2011年7月15日号Last updated on July 1, 2011
特報
 米連邦最高裁はカリフォルニア州新法無効の判決を出し、決着。

 英国マーリン社が日本に進出、10月には「マダムタッソー東京」。

海外
 米国カ州上位裁判所はマネープッシャーをゲーミング機と断定。

 英国カジノ機器展ICEも13年からエクセル展示場に移行へ。

国内

 イオンファンタジー第1・四半期、震災で打撃受けるが、回復基調。

 セガ社、アトラクション開発で英国BBCと提携した。


2011年7月15日号のニュースダイジェスト
写真はセガ社の新作展(大阪会場)にて、上は多人数用メダルゲーム機「スターフォース3」(副題はシーズン1 ア・ニュー・レジェンド・ビギンズ)、下は参考出品の2人用ガンゲーム機「オペレーション・ゴースト」をそれぞれ試しているようす。


20年前の主なニュース

 宮城県オペレーター協会主催の仙台AMフェアで21社が77小間に出展した。未上場のタイトーの3月期決算は増収増益、テクモは増収減益だった。関西精機製作所の古川謙三社長が会長に、古川純一郎専務が社長になった。セガ社から「ソニック」プライズが発売された。(1991年7月15日号)

30年前の主なニュース

 TVゲーム「ジャンピューター」の商標権問題が発生、JAMMAが対応することになった。NAOの各支部作りが活発になった。大阪レジャー機器協組が展示会を開いた。タイトーは新作展で「グランドチャンピオン」を披露した。米国グレムリン社は新工場建設に着手した。(1981年7月15日号)



【ニユースダイジェスト】

 .米国連邦最高裁判所は6月27日、暴力的な内容のTVゲームを未成年者に販売などしてはならない、とするカリフォルニア州の新法は、言論の自由を定めた合衆国憲法修正第1条に違反しており、無効であるとの判決を示した。注目されていた判決だが、最高裁では7対2の圧倒的多数で決まった。カリフォルニア州で2000年10月に、ファースト・パーソン・シューティング(FPS)など暴力シーンを含むTVゲームを18歳未満者に販売・レンタルした者に最高千ドルの罰金を課す、という州法を議決、当時のアーノルド・シュワルツネッカー知事が署名して成立、01年6月施行予定になった。しかし、家庭用TVゲームソフト業者団体のVSDA(現EMA=エンタテインメント・マーチャント・アソシエーション)が自主規制しており、この州法は連邦憲法に違反しているとして、無効判決を求め05年10月連邦地裁に提訴し、施行に待ったをかけた。

 .【米国連邦最高裁判決の続き】連邦地裁は07年8月、EMAの訴えを全面的に認める判決を示した。州政府は控訴したが、第9巡回区連邦控訴裁判所は09年2月、3人の判事が一致して同様に控訴を却下した。ここまでは他の州でも同様の動きを示してきたが、同州政府は最高裁に上告したことから、イリノイ、ミシガン、フロリダ、テキサス、ルイジアナなど11州の検事局長が今回の州法を支持する意見書を提出したため、州政府側が勝てば米国50州のうち49州で同様の州法が制定されるとの見通しも出てきた。一方のEMA側でもAMOAを含む180の業者団体、メディア団体、専門家が支持を表明した。最高裁判決は、グリム童話を例に取りながら、「子どもたちを危害から守るために州が合法的権力を持つのは当然であるが、それには子どもたちが影響を受けかねないアイデアを制限するための『自由に動く力』まで含まれていない」としている。http://www.supremecourt.gov/opinions/10pdf/08-1448.pdfに判決全文

 .米国カリフォルニア州で4月14日、マネープッシャーはスロットマシンと同様違法なギャンブル機とする評決が出た。同州中部デラノ(2月)、南部ビスタ(3月)での摘発の結果、ロサンゼルスカウンティ上位裁判所(ギルバート・ロペス判事)は1週間の公判(トライアル)を経て、州法は現金払出し自体を禁じていないが、問題のプッシャー機は違法なスロットマシンと同様の働きをしている、とする陪審の評決を得た。このプッシャーは高さ1.5メートルの一人用で、キャビネット上部から硬貨を投入、絶えず動いているバーなどに硬貨が押されて、ランダムに硬貨が客の手前に落ちてくるもので、5―20ドルの紙幣で包まれた硬貨が落ちてくることもまれにある――とのこと。もっともプッシャー発祥の地、英国では現金を投入、現金を払い出すのが普通で、スロットマシンと同様規制されているから、別に画期的な評決とも言えないが、取り締まりは容易になるとのこと。

 .セガ社は6月24日東京で(28日大阪、30日福岡で)メダルゲーム、クレーンゲームに重点を置いた新作展を開催、アミーズメントのTVゲームでは2人用ガンゲーム「オペレーション・ゴースト」(出荷未定)を参考出品したのにとどまった。複数のプレイヤー用メダルゲーム機は、競馬の「スターフォース3」(11月出荷予定)、競艇の「スターボート」(同)、ダイスの「ザッツ・パラダイス」(12月)などを実物で出品。一人用メダルゲーム機「レディーラック」(9月)なども実物出品した。アミーズメントのTVゲームでは今回出品されなかったが、7月に「戦国大戦1570魔王上洛す」無償バージョンアップ、8月に「ネットワーク対戦麻雀MJ5」を、11月に「WCCF-IC2010―2011」を出荷予定している。

 .イオンファンタジーは6月28日、第1・四半期(5月20日までの3ヵ月)の業績を発表、売上高は6%減の96億5千万円、経常利益は20%増の2億5千9百万円、純損益は4千7百万円の赤字(前年同期は7千4百万円の黒字)だった。東日本大震災により全国320店のうち109店が休業に陥ったが、5月20日までに100店は営業再開した。休業していた5店(宮城4、岩手1)は6月末までに再開済みで、残る4店(宮城2、岩手1、福島1)も7〜9月に再開の予定。売上高は3月が15%減、4月が9%減だったが、5月は7%増と回復した。損害保険金1億円の特別利益があったが、震災被害1億2千4百万円と、資産除去債務会計基準の適用による1億8千5百万円の、計約3億円の特別損失を計上した。海外は中国3店が順調に売上を拡大、マレーシアのフランチャイズ(FC)店の直営化が進んでいる。

 .世界的なアトラクション運営会社、英国マーリン・エンタテインメント社は6月23日、初の日本進出を発表した。マーリン社は米国ブラックストーングループ傘下で1999年に設立され、05年玩具パークの「レゴランド」、06年テーマパークの「ガーダランド」、08年蝋人形の「マダムタッソー」を次々に買収、英国の観覧車「ロンドンアイ」などを含め世界(北米、欧州、東南アジア、豪州)17カ国で74のアトラクションを運営している。だが、なぜかこれまでどれも日本に導入されなかった。東京・台場の「デックス東京ビーチ」3階に10月、まず「マダムタッソー東京」を数ヵ月暫定で開設(人気が続くなら常設になる可能性もある)、マイケル・ジャクソンら定番と日本の著名人のそっくり人形を展示する。次に12年6月、同6−7階(約4千u)に、3―10歳の子どもがレゴを使ったさまざまな遊びを体験する「東京レゴランドディスカバリーセンター」を開設する。

 .セガ社は、英国放送協会(BBC)が制作した自然ドキュメンタリー番組を統合するブランド、「BBCアース」からライセンスを得て、その映像を使用したアトラクションを開発することで、BBCの商業子会社であるBBCワールドワイド社と契約した、と6月23日発表した。BBCは大自然を描いた「ブループラネット」など定評ある番組を、過去50年にわたり制作してきており、斬新で革新的な撮影技術による驚異の映像美を特徴としている。これらBBCの自然番組を統合する世界的なブランドが「BBCアース」で、その知的所有権はBBCワールドワイド社が管理している。セガ社は「BBCアース」の映像コンテンツをセガ社テーマパークのアトラクション開発に採用する予定。2013年国内で開設する4千uクラスの施設(名称など未公開)で盛り込むほか、海外での展開も視野に入れているとのこと。

 .マーヴェラスエンターテイメントとAQインタラクティブはそれぞれ、6月23日に開かれた定時株主総会で、マーヴェラスグループの一連の統合案を承認、10月1日付でマーヴェラスがAQインタラクティブを吸収合併し、「マーヴェラスAQL」と改称する手続きは最終局面に入った(本紙6月1日号参照)。これに伴いAQインタラクティブは5月1日付で、業務用AM機製造販売事業をすべて、新会社の潟Gンハート(東京都品川区西五反田1―22―17、森啓二社長)に譲渡したことが判明した。エンハートは4月25日に設立、6月1日に業務を開始した。これまでAQインタラクティブが手がけた業務用製品のアフターサービスなども引き継いでいるとのこと。

 .英国で毎年年明けに開かれるカジノ用賭博機展、「ICE」(ATEIから分離、発展したもので、正式にはICEトータリー・ゲーミングという)が2013年以後、エクセル展示場で開かれることになった。ICEの開催運営を担当するクラリオン社がこのほど発表したもので、12年は1月24―26日に従来どおりアールズコートで開かれるが、13年はエクセルで2月5―7日に開催、以後5年間エクセルで開催することを決めた。一方アミューズメント機と賭博性の少ない賭博機の展示会、ATEIは10年までで終わり、新たに発足した「EAG」は10年からエクセルで開催されており、12年は1月24―26日、13年は1月29―31日に開催する予定。EAG、ICEの両展示会はここ2年間、同じ日程で開かれてきたが、13年には4日間ほど間が空き、両方の展示会を訪れる予定の業者には不都合なことになる。 

 10.ナムコは「ナンジャタウン」(東京都豊島区)に客席回転移動式シューティングアトラクション「未来遊戯ガンガンナー」を導入、7月16日にオープンすると6月16日に発表した。敵キャラクターを投影するスクリーンが計4面あり、銃付属のハンドルを回して弾を発射する。座席も4面あり、少しずつ床が回転し次のステージへ向きを変える。12席、約7分。またセガ社は4月26日、大阪・阿倍野の「あべのマーケットパークキューズモール」3階にオープンした「セガあべのキューズモール」に、子ども用体験型アトラクション「でこぼこクレーンカンパニー」を導入した。これはブリジストンの協力を得て開発され、08年「トレッサ横浜」、09年「岡山ジョイポリス」、名古屋「モゾワンダーシティー」に導入したドライブ体験アトラクション「つくって走ろう!でこぼこモータース」から発展させたもの。カート定員2名(運転席と助手席)。他にクレーンユニットなどがある。

 11.セガ社は6月19日、欧州家庭用子会社のセガ・ヨーロッパ社(SEL、ロンドン)が運営する顧客サービス、「セガパス」に外部から不正侵入され、約129万人分の顧客情報が流失した、と発表した。同社によると流失した顧客情報は、氏名、生年月日、Eメールアドレス、暗号化されたパスワードで、クレジットカード情報は含まれていない。17日に不正アクセスの事実を確認、直ちに「セガパス」を停止、全容解明に全力を挙げて取り組んでいるとのこと。何者かがオンラインサービスのセキュリティを突破して不正侵入し、パソコンや家庭用コンソールを使って顧客情報を不正取得するもので、米国ソニーおよびSCEが今春不正侵入されたことが判明して以来、英国スクウェア・エニックス、米国任天堂など不正侵入されたことが分かっており、対策が再検討されている。



 ◎ 業界紙「ゲームマシン」は1974年以来、TVゲーム機を含む業務用アミューズメントマシン、遊園施設などに関する業界ニュースを、月2回のペースで伝えてきましたが、印刷媒体は2002年6月一杯で休刊しました。