2003年10月1日号

Last updated on September 27, 2003

特報

 米国AMOAエキスポ03で、米国のTVゲームメーカーは相変わらず低調だが、それでも新作は少なくない。

 任天堂は中国本土向けの家庭用TVゲーム機を10月から本格的に展開することになった。

海外

 米国で「サムライスピリッツ零」は悠紀の代理店としてアップルインダスリーズ社が販売することになった。

 米国GVR社を相手に訴えているIT社の主張は怪しくなってきた。

国内

 ナムコは大阪・梅田のOSビルにAM複合施設「ナムコシティ」を来春オープンすることになった。

 カプコンなど4社は「ガンダムプロジェクト」の第2弾について発表した。


2003年10月1日号のニュースダイジェスト

写真はAMOAエキスポ2003で、上はナムコ・アメリカ社の小間で(左から)ケビン・ヘイズ社長、フランク・コゼンティーノ販売担当副社長(AAMA会長)。下はEA社家庭用ソフトから転用し、コックピット型にしたGVR社の「ニード・フォー・スピード」で、会場では人気を集めた。


10年前の主なニュース


 カプコンが米国シカゴにフリッパー製造拠点を開設することが確実になった。ナムコは米国マジックエッジ社とシミュレーターで提携した。米国ブロムリー社はシカゴ市内に大規模ゲーム場「ファンランド」を開設した。米国AMOAエキスポでは、ゲーミング機の出品を認めないことが確認された。神戸・六甲アイランドの遊園地「ダイナバーン」が完成して、「AOIA」がすべて出来上がった。(1993年10月1日号)。

20年前の主なニュース


 米国セガ社の子会社であるセガ・グレムリン社の製造部門を工場ごと、米国バリー社が買い取った。東洋娯楽機は宙返りコースター「アストロコメット」の米国輸出を開始した。辰巳電子が開発した「TX−1」のロケテストが始まった。コピー基板で知られるジャクソンが倒産した。米国スターン社は経営不振のため、TVポーカーゲームへの改造を開始した。(1983年10月1日号)。

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【ニユースダイジェスト】

 1.米国AMOAエキスポ03(9月17−19日、ラスベガス)には約150社が482小間に出展し、2,450人が登録入場し、これと同時に同じ会場で開催されたファンエキスポ03には153社が約300小間に出展し、1,500人以上が登録入場した。いずれかで登録すれば両方の展示会場に入れるわけで、両方合わせると約300社が出展、約3,950人が登録入場したことになる。このほか同時期に別会場で開催されたゲーミング関係の「G2E」からもフリーで入場している。米国のメーカーはTVゲーム機分野で相変わらず低調だが、ベトソン社がアタリ社製品を継続する「ラッシュ2049スペシャルエディション」を出品し、古典ゲームを掘り起こすチームプレイ社はガンゲーム「クロスファイヤー」を紹介、そしてPCゲームに基づきグローバルVR社が「ニード・フォー・スピード」、ツナミ社が「スターウォーズ」を製品化して注目された。ICE社は子供向けに「タックスレーサー」を、ジャムアップゲームズ社はTVプールテーブル「ジャムアッププール」を披露した。

 2.米国AMOAエキスポ03で日本の製品はいぜん高水準にある。ナムコ・アメリカ社はAMショーで参考出品された「クラシックフットボール」、「スペースインベーダー/クイックス」、そして「タイムクライシス3」などの新作を紹介した。うち「スペースインベーダー/クイックス」はタイトーの協力を得てナムコ・アメリカ社が企画、北米で販売する予定になっている。セガ・アミューズメンツUSA社は「アウトラン2」、「F−Zero AX」などの新作を紹介した。サミーUSA社は「ギルティギア・イスカ」を含む「AW」タイトルを披露した。米国ベトソン社はタイトー「バトルギア3」、コナミ「ウォーゼイド」(ワールドコンバット)を出品した。SNKネオジオUSA社は出展を中止したが、これは新製品「サムライショーダウンX(ファイブ)」(サムライスピリッツ零)の海外販売ルートが決まったためで、日本と北米について悠紀エンタープライズが販売を担当し、東南アジアや中南米、ヨーロッパを含むその他地域についてはSNKプレイモアが担当する。AMOAでは悠紀の米国代理店のアップルインダストリーズ社が出品した。このほか韓国のメーカーによる新作が紹介された。

 3.任天堂は9月24日、中国本土市場向けに開発された家庭用TVゲーム機「神遊機」を10月中旬から展開することを明らかにした。中国ではごく当たり前となっている無断コピーを防止するため、メディアとしてフラッシュメモリーカードを使用。プレイヤーはこのカードを販売店に持ち込み、ゲームソフトを書き換える仕組みだ。販売店には通信回線を通じてゲームソフトのデータが送られる。このカードは購入時にセットされたゲーム機本体でしか使えなくしている。「神遊機」を展開するため任天堂はすでに蘇州に「神遊科技公司」を設立、ここを拠点に製造し、まず上海と広東省広州、四川省成都で販売を開始し、来春には全土に広げる予定。価格は本体と空のカードのセットで日本円で約7,500円、ゲームソフトの書き込みは1タイトル約720円で、「スーパーマリオブラザーズ」など当面約10タイトルを予定している。岩田聡社長は、「中国では海賊版が多かったが、任天堂が税金を納めていくことで、海賊版の取締りにも協力してもらえる」と語っている。

 4.ナムコは9月24日、大阪・梅田のOSビルの1−3階に新形態のAM複合施設「ナムコシティ」を来春オープンすると発表した。これはナムコの西日本エリアでの最重要店舗となるもので、最高の立地条件にあるOSビルの1−2階(1,665u)にゲーム場「ナムコランド」を、3階(1,178u)にフードテーマパーク「浪速餃子スタジアム」を開設する。フードテーマパークについては、「池袋餃子スタジアム」と名古屋の「ナムコ・縁起町1丁目」での成果を採り入れる予定。投資額は15億円。年間3百万人が訪れ、25億円の年間売り上げがあると見込んでいる。また同社は25日、東京・自由が丘の「ラ・クール自由が丘」1−3階にフードテーマパーク「自由が丘スイーツフォレスト」を11月21日にオープンすると発表した。国際コンクールで入賞した洋菓子職人たちが12店に集まるもので、ディベロッパーの岡田不動産との共同事業となる。初年度百万人の利用客、10億円の売り上げを見込んでいる。

 5.米国のインクレディブル・テクノロジーズ社(IT、本社シカゴ郊外、エレーヌ・ディットン社長)はTVゴルフゲームを巡って、バーチャルテノロジーズ社の一部門であるグローバルVR社(GVR、本社サンノゼ、ミリンド・バルバカー社長)を著作権侵害などで03年2月に訴えているが、IT社が申請した一時的禁止命令が2月に却下されたのに続き、9月26には予備的禁止命令も却下された。IT社はGVR社の「EAスポーツPGAツアーゴルフ」が、IT社の「ゴールデンティー・フォー」などとそっくりだとしてシカゴにある連邦地裁に提訴したが、IT社が言う「トレードドレス」(商標とは少し異なるサービスマークのようなもの)や著作権の侵害について、八月には集中して聴聞を進めたのに、具体的な立証がなかったことから、マチュー・ケネリー判事はIT社の主張を、少なくとも禁止命令の申請については退けたことになる。本訴自体は続けられるが、IT社の訴えはかなり怪しくなってきた。

 6.カプコンなど4社は9月18日、「4社合同ガンダムプロジェクト」の第2弾として、すでにAMショーなどで業務用を披露している「機動戦士Zガンダム・エゥーゴvsティターンズ」を発表した。これは「機動戦士ガンダム・連邦vsジオン」に続くもので、バンダイのガンダムキャラクターに基づき、カプコンが業務用TVゲーム機をシステム基板「246」に基づいて開発、9月下旬から販売し、家庭用については「PS2」用にカプコンが開発、バンダイが12月上旬に発売するというもの。家庭用についてはKDDIの提供するネットワーク対戦型高速ネットワークサービス「マルチマッチングBB」に対応している。前作の家庭用は01年12月以来、「ガンダム」ゲームソフトでは新記録となる92万枚も出荷した。カプコン・第1開発事業部の船水紀孝常務執行役員は、「カプコンとして久々の業務用ゲームだが、ファンの期待を裏切らないものができたと自負している」と述べている。

 7.セガ社は開発子会社の再編を進めているが、7月30日発表で仮称となっていた2社の正式社名が決まった、と9月24日に発表した。ワウエンターテイメントとオーバーワークスの合併会社、仮称ワウワークスはセガワウ(中川力也社長)になり、新会社の仮称シネマティックオンラインゲームスはデジタルレックス(鈴木裕社長)になる予定だ。



 ◎ 業界紙「ゲームマシン」は1974年以来、TVゲーム機を含む業務用アミューズメントマシン、遊園施設などに関する業界ニュースを、月2回のペースで伝えてきましたが、印刷媒体は2002年6月一杯で休刊しました。