2013年4月15日号 Last updated on April 1, 2013
特報
 米国連邦最高裁、並行輸入品の合法性を改めて認めた。

 スクエニHDが業績予想を大幅下方修正、和田洋一社長が退任する。

海外
 米国ジョージア州、賭博機規制のための法改正の手続き。

 WDW内のダウンタウンディズニーがディズニースプリングスに変身中。

国内

 ユニバーサルエンター、「フリー報告書」に反論する。

 東京・台場に本格的な「マダム・タッソー東京」誕生。


2013年4月15日号のニュースダイジェスト
写真は統合後のAOU/JAMMA「ジャパンアミューズメントエキスポ」(JAEPO)で、上はスマートフォン用アプリケーションを基にした音楽ゲームで、専用コントローラー「ブースター」を操作する、大画面のタイトー「クルーヴコースター(アーケード版)」、下は銃で撃ちまくり魔獣をブッ飛ばす子ども向けガンゲームで、バンダイナムコゲームスの「友情装着!ブットバースト」を試しているようす。


20年前の主なニュース

 イタリアの警察が世界的なコピーヤー、パオロ・デヌーノの会社(ED)などを摘発した。米国ACME93で新たなVRゲーム機が披露された。エイブルが設立10周年を迎え、関係者を招き記念パーティーを開いた。茨城県の中外アソシエーツがプレビに社名変更した。(1993年4月15日号)

30年前の主なニュース

 TVゲームは君たちのためになる、とレーガン米国大統領は十代の聴衆に向かって呼びかけた。セガ社はLDゲーム機「アストロンベルト」の開発を終えたと発表した。コピー問題を起こしてきた九娯貿易が謝罪、セガ社と和解した。データイーストが荻窪に本社を移転した。(1983年4月15日号)



【ニユースダイジェスト】

 .並行輸入品の販売は違法でないとの判決が、米国連邦最高裁判所で3月19日に言い渡され、レッドバロン社のビル・ベッカム氏の主張が正しかったことが確認された。この裁判は、コーネル大学を卒業したタイ人男性(Supap Kirtsaeng)が、世界的な学術図書発行所ジョンワイリー社の教科書の正規の廉価版を米国に輸入・販売したのに対し、ジョンワイリー社が著作権を侵害されたとして08年に損害賠償を求めて訴えたもの。男性はファーストセールドクトリン(頒布権消尽の原則)を主張して争い、下級審では男性が負けていたが、最高裁では(6対3で)逆転勝訴した。レッドバロン社事件では「ダブルドラゴン」基板の並行輸入が地裁で合法、控訴審で上映権を理由に違法となったが、最高裁は上告を許可せず、取り上げられなかった(詳しくは単行本『それは「ポン」から始まった』参照)。今回の事件は最高裁が取り上げ、レッドバロン事件にも触れながら審理したもので、その判決が各方面から注目されていた。

 .米国のジョージア州でTVポーカーゲームなど賭博機遊技の横行に対処するため取締法改正案を審議中だが、これで問題が収まるかどうか注目されている。同州ではリデムプションを装うTV賭博機による犯罪が多発したため12年前に、それらを禁止する取締法を制定したが、法律の抜け穴を利用するTVポーカーなど違法賭博機営業が後を絶たたず、またもや取締りに追われることになった。そのため州議会下院が3月7日に圧倒的多数(166対4)で改正法案を可決、上院も14日に35対16で可決したが、同一内容でないため両院で協議している。改正法案ではボウリングゲーム、ピンボール、クレーン、TVゲーム、アーケードノベリティなどをA類とし、リデムプションゲーム、点数や商品をやり取りする遊技機をB類と分類して、A類には1台年間25ドル、B類には同125ドルを課税するなど規制を強化、そのうえで営業上賭博性が強ければ営業許可を与えないなど決めている。

 .タイトーの親会社であるスクウェア・エニックスHDは3月26日、13年3月期の業績予想を売上高1,450億円(10月の前回予想では1,500億円)、経常損失50億円(65億円の利益)、最終損失130億円(35億円の利益)と大幅赤字に下方修正した。米欧での家庭用大型ゲームソフトの販売不振が主な原因で、アミューズメント事業のAM機器事業も不振だった。家庭用の事業再編に伴う特別損失100億円(コンテンツ破棄損40億円、コンテンツ評価損40億円、その他20億円)を計上した。これに伴い和田洋一社長(53)が責任を取って6月下旬の株主総会で退任、松田洋祐(ようすけ)専務(49)が社長に昇格するトップ異動も発表した。松田洋祐専務は87年東大教育卒、三井生命保険入社。01年スクウェア(現スクウェア・エニックス)入社。03年スクウェア・エニックス発足時に経理財務部長、04年取締役。08年からスクウェア・エニックスHD取締役経理財務担当、13年3月から代表取締役。富山県出身。

 .フィリピンの首都に接する、マニラ湾の「エンタテインメントシティ」に4つの大規模カジノリゾートが建設される予定だが、そのひとつ「ソレア・リゾーツ&カジノ・マニラ」の第1期工事が終了、3月16日にオープンした。国家プロジェクトの一環であり、出席したベニグノ・アキノ大統領は、マカオやシンガポールをしのぐ国際カジノ拠点になるよう期待すると述べた。18,500uのカジノエリアには300台の賭博テーブル、1,200台のシングル賭博機が設けられ、15店のレストラン、6−900u規模のベイサイドヴィラ、500室の高級ホテル、国際会議場、2千台の駐車場を備えている。港湾企業を持つエンリケ・レゾン氏傘下のブルームベリー・リゾーツ&ホテル社が、総工費約10億米ドルを投資した。このほかSMグループとメルコ社(MCP)による「ベル・グランデ」、マレーシアのゲンティンググールプの計画、岡田和生氏が率いるユニバーサルグループの計画が進行中で、15−17年ごろ完成すると言われている。

 .ユニバーサルエンターテインメントは3月13日、米国ウィンリゾーツ社の訴えの根拠となっている「フリー報告書」に対するユニバーサル側の主張を明らかにした。「フリー報告書」は、ユニバーサルの岡田和生会長が米国の海外腐敗行為防止法(FCPA)などの法律に明らかに違反していると論じているもので、ウィンリゾーツ社の依頼に基づきフリー・スポーキン&サリバンLLP(有限責任事業組合)が12年2月に提出した。ネバダゲーミング(賭博)管理委員会から情報提供を求められユニバーサル側が、この報告書に反論する形でこのほど回答した。ユニバーサルはこの中で、08年以来フィリピンでカジノ開発に向けライセンス取得手続きを進める過程で、当局者に贈賄行為を行なったというのがいかに間違った見方であるかについて詳しく説明している。またウィンリゾーツ社による11年のFCPAトレーニング(研修)に参加しなかったのは、岡田氏が拒否したのではなく、日程の都合によるものだったなどとしている。

 .実にリアルで今にも動き出しそうな等身大の蝋人形と対面できる、世界的に有名なアトラクション、「マダム・タッソー」の日本版「マダム・タッソー東京」が3月15日、常設施設として正式にオープンした。日本ではこれまで11年9月から12年1月まで期間限定で開設されたことがあるが、それよりフィギュアも約3倍の60体を揃え、すでに展開されている9ヵ国13ヵ所の本格的な「マダム・タッソー」に加わるものとなった。マイケル・ジャクソン、オードリー・ヘップバーン、大島優子、浅田真央選手、スティーブ・ジョブスなど芸能界、スポーツ界、起業家の有名人フィギュアを集めた。東京・台場のデックス東京ビーチ3階に開設、隣接する「レゴランド・ディスカバリーセンター東京」とともに英国マーリン・エンターテインメンツ社の日本法人が経営する。営業時間は10−21時。入場料は中学生以上2,200円、3歳−小学生1,500円。

 .セガ社は3月28日、最初の15分間は基本プレイを無料で楽しめ、それ以降もプレイし続けると料金がかかる、という開発中のTVゲーム機「ぷよぷよ!クエストアーケード」をロケテストに出すと発表した。ゲーム自体は協力タイプのパズルゲームで、プレイヤーはパズルで「ぶよ」を消してパワーを貯め、敵のモンスターを攻撃していくというもの。ソーシャルネットワークサービス(SNS)ゲームでは、プレイヤーをゲームに引き込む方法として「基本プレイ無料」が効果を上げていることから、これに対抗する形で開発された。近年、ゲーム場のオペレーション収入は低迷を続けており、このため同社では、子どもから中高年まで幅広く親しまれている「ぷよぷよ」シリーズのゲームを基本に、SNSゲームの「基本プレイ無料」を導入することにより、実際に客をゲーム場に呼び込めるか試そうとしている。3月28日−4月7日に東京の池袋と秋葉原、横浜の3ヵ所の直営店でロケテストを実施し、プレイヤーの反応を見るという。

 .バンダイナムコグループのオペレーション子会社ナムコは3月28日、東京・池袋のサンシャインシティ・ワールドインポートマート2階と3階にあった「ナムコナンジャタウン」が、1月15日からリューアルのため休園中だが、2階のみの「ナンジャタウン」となり7月11日にオープンする、と明らかにした。生まれ変わった「ナンジャタウン」にはこれまでの「福袋七丁目商店街」、「もののけ番外地」がそれぞれ内容を変えるほか、新たに「魔法体験!マジカル学園」など4つのアトラクションを含む「ドッキンガム広場」が加わる。「魔法体験!マジカル学園」は「全身を覆う映像による高い没入感と、床面の振動によるリアル体感、参加者同士の協力プレイによるシューティングシステムが合体した」オリジナルのインタラクティブアトラクションと説明されている。なお3階に新設される、「週刊少年ジャンプ」の世界で遊べるテーマパークも同時オープンになるもよう。

 .長島観光開発が経営する「ナガシマスパーランド」の巨大ローラーコースター「スチールドラゴン2000」がリニューアルされ、3月15日に営業運転を開始した。もともと2000年8月に世界最大級のローラーコースターとしてオープンしたが、米国D・H・モーガン社製の初代車両が03年8月に事故を起こしたため、その後06年9月から12年12月まで営業を続け、このほどスイスのボリガー&マビラード社製2代目車両を導入して、営業を再開したもの。4人乗り7両の車両編成で、最後部高さ97m(日本一)まで上り、最大落差93.5m(同)、最大傾斜68度で、全長2,479m(世界一)のコースを最高速度毎時153kmで走りぬけ(この間約210秒)、最大荷重3.5Gを受ける。利用料千円、身長140−185cmメートル、年齢10歳以上などの乗車制限がある。同園には数多くのスリルライドがあり、「のりもの乗り放題パスポート」も利用できる。

 10.米国フロリダ州オーランドにある「ウォルトディズニーワールドリゾート」(WDW)内の「ダウンタウンディズニー」が「ディズニースプリングス」に拡張され生まれ変わることになった。ウォルトディズニー社の子会社、ウォルトディズニー・パークス&リゾーツ社のトム・スタッグ社長が3月14日に記者発表したもので、4月に着工し改造し終えた部分を順次オープンしていき、16年にすべての改造を終える予定。「ディズニースプリングス」は、くつろげる飲食店舗群の「タウンセンター」、華やかな水辺のレストラン群「ザ・ランディング」、水上遊歩道のある店舗「マーケットプレイス」、熱狂的な演奏・娯楽空間「ウェストサイド」で構成される。「ダウンタウンディズニー」と比べると飲食・物販店の数は約2倍の150以上になる。「マジックキングダム」などのWDW内のテーマパークと同様、ディズニーの人気キャラクターが出没するのはこれまでと同じ。

 11.セガエンタテインメントは3月18日から「セガワールド大森」など3ヵ所の直営店で、ロイヤリティマーケティングが運営する共通ポイントサービス「ポンタ」の取り扱いを開始した。7月末までに直営全店(204店)に導入する予定で、「ポンタ」導入により客のニーズをとらえ、客の喜ぶ価値の高いサービスの提供を目指したいとのこと。セガ社のゲーム場は来店サービスで、設置された「ポンタ」の液晶端末で「ポンタ」カードのバーコードを読み取り、ルーレットの結果1等10ポイントなどのポイントが加算される(加算は1日1回のみ)。1ポイントは1円相当で、20ポイントで「UFOキャッチャー」の1プレイや、10ポイントでメダル10枚プレゼントのサービスを受けることができる。「ポンタ」カードが使えるのはセガ社店舗のほか、すでに加盟している「ゲオ」の複合メディア店、IMSのプリントシール機、「コナミスポーツクラブ」、「ローソンストア100」など数多くある。
  

 ◎ 業界紙「ゲームマシン」は1974年以来、TVゲーム機を含む業務用アミューズメントマシン、遊園施設などに関する業界ニュースを、月2回のペースで伝えてきましたが、印刷媒体は2002年6月一杯で休刊しました。