2014年11月1日号 Last updated on Octber 15, 2014
特報
 バンナムゲームスは米国で「スターウォーズ・バトルポッド」を披露。

 北京にも「ユニバーサルスタジオ」が建設される予定に
海外
 TVゲーム「テトリス」が空から落ちてくる…劇場映画に。

 米国ディズニー社が、フランスのユーロディズニー社を支援。
国内

 イオンファンタジー8月中間期、店舗増で減収増益に。

 「ワンダーボーイ」のウェストンビットが先細って破産申請。


2014年11月1日号のニュースダイジェスト
写真はIAAPAが欧州で毎年開催する「ユーロ・アトラクション・ショー」(EAS)14(9月23-25日、アムステルダム)で、フランスのCLコーポレーションが出展、紹介した4Dアトラクション「ヘッド・イン・ザ・スター」の仕組み(下)と画像。


20年前の主なニュース

 米国家庭用TVゲームソフト団体のIDSAが、5段階のレイティングを実施へ。セガ社、スクロール画面特許を持つアタリコープ社に90億円支払って和解。米国AMOAエキスポでミッドウェー社は「クルージンUSA」を披露。コンパイルなど4社が「ぷよぷよ協会」を発足させた。(1994年11月1日号)

30年前の主なニュース

 米国コロムビア映画社がフリッパー製造子会社のマイルスター社を閉鎖。東京、大阪など全国各地でゲーム場オペレーター協会の設立進む。NAO理事会は組織のあり方めぐり紛糾する。任天堂は「スーパーパンチアウト」、データイーストは「対戦空手道」を発売した。(1984年11月1日号)



【ニユースダイジェスト】

 1.バンダイナムコゲームスは10月8日、ドームスクリーン型の新作ゲーム機「スター・ウォーズ・バトルポット」を米国で1月に発売すると発表した(日本では9日に発表した)。ニューヨークで開かれる漫画など大衆文化に関する催し「ニューヨーク・コミックコン2014」の前日、ニューヨークで先に発表したもので、米国ではこの日から11月2日まで、タイムズスクウェアにあるゲーム場チェーン店の「デイブ&バスターズ」で同ゲーム機を陳列した後、11月中旬のIAAPAショーに出品、15年1月に米国で出荷、その後時期未定だが日本、欧州、アジアを含む全世界に出荷する予定。映画史に残る傑作映画「スター・ウォーズ」シリーズに基づく業務用TVゲームで、プレイヤーはコックピットに乗り込み、全身が映像に包まれる感じで、臨場感、浮遊感を感じながら、戦闘を繰り広げていくもの。映画「スター・ウォーズ」エピソード4~6の激戦を再現した5つのステージを舞台に、それぞれ乗物に乗って敵を撃破していく。1人用。日本でのプレイ料金は200円を予定している。

 2
.イオンファンタジーは10月3日、第2・四半期までの中間期(3-8月期)決算を発表、売上高は1%減の237億4千4百万円、経常利益は6%増の17億8千2百万円、中間利益は3%増の8億4千8百万円と減収増益だった。店舗数は国内が8増4減で8月末に330店となり、海外は中国が14増、マレーシアが6増2減、タイが3増、カンボジアが2増の計25増2減で135店となった。国内ではまた、8月に都市型施設「東京こども区こどもの湯」を新設した。海外では5月にフィリピンに子会社を設立、6月にカンボジアのフランチャイズを開始した。国内は消費税率アップにより売上高は5%減の218億円と減少したが、それに伴う管理費圧縮により営業利益は2%増の19億円と踏ん張った。海外は大幅に店舗を増やして売上高は102%増の19億5千6百万円と急増したが、営業損失が1億5千万円(前年同期は2億6千万円)ある。同社は店舗数が11月に国内342店、海外158店の計500店に達するとしている。

 3
.米国ウォルトディズニー社は10月6日、パリ郊外のテーマパーク「ディズニーランド・パリ」を運営するユーロディズニー社に対し、約10億ユーロ(約12億米ドル)の資本注入をすると発表した。ユーロディズニー社の今年の入園者数は1,410万人(前年1,490万人)と80万人下回ると予想され、これに伴い12月期業績は売上高が1~3%減の12.7億~13億ユーロ、純損益が1.1~1.2億(1.7億)ユーロの赤字になる見込み。約40%の株式を持つウォルトディズニー社はユーロディズニー社が発行する4.2億ユーロの増資に応じ、またユーロディズニー社のウォルトディズニー社向け負債6億ユーロ負債を株式転換して削減することにした。92年開業のディズニーランド・パリは欧州最大のテーマパークであり、世界中からゲストを集めているが、欧州の景気低迷の影響を受け伸び悩んでいる。ウォルトディズニー社による資本注入は初めてではなく、2年前にも13.3億ユーロ注入している。なおウォルトディズニー社は3日、ロバート・アイガ会長兼CEOの任期を18年6月まで延長した。

 4
.テーマパーク「ユニバーサルスタジオ」を世界各地で展開している、米国ユニバーサル・パークス&リゾーツ社(UPR、トム・ウィリアムズCEO)は10月13日、中国の国営企業のBSHインベストメント社と連携して、19年にも北京で開設すると発表した。総事業費は33億ドルを見込んでいる。場所は北京郊外の通州区で、敷地は大阪のユニバーサルスタジオジャパンの2倍以上の約120haもある。「ユニバーサルスタジオ北京」は米国2ヵ所、大阪、シンガポールに続く5ヵ所目で、「ハリーポッター」、「スパイダーマン」、「シュレック」などの人気アトラクションを導入するだけでなく、中国の文化を取り入れたアトラクション、飲食店なども開設するもよう。中国では15年に上海でディズニーランドが開業予定で、オリジナルの有名キャラクターが中国に登場することになるが、無断コピーがはびこる中国市場でどう扱われるか、懸念する傾向も強い。

 .TVゲーム「テトリス」は旧ソ連(現ロシア)で誕生して30年になるが、この世界的なヒット作をテーマにした劇場映画が制作されることになった。映画制作会社のスレッシホウルド社(米国カリフォルニア州サンタモニカ、ラリー・カサノフ会長兼CEO)は9月30日、「テトリス」の知的所有権を管理している英国のテトリスカンパニー(ヘンク・ロジャース社長)と提携し、製作することが決まったと発表した(「テトリス」の開発からヒット作になった経緯と著作権については、単行本「それは『ポン』から始まった」を参照)。スレッシホウルド社はこれまでミッドウェー/ウィリアムズ社の格闘ゲームをそっくり取り込んだ「モータルコンバット」(95年)、その続編「モータル・コンバット・アナイアレーション」(97年)を制作、ヒットさせた実績があるほか、ハリウッド映画のCG画像を制作してきた。「テトリス」劇場映画は「ある日突然空から、テトリスの形をしたブロックが降ってきて、世界中がパニックに陥る」という壮大なスケールのSF映画になる、とされている。

 .米国の業務用と家庭用のTVゲームの収集家たちの団体が各地で、古いゲームをまとめた催しを開いていたが、その収集品がこのほどテキサス州のフリスコ市に建設される、常設の博物館「ナショナル・ビデオゲーム・ミュージアム」に落ち着くことになった。これはジョン・ハーディー、ショーン・ケリー、ジョー・サンチューリの3人が1999年にラスベガスで「クラシック・ゲーミング・エキスポ」(うち「ゲーミング」というのは本来の「賭博」とは真逆の意味)を開いたのをきっかけにしたもので、11年からは常設館の建設を目指していたところ、ダラス・フォートワース地区の郊外にあるフリスコ市議会が今年9月18日に満場一致で招致を決めたもの。現在ある「フリスコ・ディスカバリー・センター」内に10,400平方フィートの博物館を作るための予算は100万ドルとされており、ミュージアム自体が20万ドルの資金を持っており、市が最初に10万ドル寄贈することを決めている。15年4月に第1期の工事が完了する予定になっている。

 .フィリピンのカジノ許可監督局、「PAGCOR」のクリスティーノ・ナギア会長は10月7日、ユニバーサルエンターテインメントのフィリピン子会社であるタイガー・リゾーツ・レジャー&エンターテインメントが、当初計画の15年3月までにカジノリゾーツ建設を完了しないなら、1億ペソ(224万ドル)の保証金を没収することになる、との方針を示した。現地報道機関などが報じた。PAGCORによると、マニラ湾岸のカジノリゾーツを開発する4グループ(うち3グループは、すでに開業しているブルームベリー社のカジノ、今年開業するシティ・オブ・ドリーム・マニラ、18年開業予定のゲンティング香港など3社のカジノ)はそれぞれ保証金を納付しており、予定通り開業すれば問題ないが、当初計画を大幅に延期する場合はペナルティとして保証金を没収するとのこと。タイガーリゾーツ社の幹部は9月24日に、完成は16年後半になる、との見通しを示しており、このためPAGCORでは保証金の没収を含む対応を検討中としている。

 .米国テキサス州のあるカウンティ―が、「エイトライン」方式のTVゲーミング機の営業使用を10月1日から許可制にして、注目されている。地元報道機関が報じた。テキサス州で「エイトライン」方式を含むTVゲーミング機を介して賭博をすれば、違法であり処罰されるが、メキシコとの国境に接する「スタール」カウンティ―(人口約6万人)では、違法賭博の取締り費用の掛かりすぎに音を上げて条例を改正、現金を払い出さない限り、1台当たり年間500ドルの許可料を払って申請すれば、許可を与えることにした。ただし都市部では許可されない。許可されても酒類の提供は禁止され、営業時間は週末が午前2時まで、平日は午前0時までに制限される。カウンティ―に入る許可料は年間80万ドル程度と見込んでいる。同カウンティ―は決してTVゲーミング機を容認して、開放しようとするわけではないことを強調、むしろ営業者がこれに対応できず、結果として違法営業を防止できると見ている。近くの多くのカウンティ―もこれに注目している。

 . 米国バレー・ダイナモ社(テキサス州リッチランド)は10月15日付で、メガタッチ社(旧メリット・エンタテインメント社)が所有してきた、ロウ・ビルチェンジャー社の事業を買収することで合意した、と10日までに発表した。ロウ・ビルチェンジャー社は紙幣識別機の製造で50年の業績を持つとのこと。買収金額など詳細は公表されていない。バレー社とダイナモ社は1998年に業務を統合して、バレー/ダイナモ社になったが、2003年にブランズウィック社に買い取られ、09年にケリー・スタイン氏のベンチャー企業に買い取られ、12年9月からバレー・ダイナモ社になっている。これにより同社が製造販売するブランドと品種は、これまでの「チャンピオン・シャッフルボード」、「バレー・プール」、「ダイナモ・エアーホッケー」、「ダイナモ・フースボール」、「トルネード・フースボール」、「コネリー・ビリヤード」に加え、「ロウ・ビルチェンジャー」となる。

 10.TVゲームソフト開発の㈱ウエストンビットエンタテインメント(東京都墨田区向島、西沢龍一社長)とその関連会社の㈱ビットエンジェル(同、同)が自己破産を申請、東京地裁は9月24日、破産開始を決定した。信用調査会社が明らかにした。負債は調査中とのこと。ウエストンビットは86年5月にエスケープとして設立、87年に現社名に改称した。当初「ワンダーボーイ」(86年)などの業務用ゲームソフトを手掛けていた(販売はセガ社から)が、業務用は「ライオットシティ」(91年)までで、88年から08年までは家庭用ゲームソフトの開発に移行していた。それでもピーク時の98年3月期の売上高は1億8千3百万円だった。また10年には旧インデックスが販売した、犬のボイス翻訳機「バイリンガル」の開発にも関わっていた。13年3月期の売上高は4千万円で、最近は事業を停止していた。ビットエンジェルは81年4月設立とウエストンビットより古く、このほど連鎖倒産した。



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