショナル社のCOOだった。なおニール・ニカストロ氏の父親、ルイス・ニカストロ氏は役員にとどまっている。

 6.大阪芸術大学が05年4月に開設するキャラクター造形学科に、ナムコのゲーム開発者、岩谷徹氏が客員教授として就任することになった、とナムコが6月21日に明らかにした。キャラクター造形学科で岩谷氏はゲーム関連の講義、ゲーム制作の実習などを担当する予定。ナムコでは01年4月以来、さまざまな形で教育支援を進めており、東北芸術工科大学や東京工芸大学、デジタルハリウッド、東北電子専門学校、新潟コンピュータ専門学校などに、開発者を講師として派遣してきている。なお、岩谷氏は「ジービー」、「パックマン」、「リブルラブル」、「ギャラガ」など50タイトル以上の業務用TVゲーム制作に携わり、とくに世界的なヒット作となった「パックマン」のアイデアを生み出したことで知られている。

 7.ブラジルではサンパウロなど主要都市部にあるビンゴ遊技場は犯罪の巣であるとして、今年2月から大統領の暫定措置令で営業が全面的に禁止されていたが、5月5日に上院議会でビンゴ遊技場の暫定禁止令案が僅差で否決されたため、ビンゴ営業が再開され、そこにまた人々が群がることになった。与党の労働党などは、ビンゴ遊技場の8割が犯罪組織に属しており、社会問題を引き起こしていると見ており、野党もそう考えていたが、野党は与党からの相談がまったくなかったことに腹を立てて、法案を葬ってしまった。そのため野党は改めて、ビンゴやスロットマシンなどの営業を禁止する賭博規制法案を、5月8日に上院議会に提出した。なにぶん遠い国なので、その後のことはまだ分からない。

 8.米国ラスベガスの大通りに近いカジノホテル、リオ・オールスイートホテルの駐車場に世界最大の観覧車「ボイジャー」(高さ158m)を建設するという計画は、4月末に中止になったことが分かった。観覧車「 ボイジャー」の建設をプロモートしているボイジャー・エンタテインメント社が明らかにしたもので、他に建設予定地を探すことになったとしている。


 ◎ 業界紙「ゲームマシン」は1974年以来、TVゲーム機を含む業務用アミューズメントマシン、遊園施設などに関する業界ニュースを、月2回のペースで伝えてきましたが、印刷媒体は2002年6月一杯で休刊しました。