2011年5月15日号Last updated on May 2, 2011
特報
 東京ドームは遊園施設事故の調査報告書を公表した。

 オリエンタルランドは自家発電を強化し、TDL/TDS営業を再開した。

海外
 ロンドンに来年ロープウェイを設ける、と市長が発表した。

 マサチューセッツ州法務局が「サイバーカフェ」禁止に。

国内

 任天堂11年3月期決算は2年連続して減収減益に。

 バンダイナムコゲームスがアンドロイド向けに「バナドロイド」開設。


2011年5月15日号のニュースダイジェスト
写真はAOUエキスポ11(2月)にて、上はバンダイナムコゲームスの小間で、システム365を採用した「鉄拳タッグ・トーナメント2」(今夏出荷予定)、下はアネックスの小間でアールシーアイ開発の「真・恋姫†夢想アーケードエディション」(7月)のそれぞれ展示しているようす。


20年前の主なニュース

 遊園地をチェーン展開する米国シックスフラッグス社が経営悪化を明らかにした。コナミ工業はコナミに、販売子会社のコナミはコナミ・エンタテイメントにそれぞれ社名変更する。AOU健全営業推進委員会は有害遊技機の扱いで、「大人用」の例外を撤回した。セガ社はJR駅構内の店舗を展開している。(1991年5月15日号)

30年前の主なニュース

 ミッドウェーなどを子会社とする、米国バリー社の80年12月期は飛躍的な好決算だった。NAOの東京3支部が発足した。テーカンは「プレアデス」を米国センチュリなどに許諾した。関西精機製作所は米国コンピュ・ゲーム社を米国総代理店に指定した。岡本製作所は古典的な「おみくじ機」を発売した。(1981年5月15日号)



【ニユースダイジェスト】

 .東京ドームは4月28日、アミューズメント部が運営する遊園地「東京ドームシティアトラクションズ」のマッドマウス型遊園施設「スピニングコースター舞姫」で1月30日に発生した乗客の死亡事故について事故調査報告書を公表し、担当者への安全指導不足やマニュアルの不備が事故を招いたと会社の責任を認めた。報告書によると、この遊園施設は2000年3月の導入以来、安全バーロックを担当者が手で触って確認していたが、客のクレームにより06年から触らず目視だけになっていた。このため乗客は座席に固定されず転落、死亡した。この施設は撤去するが、事故の風化防止のため一部を展示する予定。役員報酬は5月から5〜30%を3ヵ月減俸処分する。遊園地は事故以来休園中で、再開する予定だが、時期のめどは立っていない。

 .オリエンタルランドは4月20日、東京ディズニーシー(TDS)の営業を28日に再開すると発表した。また15日に営業を再開した東京ディズニーランド(TDL)は23日から夜間営業を開始することも明らかにした。これによりTDLとTDSの営業時間はともに、通常通り8〜22時になる。これに伴いTDLの「エレクトリカルパレード」も再開する。同社では、テーマパーク内と、バックヤードにおける照明、空調などの抑制など、引き続き節電を徹底する。また太陽光や天然ガスを利用した自家発電設備(最高3千KW)を導入済だが、今後も太陽光パネルの増設、新たな自家発電設備など進め、300億円を投資して8月にも1万5千KWを確保する計画とのこと。

 .任天堂は4月25日、11年3月期決算を発表、売上高は前年比29%減の1兆143億円、経常利益は65%減の1,281億円、当期利益は66%減の776億円と2期連続の大幅な減収減益となった。家庭用本体の販売実績は「DS」(DSi、DSiLL含む)が1,752万台(累積1億4,642万台)、「3DS」が361万台、「Wii」が1,508万台(8,601万台)だった。海外売上高比率83%で円高の影響を直接受け、また外貨建て資産評価替えによる為替差損494億円を計上した。12年3月期は売上高1兆1千億円、経常利益1,850億円、当期利益1,100億円を見込む。また「Wii」の後継機を今年6月米国「E3」で仕様とともに体験可能な状態で披露、12年中に発売する計画、と発表した。

 .エスケイジャパンは4月14日、11年2月期決算を発表、売上高は1%減の94億5千8百万円、経常利益は46%減の2億8千7百万円、当期利益は54%減の1億3千9百万円と振るわなかった。前日に特別利益1億3百万円、特別損失9千2百万円の計上と業績予想の上方修正を発表した。売上高のうち卸売事業は0.5%減の84億6千百万円、小売事業は8%減の9億9千6百万円で、卸売事業のうちAM業界向け(景品)は16%減の40億円、SP部門(付録やキャンペーン商品)が28%増の13億円、EC部門が172%増の6千万円、物販業界向けが16%増の29億円だった。主力のAM業界向けはSCで好調だったのに、路面店で振るわなかった。12年2月期は売上高95億円、経常利益2億9千万円、当期利益2億4千5百万円を見込んでいる。

 .ウェアハウスは4月27日に11年3月期(決算期変更により15ヵ月の変則)決算を発表、売上高は116億4千4百万円、経常利益は2億6千3百万円、当期損失は18億8千2百万円だった。二日前の25日に業績予想の修正を発表していた。品目別売上高はDVD/CDレンタル部門が46億9千万円、ゲーム場が65億2千百万円、その他が4億3千百万円。同社はゲーム場について「客の増加につながるようなゲーム機の発売もなく、客が減少し、既存店売上高も減少した」と説明している。なお同社は現在、ゲオの65%子会社。12年3月期は売上高94億円、経常利益3億円、当期損失1億6千万円を予想している。

 .東日本大震災とそれに伴う福島原子力発電所事故はゲーム場経営に大きな損害をもたらしており、経済的打撃の第一報として、アドアーズは4月19日、11年3月期業績予想がプラスマイナスゼロから42億円の赤字に転落するという下方修正を発表した。同社では事業用資産(施設・機械・不動産)の損失約31億円、その他資産1億円、直営店閉鎖費用8億円の特別損失計39億円を計上することを決めた。これに伴い11年3月期業績予想は、売上高259億円(2月発表の前回予想では265億円)、経常利益7千万円(5千万円)、当期損失42億円(ゼロ)と下方修正した。

 .国際都市では世界初の試みとなる、ロープウェイが英国ロンドンに来年夏までに作られることになった。ボリス・ジョンソン市長が4月18日に発表した。テムズ川をはさんで「Q2アリーナ」(旧ミレニアムドーム)のあるグリニッジ半島と、EAG会場で知られる「エクセル」展示場およびロイヤルドックスの間(全長1.1km)を、最高位90mのロープウェイでつなぐもので、10人乗りのゴンドラが、34個次々と進み、約5分間の空中散歩を味わうことができるとのこと。英国の建築家、ウィルキンソン・エア氏が設計、建設は「ロンドンアイ」を手がけたメイス社が担当する。計画・運営はロンドン交通局が担当、総工費は推定4千万ポンド(約54億円)。毎時2千人、年間2百万人の利用を見込んでいる。2012年6月30日続報=完成し、28日に営業運転を開始した。運賃は片道3・2ポンド(約400円)。

 .米国マサチューセッツ州の検察を束ねているマーサ・コークレイ法務局長(AG)はこのほど、「サイバーカフェ」の名目で営業している違法な賭博店を禁止する、との命令を発布、4月7日付で施行した。これは同州の消費者保護法で定めている、法務局長は不法な商行為を禁止できるという条項に基づき、州内で蔓延している違法賭博を禁止することにより、消費者である住民を保護しようとするもの。法務局長は州議会と協議し、さらに法規制の強化を図るとしている。米国では同州などの北東部からフロリダなどの南部、テキサスなど中西部など「インターネットカフェ」の名目でTVポーカーなど賭博営業をする店が増えるとともに、摘発され、次第に社会問題化しつつある。

 .米国のスマート・インダストリーズ社(アイオワ州デモイン)の創業者兼CEOの、ゴードン・スマート氏(79)が4月21日に死去した。兵役終了後、巡回遊園地のアーケードゲームを運営するスマート社を1963年に創業、通常の遊園地でのアーケード、シングルロケのルートなどへ拡張し、85年にはゲーム機の製造販売を開始しており、従業員は当初の3人から、120人以上になっているとのこと。同社製品でよく知られているのは、ジョイスティックで操作する「プライズタイム」などアップライトのクレーンゲーム機、玉入れゲームの「ビッグバーサ」などリデムプションゲーム、「ハリウッドフォト」など写真シール機など。息子のジェフ・スマートが社長で、今後はCEOを兼ねることになる。

 10.「ゲオ」グループの店舗内にアドアーズが委託を受けて、カプセル自販機(通称ガチャガチャ)を設置・運営することでゲオとアドアーズは4月26日に合意し、業務委託契約した。ゲオはウェアハウスとゲオディノスの親会社として知られるが、主な事業としてDVD、CD、家庭用ゲームソフトのレンタル、中古・新品販売などを行なう店舗を千3百店展開しており、首都圏を中心にゲーム場を80店展開するアドアーズが、ゲオの店舗内にカプセル自販機を設置・運営することにより付加価値を生み出そうとするもの。5月初旬から店舗への設置を開始、6月から委託業務を開始する。両社はこれを機に、共同店舗の検討など情報交換するとのこと。

 11.バンダイナムコゲームスは4月27日、スマートフォンOS「アンドロイド」市場向けに、独自マーケット「バナドロイド」を開設し、今夏にベータオープン、今秋に本格参入する予定で、開発を進めていると発表した。アンドロイド市場には検索サイトのグーグルや携帯電話メーカー、コンテンツ提供会社などがそれぞれ参加し、多種多様なサービスを展開しているが、同社「バナドロイド」はコンテンツ提供サイトとして、ゲームソフトなどアプリケーションの配信から課金システム、登録ユーザー情報など自社で管理・運営して、市場におけるシェア獲得を目指す、としている。同社では一元管理により事業のスピード化が図れるほか、家庭用ゲームやキャラクターコンテンツとの連動も容易になり、プラットフォームを越えた展開もできるとしている。

 12.カプコンは4月19日、スマートフォン向けソーシャルゲーム事業の国内子会社、「ビーライン・インタラクティブ・ジャパン」(本社大阪、世古学社長)を設立した、と発表した。同社は09年以来スマートフォン向けコンテンツの開発を手がけ、米欧子会社を通じて配信してきたが、国内でも普及台数がパソコンを超えると予想されるスマートフォン市場で、その半数を占めるソーシャルゲーム市場に対応する完全子会社として、19日付で設立したもの。同時に、ソーシャルゲーム向けブランドをスタートさせることになり、これまで携帯電話向けゲームを担当してきた米国子会社のカプコン・インタラクティブ(ロサンゼルス)はビーライン・インタラクティブに、カナダの同・カナダ(トロント)はビーライン・インタラクティブ・カナダに改称する。


 ◎ 業界紙「ゲームマシン」は1974年以来、TVゲーム機を含む業務用アミューズメントマシン、遊園施設などに関する業界ニュースを、月2回のペースで伝えてきましたが、印刷媒体は2002年6月一杯で休刊しました。