2008年9月15日号Last updated on September 2, 2008
特報
 スクウェア・エニックスはテクモにTOBを提案したと発表した。

 「レジャー白書08」でもゲームセンター市場の後退明らかに。
海外
 米国のヒルクレスト・ラボラトリーズ社は特許侵害を理由に任天堂を訴えた。

 アルゼはフィリピンでのカジノリゾート暫定許可と用地を確保した。

国内

 テクモの安田義巳社長が退任、柿原康晴会長が兼務することになった。

 ネクストジャパンHDが業績予想を下方修正した。


2008年9月15日号のニュースダイジェスト
写真上は6月のカプコン新作展(京都)で「ちびまる子ちゃん・めざせ富士山日本一!」を、下は7月のユウビス新作展(東大阪)で「バーバーカット・リバーシブル」を紹介しているようす(右はユウビス販売の川楠哲也社長)。

20年前の主なニュース

 米国レッドバロン社対タイトー訴訟で双方は、並行輸入のみを争点にすることに合意した。韓国での無断商標登録事件で、コナミ工業がまず無効審決を勝ち取った。富士急ハイランドで初のシューティングコースター「ゾーラ」の営業運転を開始した。タイトーは設立35周年を機にCIを導入、社名ロゴを一新した。(1988年9月15日号)

30年前の主なニュース

 アイピーエムは、「テーブルブロック」を生産するナナオの工場(宇出津、内灘)に業者を招待した。サン・アミューズメントは米国ウィズドム社の映像シミュレーター「アストロライナー」を導入、ユニー一宮SCで営業を開始した。タイトーは待たれていたテーブル型「スペースインベーダー」を出荷した。(1978年9月15日号)

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【ニユースダイジェスト】

 1.スクウェア・エニックスは8月29日、テクモの取締役会に対しTOB(株式の公開買い付け)を提案したと発表した。同社によると、「今後につき危惧せざるを得ない状況」にあるテクモを、タイトーと同様同社グループに加えて、互いに発展させたいとの趣旨で、1株920円の買い付け価格で過半数の株式取得を目指すが、テクモからの賛同が9月4日までにない場合は提案を撤回する、とのこと。テクモではこのところ開発者による訴訟や、安田義巳社長の退任などが続いており、その結果株価も急落しているが、買い付け価格は28日終値の3割増と設定している。テクモは同日、「対応を検討している」とのコメントを出した。

 2.テクモは8月20日、6月中間連結決算を発表、売上高は5%増の67.9億円、経常利益は20%減の11.8億円、中間利益は52%減の3.7億円と大幅減益だった。同社事業に家庭用販売はあるが、業務用販売はなく、テクモウェーブが担当するゲーム場運営は不採算店の閉鎖を進め、売上高が7%減の20億円で、営業利益は0.1%増の千5百万円などとなっている。安田義巳社長から自己都合により退任するとの申し出があり、9月1日付けで柿原康晴会長が社長を兼任することが決まった。柿原康晴氏は創設者故柿原彬人氏の次男で、99年に獨協医科大卒、01年テクモ監査役などを経て、06年3月からテクモウェーブ取締役、07年3月からテクモ会長。38歳。千葉県出身。安田氏は06年1月から2年7ヵ月社長を務めたことになる。

 3.米国のヒルクレスト・ラボラトリーズ社(本社メリーランド州ロックビル、ダニエル・シムプキンズCEO)は8月20日、同社が持つ4つの特許を任天堂が「Wii」によって侵害したとして、国際貿易委員会(ITC)に提訴するとともに、連邦地裁に提訴したことを明らかにした。同社は2001年以来TV画面上の動作制御などを可能にする技術を開発、製品化している。同社は任天堂に敬意を抱いているが、侵害の事実も明らかなので、知的所有権を保護するため、輸入禁止を求めてやむを得ず提訴した、と説明している。

 4.社会経済生産性本部による「レジャー白書08」によると、07年の余暇市場はこれまでの縮小基調から一挙に前年比5.8%減少して約74兆5,370億円となった。これはパチンコ市場が規制強化により4.5兆円減と大きく落ち込んだため。AM関係市場ではゲーム場が5.9%減の6,190億円で、5年連続増加から減少に転じ、苦戦した。遊園地・レジャーランドは0.8%減の6,430億円にとどまった。一方、家庭用TVゲームは4.6%増の7,110億円で、4年連続して増加している。ゲーム機では、シールプリント機、プライズゲーム機、メダルゲーム機がいずれも人気を落とし、カードゲーム機も勢いが沈静化し、全体に「ゲーム場離れ」が起こって売り上げが落ちた。それに比べて家庭用TVゲームは好調、と同白書は分析している。

 5.JAMMAのAMプライズ部会(佐藤隼夫部会長)は9月1日付で「アミューズメントプライズ製品の安全性に関する自主行動計画」と「AMプライズ製品安全確保ガイドライン」を策定、09年4月にも実施する見込みとなった。これはクレーゲーム機などで提供される景品の安全性を確保するとともに、法令に違反しないよう注意するためのもので、玩具を景品とし提供する場合は日本玩具協会のST基準を満たすことなど定めた。だが「AMプライズ製品」の定義となると、風営法8号営業で規制される遊戯設備のうち「遊技の結果が物品により表示される遊技の用に供する遊技設備」「向けに提供される物品」と、風営法の賞品が物品になるという矛盾を引き継いだものとなっている。

 6.アルゼは8月21日、マニラ湾沿いの建設用地約30haを7月2日に3億ドルで取得、カジノ運営のプロビジョナル(暫定)ライセンスも8月2日にフィリピン娯楽賭博公社(PAGCOR)から取得して、フィリピンにおけるカジノリゾートを本格的に展開する準備が整ったと発表した。同カジノリゾートは国が進めているプロジェクトに沿って、アルゼが今年4月に概要設計を開始、この8月の詳細設計開始を経て、12月に設計を終えて、09年1月に見積りを開始、2月に着工、10年4月にカジノをオープン、11年11月にホテルをオープンする予定。カジノホテルの他に水族館、美術館、観覧車などを計画、事業規模は2,500億円程度になると見られている。

 7.アドアーズは8月14日、第1・四半期(4−6月)決算を発表、売上高は0.7%減の53.7億円だったが、「アドアーズ蒲田西口店B館」など6店を開設した費用と償却費などの負担が大きく、経常利益は87%減の73百万円、純利益は96%減の14百万円と大幅減益となった。部門別売上高はゲーム場が7%増の48億円、施設設計施工が35%減の3.5億円、パチスロ機レンタルが59%減の1億円、不動産が7%減の1億円となっている。なお、8月1日にガイアとミニオンから予定通り8店を買い取った。

 8.「JJクラブ100」を展開するネクストジャパンホールディングスは8月29日、08年7月期業績予想を、売上高22.6億円(昨年9月の前回予想では27億円)、経常損失7.3億円(5億円)、当期損失34.85億円(5.6億円)と大幅に下方修正した。同社は繁忙期の第4・四半期(5−7月)で業績を持ち直すと見ていたが、同四半期の売上高は景気減速や個人消費の低迷などにより、前年同期比で68%も落ち込んだ。また減損損失を含む特別損失28億円を計上することにした。なお同社の株式時価総額は6月末に5億円未満に下がったので(8月末現在約1.6億円)、09年3月までに5億円以上に戻さないと上場廃止になるとされている。




 ◎ 業界紙「ゲームマシン」は1974年以来、TVゲーム機を含む業務用アミューズメントマシン、遊園施設などに関する業界ニュースを、月2回のペースで伝えてきましたが、印刷媒体は2002年6月一杯で休刊しました。