2016年2月15日号 Last updated on February 1, 2016
特報
 「エキスポシティ」に「オービィ大阪」がオープン。

 「マジコン」上告審、任天堂の勝訴が確定。

海外
  大気汚染など、上海ディズニー開園までに課題も。

 米国テキサスにTVゲーム博物館が開館の見込み。

国内
 クレーンゲーム取り出し口から児童が景品を盗んだ疑い。

 カプコン4-12月期、業務用不調だが、増収増益。


2016年2月15日号のニュースダイジェスト
 写真はIAAPAエキスポ15(11月17-20日、オーランド)にて世界的な遊園施設メーカーの小間のようす。上はドイツのマック・ライド社、下はスイスのホリガー&マビラード(B&M)社。
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30年前の主なニュース

 任天堂の業務用「スーパーマリオブラザーズ」がATEのディスレジャー社小間に出品された。ナムコがレストランチェーン「イタリアントマト」を買収した。米国ディズニーワールドのエプコットセンターに「ザ・リビング・シー」が完成した。(1986年2月15日号)

40年前の主なニュース

 英国ATEにタイトーが同社小間で「スピードレースDX」など出品、セガ社は現地DBを通じて「バレットマーク」など披露した。フジ・エンタープライズはTVゲーム機「神風」を発売する。映画「トミー」は4月にも公開される。(1976年2月15日号)



【ニユースダイジェスト】

 1.セガサミーグループと英国BBCアースの共同事業の2つ目の施設「オービィ大阪」が「エキスポシティ」に1月29日、オープンした。セガ社が25日に発表した。長崎ハウステンボスの「白い観覧車」を運営している、フェリウスウィールインベスメント(本社東京都港区虎ノ門、宮本裕司社長)とライセンス契約しており、これが初の運営ライセンス事業となる。「オービィ」は50年にわたる地球上の生命や自然の神秘を、圧倒的なクオリティの映像として蓄積してきたBBCアースと、革新的な技術力とアイデアでエンタテインメントの常識を打ち破ってきたセガサミーグルーが、遊びながら学べる体感型ミュージアムとして13年8月に横浜市でオープンしたもので、これはその2つ目。ワールドジャーニー「エレファンツ」4Dシアター「マウンテンゴリラ」、等身大図鑑「アニマルペディア」などのアトラクションがある。またエキスポシティで建設中の大観覧車は、阪和興業が基礎からすべて担当、5月ごろ完成する見通しとなっている。

 .任天堂のハンドヘルド「DS」用の不正ゲームソフトを利用できる装置[マジコン]の販売差し止めなどを求める訴えの上告審について、最高裁判所第3小法廷は1月12日、被告業者の上告を退ける決定をし、任天堂の勝訴が確定した。任天堂が19日、「ゲーム業界にとって極めて重要な判決・決定であると認識している」として発表した。「マジコン」の輸入販売が違法行為に当たることが09年2月の東京地裁判決で認定されたのを受け、任天堂とソフトメーカー54社が業者5社に対して09年7月、不正競争防止法に基づき提訴したところ、東京地裁は13年7月、訴えを認める判決を出し、被告は控訴したが東京高裁も控訴を棄却、そこで一部被告が上告していたが、最高裁が棄却したもの。これにより、被告会社に対し「マジコン」の輸入販売の禁止と、総額9,562万5千円の損害賠償を命じることが確定した、としている。

 .小学生の男児がクレーンゲームの景品取り出し口に潜り込み、手を伸ばして景品を不正につかみ取る、というようすを撮影した動画(ビデオ)がネットに流され、窃盗事件として発覚したことが分かった。神奈川県警川崎署によると、横浜市の小学児童(12)が1月5日夕方、川崎市内のゲームセンターにあるクレーン機で、中にあったぬいぐるみ2個(計約1700円)を盗んだとの疑いにより、一緒にいた姉(17)、その交際相手の会社員の男(同)を窃盗容疑で22日に書類送検した。少年については、窃盗の非行内容で児童相談所に通告したが、3人はいずれも容疑を認めているとのこと。このようすを撮影、投稿されたビデオ映像は8秒間と短いが、盗みの一部始終が収められていた。しかも、撮影し、ネットに投稿したのはその会社員で、当初「景品を返した」としていたが、運営会社側は「事件として7日、警察に被害届を出した」とのこと。

 .オリエンタルランド(OLC)は1月28日、第3・四半期までの9ヵ月(4-12月)決算を発表、売上高は1%増の3,544億5千2百万円、経常利益は1%増の936億7千8百万円、純利益は4%増の633億円とわずか増収で増益だった。部門別でテーマパークの売上高は変わらず2,929億円(億円以下切り捨て)、営業利益は783億円、ホテルの売上高は3%増の481億円、営業利益は3%増の118億円、その他の売上高は2%増の134億円、営業利益は20%増の17億円。「ワンス・アポン・ア・タイム」導入2年目と悪天候により入園者数は減少したが、チケット値上げにより1人当たり売上高は増加した。業績予想と比べて売上高は下回ったが、営業利益は上回った。営業利益は最高だった東京ディズニーランド(TDL)30周年の2014年度を下回るが、2番目に高い水準で推移しており、業績予想は据え置いた。

 .コナミホールディングスは1月29日、第3・四半期までの9ヵ月間(4-12月)決算〔IFRS基準〕を発表、売上高は15%増の1,792億5千百万円、営業利益は62%増174億2千3百万円、所有者に帰する利益は19%減の62億6千2百万円と大幅増収だが減益だった。部門別でデジタルエンタテインメントの売上高は38%増の933億円(1億円未満は切り捨て)、利益は139%増の254億円、健康サービスの売上高は3%減の536億円、利益は108%増の28億円、ゲーミングの売上高は5%増の243億円、利益は12%減の35億円、遊技機の売上高は18%減の82憶円、損失は6億円(前年同期は4千万円)。デジタルエンタテインメントのうち、モバイル版「実況パワフルプロ野球」のダウンロードが累計1,900万に到達した。業務用では「麻雀格闘倶楽部」や音楽ゲームなど「eアミューズメント」参加タイトルが安定稼働を続けたとしている。通期の業績予想は売上高2,430億円、営業利益240億円、最終利益95億円と、売上高と営業利益を上方修正した。

 .カプコンは第3・四半期までの9ヵ月(4-12月)決算を発表、売上高は19%増の570億6千万円、経常利益は5%増の106億4千万円、純利益は7%増の70億6百万円と増収増益だった。事業別ではデジタルコンテンツの売上高が11%増の360億8千万円、営業利益は15%増の97億6百万円、ゲーム場の売上高が5%減の65億7千8百万円、営業利益が40%減の4億5千9百万円、パチスロ機部品と業務用機器(比率は9対1)の売上高は87%増の130億9千百万円、営業利益は4%増の28億9千5百万円、その他の売上高が11%減の13億千万円、営業利益が23%減の3億5千4百万円だった。3DS用「モンスターハンタークロス」とパチスロ機部品がヒットした。ゲーム場は3増2減の34店。業務用AM機器は「ルイージマンションアーケード」の販売が弱含みで推移、音楽ゲーム「クロスビーツレブ」は苦戦したとしている。

 .SDエンターテイメントは1月15日、第3・四半期までの9ヵ月(4-12月)決算を発表、売上高は60億千7百万円、経常損失は5千4百万円、純損失は8千5百万円と赤字だった(今期からエムツーシーを含む連結決算となっており、前年対比はできない)。売上高の内訳は、ゲーム場が16億7千5百万円、フィットネスが16億6千万円、ボウリング場が8億6千3百万円、映画館など施設管理が8億8千2百万円、その他9億3千5百万円。「ディノスパーク」南福島、上磯店を出店、名古屋市内のゲーム店1店を閉鎖した。なお通期業績予想は5月以来修正しておらず、売上高88億円、経常利益3億2千万円、最終利益2億8千万円を見込んでいる。

 .上海ディズニーリゾートの正式オープンは6月16日と決まったが,オープン時の花火打ち上げ、大勢の人びとが押し掛けた際の危機対策などが当面の大きな課題となっている。ディズニー社と合弁事業を進めている中国上海申迪集団の説明によると、まず花火は上海ディズニーランドの入園客にとって重要なアトラクションだが、上海では大気汚染対策として花火の打ち上げは許可制とし、大気汚染が2倍以上になる花火打ち上げは禁止する、上海市の命令があるとのこと。ただしディズニーランドのある浦東は上海市街地でなく郊外なので、辛うじて適用を免れるそうだ。もうひとつの、人びとが押し掛けた際の非常事態への対策については、上海国際観光リゾート地区部が一応の危機管理計画を立てており、また地下鉄など交通機関への群衆の誘導管理計画を用意しているが、これだけで満足せず、実際円滑に管理できるよう、訓練を繰り返し実行していくとしている。

 .米国テキサス州フリスコ市で今年2月、TVゲーム博物館がオープンする見込みになった。名称は全米ビデオゲーム博物館、場所はダラス郊外のフレスコ市内、収蔵物は家庭用、業務用のTVゲーム本体、ゲームソフト、その他関連するもので、家庭用に重点が置かれている。世界最大の15フィートの家庭用「ポン」模型なども展示される。TⅤゲームの収集家ら3名が1999年に博物館を設立して以来、古典ゲームエキスポ(CGE)、「E3」、ゲーム開発者会議(CDC)などに出展、展示してきたものを、恒常施設に保存すべく場所を探していたところ、フリスコ市の外郭団体が14年9月、満場一致で受け入れを決めたことにより、恒久施設での保存が実現することになった。オープンの予定は当初15年4月の予定だったが、12月まで延期され、とうとう年を越してしまった。入場料は13-65歳が12ドル、12歳以下と教育関係者、軍関係者、シニアが10ドルとなっている。

 10.自民党は1月18日、カジノを中心とする統合型リゾート(IR)を推進する法案、「特定複合観光施設区域整備推進法案」(カジノ法案)の、今国会での成立を見送る方針を固めたことが分かった。菅義偉官房長官がこの日の記者会見で「治安や青少年への影響等の観点から、制度上の措置の検討も必要」との見解を示したことによる。自民党などがギャンブル依存症対策を議論する議連を発足させたが、導入に慎重論が根強い公明党が参議院選挙前の成立に難色を示し、「何の議論も進んでいない」としているからだ。同法案は超党派の議員連盟が15年の通常国会に提出、安全保障関連法の成立を優先し、継続審議としていた。今秋の臨時国会以降に仕切り直したい考えだが、当初予定した東京オリンピック前の施設整備計画は一段と困難になる見通しだ。

 11.ソニーの子会社である、ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)とソニー・ネットワークエンタテインメントインターナショナル(SNEI)はそのハードウェア、ソフトウェア、コンテンツ、ネットワークサービスの事業を統合する新会社、ソニー・インタラクティブエンタテインメントLLC=有限責任会社(SIE、アンドリュー・ハウス社長)を4月1日に設立、同日より業務を開始する、と1月26日に発表した。事実上両社の社名変更となる。本社所在地は米国カリフォルニア州サンマテオだが、実務上の国際拠点は引き続き東京、ロンドンに置く。SCEは93年11月に設立、94年12月に「プレイステーション」(PS)を発売、また10年4月に設立したSNEIは革新的なネットワークサービスを実現し、それまで実現できてなかったゲームを通じて新エンタテインメント市場を実現してきた。今回SIE設立により「PS4」以降の拡充を図り、さらなる成長を目指すとしている。

 12.セガエンタテインメントの事業のひとつ、ダーツバー事業から撤退、遊技場とゲーム場を展開するマタハリー(本社川崎市幸区堀川町、山中康敬社長)に売却することにした。セガホールディングスは1月29日、子会社のセガエンタテインメントが手掛ける「ダイニングバー」事業を会社分割し、新会社のビーリンクに継承させたうえで、ピーリンクの全株式をマタハリーに譲渡することを明らかにした。ピーリングに分割される事業部門の業績は、売上高が27億5千9百万円だった。売却は3月末で実施されるが、その価格は非公表となっている。
 



 ◎ 業界紙「ゲームマシン」は1974年以来、TVゲーム機を含む業務用アミューズメントマシン、遊園施設などに関する業界ニュースを、月2回のペースで伝えてきましたが、印刷媒体は2002年6月一杯で休刊しました。Copyright ©Amusement Press Inc. 2015