2012年3月15日号Last updated on March 1, 2012
特報
 スティーブ・ウィン氏と岡田和生氏、叩き合ってホコリを出すか。

 セガサミー、フェニックスリゾートを4億円で買い取り、54億円貸付。

海外
 最大規模の「ゲームワークス」LV店が閉鎖、移転へ。

 米国スティーブ・コーデック氏が100歳で死去した。

国内

 AOUエキスポ2012、3Dゲームは「ダークエスケープ」だけに。

 埼玉のオペレーター、大幸産業が自己破産を申請。


2012年3月15日号のニュースダイジェスト
写真はAOUエキスポ2012で、上はバンダイナムコゲームスの小間で披露された「鉄拳タッグトーナメント2アンリミッテッド」、下はセガ社の小間で紹介された「ボーターブレイク・エアバーストv.2.7」をそれぞれ試しているようす。


20年前の主なニュース

 米国各地でTVギャンブルのVLT機容認を推進する新連合、VGAが発足した。韓国ソウル警察は日本製ゲームの無断コピー基板を販売、使用した業者18名を逮捕した。セガ社が台湾にロケーション運営子会社を設立した。サミー工業は日本エイコム、ジャパンソフトテクノロジーを吸収合併した。(1992年3月15日号)

30年前の主なニュース

 米国ミッドウェー社はTVゲームの勢いを得て新本社ビル建設に着工した。初のNAOエキスポは賭博可能な遊技機の展示を排除して成功した。セガ社は世界初の立体TVゲーム「サブロック3D」を発表した。JAMMAは第2回総会で模倣と賭博の排除を決議した。ICMが「アリババ」を開発した。(1982年3月15日号)



【ニユースダイジェスト】

 .AOUエキスポ12(2月17−18日、幕張メッセ)には、前回より中央よりの第4−5ホールを使用、江崎グリコなど業界外の4社4小間を含めた、34社が567小間に出展した。JAMMAが毎年開いてきた秋のAMショーは今年開かれず、JAMMAなどが統合された新団体とAOUの共催による展示会が、1年後の2013年2月に開かれる見通しだが、その具体的な予定などは明らかにされていない。今回の展示会では相変わらず多人数用メダルゲーム機とクレーンゲーム機用景品の出品が多かったが、前回多かった3D方式のTVゲーム機の出品は、今回バンダイナムコゲームスの「ダークエスケープ3D」にとどまった。セガ社は今回、リングエッジ2基板と専用ハブルータボックスを使用する、ゲーム配信専用システム「オールネットPラスマルチ」(仮称)システムを披露、今秋「ゲーセンラブ」などの新作配信を予定している。

 .【AOUエキスポ12の続き】以上のほか主な出品機は、セガ社の円型タッチパネルと周囲8個のボタンで操作する音楽ゲーム機「マイマイ」(7月)、シリーズ最新版の「シャイニングフォース・クロスエリュシオン」、「戦国大戦−15xx五畿七道の雄」、「ボーダーブレイク・エアバーストv.2.7」、「セガネットワーク対戦麻雀v.B」(以上今春)、トライアングル「ゲーセンラブ」、エコール「アンダーナイト・インヴァース」、「ギルティギアイグゼクス・アクセントコアプラス」(以上今秋)などを紹介した。バンダイナムコゲームスは「鉄拳タッグトーナメント2アンリミッテッド」(仮称)、サオコンを操作する1−8人用「釣りスピリッツ」と1−4人用「ビッグバンスマッシュ」を披露、機動戦士ガンダムエクストリームvsフルブースト」(4月予定)など紹介した。コナミはXbox用を業務用にした「ダンスエボリューション・アーケード」など音楽ゲームを披露した。アールエスはケイブの新作「怒首領蜂最大往生」を出品した。

 .セガサミーHDは2月23日、米国リップルウッドHDの子会社でベルギーに本社を置くRHJインターナショナル社から、フェニックスリゾート(宮崎市、河本和彦社長)の全株式を、4億円で買い取り54億千4百万円の債務分を融資する内容で合意したと発表した。リゾート法第1号指定で第三セクターにより建設された日本でも有数のリゾート施設である「フェニックスリゾート・シーガイア」は94年10月に全面開業したが、01年2月に会社更生法適用を申請、同年6月リップルウッドHDが162億円で買収した。室内プールの「オーシャンドーム」は07年9月に閉鎖されたが、ホテル、スパ、ゴルフ場、レストラン、国際会議場からなるリゾート施設は営業を継続している。フェニックスリゾートの11年3月期の売上高は96億9千2百万円、経常損失は2億4千4百万円。セガサミーHDではグループ会社として、複合型リゾート施設を開発・運営していくとしている。

 .米国ラスベガスのウィン・リゾーツ社と大株主のユニバーサルエンターテインメント社の争いが日増しに激化、拡大している。ウィン・リゾーツ社は2月19日、同社コンプライアンス委員会の調査報告によると、岡田和生氏とユニバーサルが、フィリピンのカジノ規制当局(PAGCOR)の高官2名に11万ドル以上の現金などを贈るなど36件以上にわたり、米国の海外汚職行為防止法(FCPA)およびウィン・リゾーツ社行動規範に違反しており、これら不適切な活動をした岡田氏にウィン・リゾーツ社の役員辞任を求めるとともに、ユニバーサルが保有する約20%の株式を市場価格より31%下回る19億ドルで強制的に買い戻した、と発表した。岡田氏不在の役員会でそう決めたもよう。ユニバーサルはこれに対し21日、「一方的で不当な決定であり、弁明の機会さえない」と反論、必要な法的措置を講じる、と発表した。

 .米国の「ゲームワークス」チェーンでは最大規模だったラスベガス店が3月11日にも閉鎖され、テナント料の安い場所に移転する見込みとなった。1997年にセガ社ら3社が設立したゲームワークス社は昨年4月、投資グループに買い取られ、新会社のゲームワークス・エンタテインメント社(本社ラスベガス、スティーブ・ドーナーCEO)がゲームワークス6店とレストラン1店の経営を引き継いでいるが、「コカコーラミュージアム」とM&Mストアに挟まれた好立地で、賃貸料が高すぎる割に客の入りが少ないため、もっと安く、客の来やすい場所に移るべく準備を進めているとのこと。これとは別にゲームワークス社は昨年10月、JBCエンタテインメント社から「ジリアン」ブランドの娯楽/ビリヤード店を5店取得している。

 .昨年末100歳を迎えたばかりの、米国のアーケードゲーム開発者、スティーブ・コーデック氏が2月19日、死去した。12月26日に100歳を迎えたことを祝って、関係者が1月20日にパーティーを開いてちょうどひと月目だった。葬儀は22日、シカゴで行なわれた。コーデック氏はアーケードゲーム業界に入った1937年から、引退した99年までの63年間、ゲンコ社(後にシカゴコイン社に吸収)とウィリアムズ社で、フリッパーを初めてプレイフィールド底部1対にした「トリプルアクション」(1948)、ドロップターゲットを初めて使用した「バンガボンド」(1962)、マルチボールを初めて採用した「ビート・ザ・クロック」(1963)など、100タイトル以上のフリッパーピンボールを開発したほか、さまざまなアーケードゲーム機を開発した。引退後も毎年シカゴで開かれる「ピンボールエキスポ」に出向いていた。

 .その他金融業で大証2部に株式を上場しているJトラスト(東京都港区、藤沢信義社長)とネクストジャパンHDは2月14日、株式交換方式により4月30日付でネクストジャパンがJトラストの完全子会社になり、4月25日付でネクストジャパンが上場廃止になることを決めた、と発表した。ネクストジャパンの臨時株主総会は4月6日に開かれる予定で、4月30日付でネクストジャパンの1株に対しJトラストの2株の割合で株式が交換される。Jトラストの藤沢社長はネクストジャパン株式の約34・6%を所有する筆頭株主でもある。ネクストジャパンは11年7月期決算で債務超過に陥っており、既存事業だけでは上場廃止を避けることができなかったが、Jトラストの完全子会社になることにより企業再生の見通しが立ち、アドアーズとの資本・業務提携も活用できる見通しとなった。

 .アドアーズは2月10日、第3・四半期までの9ヵ月(4−12月)決算を発表、売上高は9%減の171億円、経常利益は212%増の8億8千万円、純利益は12倍の9億3千万円だった。ゲーム場運営の売上高は5%減の138億円、営業利益は141%増の12億7千万円、設計・施工の売上高は22%減の26億3千万円、営業利益は52%減の1億2千万円、レンタルの売上高は86%減の2千6百万円、営業利益は84%減の5百万円、不動産の売上高は16%減の6億5千万円、営業利益は84%減の2千百万円。ゲーム場は第1・四半期に2店、第2・四半期に8店、第3・四半期に3店の計13店閉店し、67店と減少している。ネクストジャパンがJトラストの完全子会社になるのに伴い、Jトラストはアドアーズの株式の34%を所有する「その他関係会社」になる予定。

 .オペレーター会社の大幸産業梶i埼玉県志木市本町、杉本勝詔代表)が自己破産手続き開始を申請、埼玉地裁は2月10日に破産手続き開始を決定した。財産状況など報告集会は5月14日に開かれる予定となっている。1967年に父親の会社が倒産したため、残った回転式乗物機の設置運営を開始して翌年創業、70年12月に大幸産業を設立。伊勢丹ストア、東急ストア、カスミストア、京王ストアなどにシングルロケを拡張、やがてテナントとしてSCロケを運営するようになった。杉本代表は日本SC遊園協会(NSA)の理事をしていたことがある。

  

 ◎ 業界紙「ゲームマシン」は1974年以来、TVゲーム機を含む業務用アミューズメントマシン、遊園施設などに関する業界ニュースを、月2回のペースで伝えてきましたが、印刷媒体は2002年6月一杯で休刊しました。