2010年8月15日号Last updated on August 1, 2010
特報
 機械遺産に豊島園の「エルドラド」が認定された。

 携帯電話のじゃんけんサイトが賭博容疑で摘発された。
海外
 家庭用TVゲームを規制する州法を連邦最高裁が審理へ。

 米国ラスベガスの老舗ホテル「リビエラ」が倒産した。

国内

 セガサミー、第1・四半期は黒字回復。カプコンは大幅減益。

 タイトー、32:9画面の「ダライアスバースト」を開発。


2010年8月15日号のニュースダイジェスト
写真は7月現在日本で2台だけという、韓国ラッセン社のTVガンゲーム機「バルカンM」を試しているようす(ストロボを使用すると画面が見えないためほぼ同じ位置から2枚撮影)。100インチワイド画面、反動付きバルカン砲などの特徴がある。福岡のマインズを通じて、ナムコのナムコランド梅田店とワンダーシティ南熊本に設置された。マインズはAMショーに出品する予定。

20年前の主なニュース

 JAMMA単独主催2回目のAMショー(10月3−4日、TRC)に、前回並みの47社が947小間の出展を申し込んだ。IAAPAとJAMMAの幹部が初めて東京で懇談した。大阪市港区の天保山ハーバービレッジ内に、セガ社のゲーム場「シネセット」がオープンした。(1990年8月15日号)

30年前の主なニュース

 英国ATEの会場だったロンドン郊外のアレクサンドラパレスが焼失した。タイトーアメリカ社の社長にミッテル氏が就任した。岡山・高梁に遊園地「きびの郷ワンダーランド」が誕生した。大阪・なんばシティにナムコのゲーム場「ビッグキャロット」がオープンした。(1980年8月15日号)

 Copyright Amusement Press Inc. 2010 ゲームマシン、アミューズメントプレス、アミューズメント通信は登録商標です。無断で本紙記事を転載したり、その他アミューズメント通信社の知的所有権を侵害することは違法です。



【ニユースダイジェスト】

 1.日本の産業発展に貢献した、歴史的意義のある「機械遺産」に、初めて遊戯機械が選ばれた。社団法人日本機械学会(松本洋一郎理事長=東大教授)は7月25日、豊島園に設置されている世界最古のメリーゴーランド(カルーセル=回転木馬)「エルドラド」を含む6件を機械遺産に追加した。「エルドラド」(スペイン語で理想郷)はドイツ人技師のヒューゴ・ハッセルが1907年に作った世界的に貴重な文化資産で、当時のアールヌーヴォー様式の装飾と三層式回転木馬の機械技術が見事に融和した傑作とされている。欧州各地で巡業営業された後、11年に米国コニーランドに渡り、64年まで運営された後、豊島園が買い取り、修復され71年から運営されている。「機械遺産」に認定された機械は07年以来47件になった。

 2.警視庁保安課は7月16日、携帯電話サイト運営会社「シーズスタイル」社長の宮本智行容疑者(30)ら3人を常習賭博の容疑で逮捕した。携帯サイトを利用した賭博事犯の検挙はこれが初めて。調べによると、09年10月−今年5月、KDDIとソフトバンクモバイルの公式サイトに「懸賞じゃんけんぽん」など5サイトを開設、じゃんけん勝負に1回315円を賭けさせ、客が3連勝すると千円、5連勝すると1万円を払い戻す(ただし5連勝の確率は0.9%)よう設定、これに2万7千人の客が賭け、賭け金は1億3千万円に達していたが、客には143万円しか払い戻さなかったという。容疑者は事前に弁護士に相談したとして、違法性を否認している。携帯電話サイトでは電話会社が審査・認可して、利用料金の回収を代行する仕組み。

 3.セガサミーHDは7月30日、第1・四半期(4−6月)決算を発表、売上高は51%増の913億円、経常利益は146億円(前年同期は80億円の損失)、純利益は70億円(102億円の損失)と黒字回復した。遊技機は売上高が148%増の490億円、営業利益が151億円(10億円の損失)、業務用は売上高が24%増の104億円、営業利益が13億円(10億円の損失)、ゲーム場は(1増6減で255店)売上高が55%減の111億円、営業利益が1億円(1億円の損失)、家庭用は売上高が15%増の208億円、営業損失は6億円(45億円)。中間期の業績予想を売上高2,050億円(前回予想では1,900億円)、経常利益335億円(140億円)、中間利益170億円(55億円)に上方修正した。

 4.カプコンは7月29日、第1・四半期(4−6月)決算を発表、売上高は2%減の190億円、経常利益は95%減の2億千6百万円、純利益は90%減の2億千3百万円と減収で大幅減益だった。主に家庭用の伸び悩みと円高により減収、開発費増加により減益となった。部門別では一部再編した。家庭用・オンラインゲームの売上高は149億円、営業利益は17億円、携帯電話向け配信の売上高は6億円、営業利益は9千万円、ゲーム場運営(1店減の37店)の売上高は10%減の26億3千万円、営業利益は56%増の1億7千8百万円、遊技機受託生産を含めた業務用は売上高が2億5千2百万円、営業損失が1億6千9百万円、ロイヤリティその他の売上高は4億円、営業利益は3千万円だった。

 5.ウェアハウスは7月28日、6月中間決算を発表、売上高は16%減の46億6千万円、経常損失は3百万円(前年同期は3億6千万円の利益)、中間損失は1億5千万円(1億3千万円の利益)だった。売上高の内訳はDVDなどレンタルが17億6千6百万円、ゲーム場などが28億9千6百万円。AMゲームは増収につながる新作が少ないとしている。なお、23日に中間期と通期(1−12月)の業績予想を大幅下方修正しており、通期業績予想は売上高が92億円(1月の前回予想では104億円)、経常損失が3億3千4百万円(2億9百万円の利益)、純損失が3億6千3百万円(3百万円の利益)となった。株式公開買付けの結果、ウェアハウスは7月2日付で、ゲオの60.2%子会社となっている。

 6.エスケイジャパンは7月14日、第1・四半期(3−5月期)決算を発表、売上高は3%減の22億9千2百万円、経常利益は96%増の1億2千9百万円、純利益は93%減の千5百万円だった。卸売事業の売上高は0.3%増の20億4千百万円、営業利益は108%増の1億2千百万円、小売事業の売上高は21%減の2億5千百万円、営業利益は5百万円(前年同期は百万円の損失)。卸売事業のうちAM業界向け販売は、メーカー系と量販店系オペレーター向けは増加したが、路面店向けが振るわず、売上高は7%減の10億4千百万円にとどまったほか、SP部門が3億千5百万円、EC部門が8百万円、物販業界向けが6億7千5百万円となった。

 7.バンダイナムコゲームスは7月16日、保有する特許の一部を、独立行政法人の工業所有権情報・研修館(INPIT)が運営する「特許流通データベース」で公開、有償で提供すると発表した。同社はゲーム開発を通じて約千件(今年3月末現在)の特許を所有しており、うち遠山式立体視技術関連9件、動体認識技術を活用したゲーム関連6件、キャラクター操作方法関連4件、ネットワーク・通信を用いたゲーム関連3件、その他6件の計28件を今回公開する。「特許流通データベース」はネット上のサイトで、これらのライセンス情報を提供、実用化を推進していく。

 8.カプコンとバンダイナムコゲームスは7月26日、それぞれの格闘ゲーム「ストリーチファイター」と「鉄拳」両シリーズのキャラクターが対決する格闘ゲームを開発することで合意した、と発表した。両シリーズは業務用から始まったが、互いにキャラクター使用を認める対決版は業務用ではなく、家庭用で始まる予定。発表によると、カプコンはPS3・Xbox用ゲームソフトとして「ストリートファイター×(クロス)鉄拳」を開発(発売時期未定)、バンダイナムコゲームスは(対応機種未定で)「鉄拳×ストリートファイター」を開発発売する。業務用では、カプコンと旧SNKがそれぞれ互いのキャラクター使用を認めた「カプコンvsSNK」(00)など展開したことがある。

 9.タイトーは32インチワイド画面を二つ繋いだ32:9画面の1−4人用「ダライアスバースト・アナザークロニクル」を今冬出荷する、と7月30日に発表した。「ダライアス」(86)、「ダライアスU」(89)、「ダライアス外伝」(94)、「Gダライアス」(97)と続いてきた業務用シリーズの最新作で、専用キャビネット使用では21年ぶりとなる(業務用としては13年ぶり)。2画面は鏡面で繋ぐ方式。タイプX2基板使用、NESYS対応。ボディソニックシート使用。ゲーム自体は09年12月に発売された家庭用のPSP用ゲームソフト「ダライアスバースト」をベースにしている。AMショーに出品する予定。

 10.帝国データバンクは7月22日、遊園地・テーマパーク関連企業134社の経営を分析、09年度(1−12月)の収入合計は2.7%増の7,544億円だが、オリエンタルランドが3,184億円で、1社で全体の42%を占めており、中小企業の苦戦が目立つと発表した。同社によると、2位以下はユー・エス・ジェイ685億円、東京ドーム598億円、ナムコ577億円、長島観光開発252億円、富士急行237億円、加森観光174億円などとなっており、これら1−7位だけで全体の75.5%を占めている。以下はハウステンボス153億円、よみうりランド129億円、フェニックスリゾート120億円など。

 11.米国で暴力を助長すると考えられる家庭用TVゲームソフトを年少者に販売することを禁じる州法が合衆国憲法に違反するかどうか、改めて連邦最高裁判所が今秋、審理することになったため、双方は対応を強化している。カリフォルニア州で05年10月に成立した州法をめぐるもので、施行に反対する訴えが連邦地裁、控訴裁(09年2月)で認められ、同州は上告していた。連邦最高裁の審理が可能になったので、同様の州法を制定したが、連邦裁判所の決定で無効とされた他の州も立ち上がり、イリノイ、ミシガン、フロリダ、テキサス、ルイジアナなど11州の検事総長は7月までに連邦最高裁へ、カリフォルニア州法を支持する意見書を提出した。業者団体のEMAは連邦控訴裁決定を支持する意見書を9月にも提出する予定。

 12.米国ラスベガスの大通りにある「リビエラ」ホテルカジノの親会社、リビエラ・ホールディングスが7月12日、破産法11条(チャプターイレブン)の手続きを申請、事実上倒産した。負債は約2億7千万ドル。1955年オープンした、客室2,100のリビエラホテルは、当初マイアミの投資家が建設し、55年の間にオーナーが何度も代わっている。破産法申請は今回が3度目(前回は1993年)で、今回はスターウッドキャピタルグループの下で再建する方針をまとめ、すでに債権者の75%の同意を得ているとのこと。営業は継続中。

 13.タイトーは7月28日、TVゲーム「スペースインベーダー」(78)を元にデザインしたエコバッグを、特定の直営店を通じて頒布すると発表した。この「タイトーステーション・エコバッグ」は、クレーンゲームで獲得した景品を持ち帰る際に使う景品袋を減らすのが目的で、発売記念価格400円。7月31日に3店(新宿東口、町田、広島紙屋町)において、無料プレイで景品を獲得した100名に進呈するイベントを実施した後、発売を開始する。また8月1日より6店(仙台クリスロード、所沢、柏、新宿南口ゲームワールド、アリオ八尾、キャナルシティ博多)でも発売する。



 ◎ 業界紙「ゲームマシン」は1974年以来、TVゲーム機を含む業務用アミューズメントマシン、遊園施設などに関する業界ニュースを、月2回のペースで伝えてきましたが、印刷媒体は2002年6月一杯で休刊しました。