2012年7月1日号Last updated on June 15, 2012
特報
 5月中旬、相次いで台北と広州市で中国市場向けゲーム機展。

 「釣りスピリッツ」など多彩に、バンダイナムコゲームス新作展。

海外
 今年はアタリ社設立40周年で、8月に業務用部門の同窓会も。

 JJP社最初のフリッパーが家庭用展示会「E3」で披露された。

国内

 DS用「マジコン」を販売して、不正競争防止法違反で初の摘発。

 海外のウェッブサイト利用した常習賭博、換金して経営者逮捕。


2012年7月1日号のニュースダイジェスト
写真はバンダイナムコゲームス新作展(大阪会場)にて、上はメダルゲーム機「釣りスピリッツ」、下は「リレイブ」(左側)、「デッドストームパイレーツ」アップライトバージョン(右側)を試しているようす。


20年前の主なニュース

 セガ社「スーパーモナコGP」で商標を無断使用されたとフィリップ・モリス社は提訴していたが、和解で解決した。JAMMA役員改選で関西精機製作所の古川純一郎氏が落選した。セガ社は関西支店ビル竣工を披露した。米国プリミア社は任天堂許諾のフリッパー「スーパーマリオブラザーズ」を出荷した。(1992年7月1日号)

30年前の主なニュース

 データイーストの「デコカセット」ゲーム、「プロテニス」のオリジナルテープが盗まれ、コピーされるという事件が発覚した。タイトー、セガ社はそれぞれ、コピーヤーのジャクソンに対する法的手続きで成果を収めた。JAMMAは賭博機基準をペイアウト181枚以上、クレジット表示3ケタ以上と決めた。(1982年7月1日号)



【ニユースダイジェスト】

 .バンダイナムコゲームスは6月4日大阪(6日福岡、11−12日東京)で新作展を開催、サオコン(竿型コントローラー)を操作する1−8人用メダルゲーム機「釣りスピリッツ」(12月出荷予定)、大量にミニパックを放出する2−4人用エアホッケー「ビッグバンスマッシュ」など紹介した。うち「釣りスピリッツ」はOP価格748万円の通常販売、分割購入、コンテンツ利用料が発生する無償貸与の3通りの方法で300台予定している。このほか2012年7月版「太鼓の達人」、キッズ向けガンゲーム「ブットバースト」を出品。米欧で扱っている「デッドストームパイレーツ」アップライトバージョン、米国コースト・ツー・コースト・エンタテインメンツ社製のタッチパネル式音楽ゲーム機「リレイブ」を参考出品した。7月中旬から正式運営する技術サポートサイト「バナサポ」も紹介した。

 .台湾と中国広東省で5月中旬、比較的大きなアミューズメントマシン展示会が二つ続けて開催され、中国のゲーム機市場は今年も活発に展開される見込みである。二つの展示会とは、台湾の出版社によるGTI2012(5月10−12日、台北)と広東省広州市番禺(パンユー)を拠点にするゲーム機業者の協会が主催するGAGA2012(5月15−17日、広州市、レディー・ガガとは無関係)で、GTI自体は前回よりやや小規模になったが、二つの展示会とも日本からセガ社、バンダイナムコゲームスが出展、中国・台湾からも主なメーカーが参加し、新作などを紹介した。GTIでは台湾IGS社のTVゲーム「スピードドライバー」、音楽ゲーム「ミュージボックス」が、GAGAではワーラップ(華立科技)による音楽ゲーム「トップスター」や、キーリー(希力科技)、UNIS(世宇科技)のTVゲームが注目された。

 .TVゲームの基礎を作った米国アタリ社がシリコンバレーで設立されたのは1972年6月27日で、今年はちょうど40周年に当たることから、さまざまな企画が予定されている。その最大の催しは、業務用アタリ社で働いたことのある人びとが、創業時の本社に近いキャンプベルで8月18日に、一堂に会して開く同窓パーティーである。アタリ社の歴史は長くなる(単行本参照)ので省略するが、アタリ社は2001年に業務用から撤退しているので、実際のところ久しぶりに懐かしい人びとが再会することになる。招待状は約500枚送ったとのことで、すでに分かっているところでは少なくとも、創業者のノーラン・ブッシュネルを始め、ジーン・リプキン、フランク・バルー、スー・エリオット、ジェリー・マーカス、ケビン・ヘイズ、ダン・バン・エルダーレン、エレエン・シャーリーらの「アタリアン」が出席する予定となっている。

 .3月のアミューズメントエキスポでは披露できなかった米国ジャージー・ジャック・ピンボール社(JJP、ニュージャージー州レイクウッド)のフリッパー第1作、「オズの魔法使い−エメラルドシティ編」が、家庭用TVゲームの国際展示会「E3」(6月5−7日、ロサンゼルス)のダイナミック社の小間で出品された。フリッパーメーカーはスターン社だけになっているが、JJP社が新規フリッパーメーカーとして好調なスタートが切れるか注目されている。ダイナミック社の主な業務は支払カードシステムの開発供給であるが、高度な技術を駆使している点で共通点があるので、同社小間を通じて紹介することにした、とジャック・ガーネリJJP社長は説明している。26インチ液晶画面をバックガラスに使用、エレメカ技術を組み合わせたフィーチャーを持つこのフリッパーは千台限定、7千5百ドルの価格でまもなく出荷されるもよう。

 .オリエンタルランド(OLC)は6月4日、東京ディズニーシー(TDS)で一週間前(5月28日午後4時ごろ)に起こった事故の原因と再発防止策について発表、「原因は安全バーの仕組みに関する教育が徹底できていなかったため、状況を誤って認識したこと」とし、事件の重大性にかんがみ、社長以下執行役員までの役員報酬の30−10%を1ヵ月返上することを決めた。遊園施設「レイジングスピリッツ」の安全バーは、「出発前に一時停止操作が行われた場合、安全バーを下げることができるが、出発操作後の一時停止状態では安全バーを下げることはできない」という特徴があり、これを理解していたら事故を避けることができたとし、(徹底しているはずの)教育を徹底していなかったのが原因とまとめた。安全教育、操作マニュアルの見直しを行なうとしている。

 .愛知県警は5月30日、任天堂のハンドヘルドゲーム機「DS」でコピーゲームソフトの起動を制限する機能を解除する、いわゆる「マジコン」を販売した埼玉県三郷市の久保木雅人容疑者(39)を、不正競争防止法違反(技術的制限手段回避装置の提供行為)の容疑で逮捕した。インターネットを通じて高知県の男性(21)らにマジコン3個を計7,200円で販売、昨年8月から今年3月まで約1,200個を販売した疑いによるもので、同容疑者は容疑を認めているとのこと。マジコン販売を違法とする民事訴訟の確定判決を得て11年12月1日に不正競争防止法の一部が改正され、刑事責任を問えることになっていた。マジコン販売について初適用となる。マジコン販売を違法とする判決は韓国、台湾、英国、イタリア、オランダ、ドイツなどで出されている(フランス、スペインでは無罪判決が出たがその後有罪判決が出ている)、と任天堂は説明している。

 .海外に設置されたインターネットカジノを利用して客に賭博をさせたとして、大阪府警生活保安特捜隊は6月6日までに、大阪市北区兎我野町の賭博店「ABC」を摘発、経営者で暴力団員の中井作人(37)ら2名を常習賭博などの容疑で現行犯逮捕したと発表した。調べによると、店内にデスクトップ型パソコンを9台設けてネット上のカジノに接続、来店した客に現金と交換したポイントを賭けさせたうえで、バカラ、スロットマシン、ポーカー、ルーレットなどの賭博遊技をさせた疑い。客が勝てばポイント(クレジット)数に応じて店側が現金に交換していた。この店は11年4月に開店、月に百万円ほどの売り上げがあったという。ウェッブサイトはフィリピンに開設され、日本語で運営されているとのこと。

  

 ◎ 業界紙「ゲームマシン」は1974年以来、TVゲーム機を含む業務用アミューズメントマシン、遊園施設などに関する業界ニュースを、月2回のペースで伝えてきましたが、印刷媒体は2002年6月一杯で休刊しました。