2011年12月15日号Last updated on December 1, 2011
特報
 米国IAAPAショー2011に、中国・台湾勢が出揃った。

 元関西精機製作所の古川氏が、94歳で亡くなった。

海外
 AIAS2012パイオニア賞は元アタリ社のエド・ログ氏に決まった。

 米国マサチューセッツ州もカジノ容認を決めた。

国内

 TDLの「スターツアーズ」が3年後の公開めざし、来年から工事。
 
 SNSゲーム大手同士の争いが、訴訟に発展した。


2011年12月15日号のニュースダイジェスト
米国IAAPAショー2011の写真から、上はナムコアメリカ社の小間で「パックマン・バトルロイヤルDX」4人用を試しているようす。下はセガ・アミューズメンツUSA社の小間で「ビジューエルド」(右の手前)など。


20年前の主なニュース

 米国データイースト・ピンボール社が設立15周年を祝った。米国で初のSCロケ向け「ファンエキスポ」が開かれた。AOUは初の「模範優良店」114店を表彰した。任天堂、セガ社、ナムコ、カプコンの中間決算は好調だった。コイル特許訴訟に関しセガ社は対決姿勢示す。(1991年12月15日号)

30年前の主なニュース

 米欧でもTV機の無断コピーの摘発が開始された。米国でTVゲームの売上げがフリッパーを大きく上回った。JAMMAはショー出品を禁じた「Gマシン」の定義をめぐり論議している。NAOは初の展示会向けのショー委員会を発足させた。野間貿易は「トライプール」許諾を発表した。(1981年12月15日号)



【ニユースダイジェスト】

 .米国IAAPAエキスポ11(11月15−18日、オーランド)には、32ヵ国から1,106社(前年1,140社)が出展、25,800人(25,000人)が登録入場し、うちバイヤーは15,300人(14,800人)だった。会場は硬貨作動式、屋外展示など6つの区画に分けられるが、基本的にはテーマパーク、遊園地などのアトラクション、遊園施設を中心に展示するもの。硬貨作動式パビリオンで今回は中国のワーラップ社(華立電子)が初参加し、これで中国、台湾勢が出揃い、製品の流れも整備された。日系出展社はセガ・アミューズメンツUSA社、ナムコアメリカ社、東京・新宿の中古機業者フロック。セガ社は「バーチャテニス4」、「レッツゴーアイランド3D」、新パズルゲーム「ビジューエルド」など、ナムコは「パックマン・バトルロイヤルDX」、「デッドストーム・パイレーツ3D」など紹介した。

 .【米国IAAPAエキスポ11の続き】米国アドレナリンAM社はタッチスクリーンを使った「フライトコントロールFX」、IT社は「パワーパット・ライブ2012」、グローバルVR社はゲームワックス開発の「フライトフィアランドDX」、ステップエボリューション社/コースト&コースト社はリズムアクションの「リレイブアーケード」、ロースリルズ社は「ダーティードライビン」を出品した。中国/台湾からはUNIS(世宇科技)が「クレージースピード3D」、華立電子が「Gスピリット・テニス」、「ストームレーサー」、IGS/華立が「スピードドライバー3」、「パワートラック」、ゴールデンドラゴン(龍城)が「トップスピード・シティ3D」、シーリーAM社(希力)が「ダイノザウア・センチュリー」を、テックウェイ社は「ポンポンテーブル」、韓国シミュライン社が「アクアレーサー4D」をそれぞれ出品した。

 .米国ウォルト・ディズニー社は11月10日に第4・四半期(7−9月の3ヵ月)決算および11年9月期(10年10月−11年9月の12ヵ月)決算を発表、第4・四半期の売上高は前年同期比7%増の104億ドル、営業利益は23%増の21億ドル、純利益は30%増の10億ドルと好調に推移した。このため11年9月期は売上高が7%増の408億ドル、営業利益が16%増の88億ドル、純利益が21%増の48億ドルと力強く伸ばした。部門別では映画スタジオ部門がこれまでの反動で後退したが、メディア・ネットワークス(ケーブルTVと放送)、パーク&リゾート(テーマパークとホテル)、コンシューマープロダクトがいずれも売上高と利益を伸ばして、全体の業績を牽引した。うちパーク&リゾートの年間売上高は10%増の117億ドル、営業利益は18%増の15億ドルだった。

 .オリエンタルランドは11月16日、東京ディズニーランド(TDL)の映像シュミレーター・アトラクション「スターツアーズ」を全面リニューアルし、13年春に「スターツアーズ・ザ・アドベンチャーズ・コンティニュー」としてオープンすることを決めた、と発表した。「スターツアーズ」は89年の導入以来20年以上に渡り、幅広く人気を集めてきたが、今回のリニューアルでは、シーンごとに複数のシナリオがランダムに選択されるシステムを導入しており、常に50通り以上の組み合わせでストーリーが展開され、予測できないスリルを味わうことが可能となる。また映像自体も3D(立体)となり、これまで以上の迫力、臨場感が楽しめる。米国ではすでに今年完成・公開されている。定員40名のキャビンを3台設置、1回4分半。総投資額約70億円。現行の「スターツアーズ」は12年4月で終了する。

 .日本で初めて本格的なエレメカアーケードゲーム機を開発・製造したことで知られる、古川謙三氏(ふるかわ・けんぞう=元関西精機製作所社長)が3月31日に死去していたことがこのほど分かった。94歳だった。同志社大卒、島津製作所、村田製作所勤務を経て、自動紙芝居機「ステレオトーキー」(後の「ビューボックス」)を製造販売するため、1955年1月に関西精機製作所を創業、58年2月に法人にした。歯車のギアに工夫を施した「ミニドライブ」(58年)、映像投影式で迫力のある「インディ500」(68年)とドライブゲーム機で大ヒットを飛ばし、「ガンスモーク」(75年)などガンゲーム機を含め、日本のゲーム機を世界的水準へ高めた功績が評価されている。91年2代目社長に就任した、長男の古川純一郎氏が93年11月に死去したため、94年2月に会社を整理、業界から引退していた。

 .交流サイト(SNS)大手のグリーと通信大手のKDDI(au)は11月21日、SNSゲームサイト「モバゲー」を運営するディー・エヌ・エイ(DeNA)を相手取って、10億5千万円の損害賠償を求める訴訟を同日付で東京地裁に起こした、と発表した。訴状によると、DeNAは昨年7−8月、SNSゲームを提供するソーシャル・アプリ・プロバイダー(SAP)に対し、他のSNSにゲームを提供しないよう圧力をかけた疑いから、公正取引委員会が12月に立ち入り検査し、今年6月に独占禁止法(公正な取引方法)違反を認定、グリーに排除命令を出したが、その後もモバゲーでゲームを提供するSAPが「グリー」でゲームを提供しようとすると、これを妨害しているとのこと。グリーの田中良和社長は、「妨害されたSAPは(DeNAの)報復を恐れ、訴えることもできない」と説明している。DeNAは独禁法に違反していない、と反論している。

 .米国のアカデミー・オブ・インタラクティブ・アーツ&サイエンス(AIAS)は11月17日、12年度パイオニア賞を元アタリ社ゲームデザイナーのエド・ログ氏(63歳)に贈ることに決まったと発表した。12年2月9日、ラスベガス郊外で開く会合で、サーニー・ゲームス社のマーク・サーニー氏がプレゼンターとなって手渡す予定。AIASが賞を送るのは今回が15年目で、作品に贈られる業績賞、人物に贈られる生涯業績賞、殿堂賞、パイオニア賞があり、うちパイオニア賞は3年目。ログ氏はバークレーとスタンフォード大学で数学とコンピューターを学び、コントロールデータ社に入社、向かいにあったアタリ社に転職、「アステロイド」、「センチピード」、「ガントレット」などのヒット作開発を指揮したことで知られる。プレゼンターのサーニー氏も、アタリ社「マーブル・マッドネス」、セガ社「ソニック・ザ・ヘッジホッグ2」などの開発で知られる。

 .米国マサチューセッツ州のドバル・パトリック知事が11月21日、州内にカジノリゾート3ヵ所、スロットマシンホール1ヵ所の設置運営することをを容認する州法案に署名して成立、同州内のカジノ合法化は実現する見通しになった。州議会下院は9月、上院は10月に可決していた。同州でカジノ運営を申請するには8,500万ドルの手数料、カジノ施設への5億ドル以上の投資が必要、スロットホールについては2,500万ドルと1億2,500万ドルの投資が必要で、大手カジノ会社などが進出を計画しているとのこと。米国東部では最近すでにイリノイ州、フロリダ州で容認されているが、開発許可をめぐってなお議論が続けられており、一部ではカジノ拡大に否定的な動きも表面化しているので、事態を見守る必要がある。

 .玩具企画の潟Eィズ(東京都中央区日本橋浜町、横井昭裕社長)は、子会社でアミューズメント機器開発の潟Eィズダム(同、嶋崎章社長)を解散、特別清算すると9月21日に発表していたが、東京地裁は11月9日、申請どおりウィズダム(嶋崎章代表清算人)の特別清算開始を決定した。負債3億円。清算理由としてウィズは、事業を休止していたウィズダムについて、「アミューズメント事業の将来的な採算性等を中心に事業継続を検討してきたが、この事業分野で後発の同社の発展性は乏しい、との判断に至った」としている。ウィズはバンダイにいた横井昭裕氏が1986年9月に独立設立した玩具企画会社で、主な納入先はバンダイなど大手玩具メーカー。05年6月、ジャスダックに株式を上場した。ウィズダムは07年10月設立の完全子会社だった。



 ◎ 業界紙「ゲームマシン」は1974年以来、TVゲーム機を含む業務用アミューズメントマシン、遊園施設などに関する業界ニュースを、月2回のペースで伝えてきましたが、印刷媒体は2002年6月一杯で休刊しました。