2006年7月15日号

Last updated on July 11, 2006

特報

 ソニーは海外子会社との移転価格税制を指摘され、279億円の追徴課税を受けた。

 USJは役員を削減、業績も回復基調で、株式上場を準備。

海外

 ルーマニアのドラキュラテーマパークは政府が建設を断念した。

 ウォルトディズニー社の次期会長はペッパー氏に決まった。

国内

 タイトーの西垣社長は会長に、和田会長が社長に。

 警察庁は昨秋、風営法上のボウリングの位置づけについて判断を示していた。


2006年7月15日号のニュースダイジェスト
写真はセガ社新作展・大阪会場(7月11日)にて、上はシアターキャビネットに2人で乗り込み、撃ったり叩いたりして前進する「レッツゴージャングル」。下は「アウトラン2SP」を二人用、アトラクション化した「アウトラン2SPDX」。

10年前の主なニュース


 台湾政府はその9割が無許可営業だった遊技場を次々と摘発、閉鎖に追い込んだ。セタはニンテンドウ64に基づく業務用システム基板を開発した。ナムコとコナミはそれぞれ新作展を開催し、ナムコ「アクアジェット」やコナミ「ジェットウェーブ」など、多数の新ゲームを披露した。(1996年7月15日号)

20年前の主なニュース


 トーゴが開発した新型ローラーコースター「ウルトラコースター」の一号機が米国「グレートアドベンチャー」で完成、話題を集めた。新作展でタイトーは「アルカノイド」など、コナミは「サラマンダ」など披露した。米国ではカナダから流入する無断コピー基板の摘発が続いている。(1986年7月15日号)


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【ニユースダイジェスト】

 1.「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」を運営するユー・エス・ジェイ(USJ、本社大阪、グレン・ガンペル社長)は6月29日、株主総会と取締役会を経て、取締役を16人(うち非常勤11人)から11人(5人)に削減するとともに、元日本トイザらス役員の飯田浩司氏を取締役ファイナンス・アドミニストレーション本部長に選任した。元大阪市助役の佐々木伸会長は退任、市出身の常勤役員はいなくなった。06年3月期決算は売上高が3%減の682億円だったが、営業利益は14億円で、借り入れ金利など削減して経常赤字は5億円(前期は31億円)に減少、一時費用など特別損失40億円を計上して、当期赤字は46億円(51億円)となった。同社は近く株式の上場を申請すると見られている。

 2.スクウェア・エニックスは6月26日、子会社タイトーの西垣保男社長が7月1日付で代表権のある会長に、代表権のなかった和田洋一会長が社長になるとのトップ異動を発表した。タイトー新社長となる和田洋一氏は東大法卒、84年野村證券に入社。00年スクウェアに入社し、取締役COO、01年9月代表取締役同、同12月社長兼CEO、03年4月からスクウェア・エニックス社長。タイトーがスクウェア・エニックスの完全子会社になるのに伴い、今年2月からタイトーの取締役会長を兼任してきた。47歳。タイトーで代表取締役は、林隆副社長、飯沢幸雄専務を含め、これで4名となった。なお和田洋一氏は5月25日の通常総会を経て、辻本憲三氏に代わり、CESAの会長に選任されている。

 3.ドラキュラ伯爵にちなんだテーマパークの建設計画は、ルーマニアで持ち上がって以来、二転三転していたが、計画そのものがとうとう取り消しになった。ブルームバーグニュースが7月5日に報じた。首都ブカレストに近いスナゴフにある国有地(458ヘクタール)に建設するという04年の政府計画は、実現の可能性が十分に明記されていないため、必要な投資を引きつけることができず、その結果、カリン・タリチェアヌ現政権は計画を撤回せざるをえなかったと説明している。01年から始まった「ドラキュラパーク」構想は、当初の建設予定地シギショワラをスナゴフに変えても建設に必要な資金計画のめどが立たず、用地を確保してきた政府も計画を断念したため、完全になくなった。

 4.「8号」の風俗営業で対象となる遊戯施設について、警察庁は昨年10月にも、デジタルダーツは対象になるが、同様に遊戯の結果がデジタル表示されるボウリングは「元来スポーツだから射幸心をそそらない」ので対象とならない、との見解を示していることが判明した(05年10月17日、参議院内閣委員会)。警察庁の竹花豊生活安全局長がこの日の国会で明らかにしたもので、「人の身体の力を表示する遊技の用に供するものその他射幸心をそそるおそれがある遊技の用に供されないことが明らかであるものを除く」との規定を引用したうえで、ボウリングは「射幸心をそそるおそれのある遊技の用に供されないことが明らかである」からとしている。ではどういう論理構造で「明らか」となるかは、いぜんとして不明。

 5.ソニーは6月30日、ソニーと完全子会社のSCEが東京国税局から744億円の申告漏れを指摘され、約279億円の追徴課税を受けることになったと発表した。米国SCEなど海外子会社と取引を行なう際の取引価格が、独立企業間価格と異なる、と判断される「移転価格税制」によるもので、国税局はソニーおよびSCEの99−04年度申告分の修正を命じた。ソニーおよびSCEは適正な納税をしており、今回の処分に対し異議を申し立て、二重課税防止のための租税条約に基づく二国間協議開始を申請する、としている。「移転価格税制」については、先ほどカプコンが3月に51億円の申告漏れを修正、17億円の追徴課税を命じられ、異議申し立てをした例がある。

 6.米国ウォルトディズニー社は6月28日、次期会長に社外取締役で、プロクター&ギャンブル(P&G)社前会長のジョン・ペッパー氏(67歳)を選任したと発表した。マイケル・アイズナー氏が会長を退任した後も同社トップ人事は揺れており、04年3月以来、同社会長には、ジョージ・ミッチェル元連邦上院議員(72歳)が就任しているが、06年末に退任する予定で、その後任会長の人選が注目されていた。特にウォルトディズニー社が今年1月、ピクサー社を買収したのに伴い、ピクサー社の会長兼CEOでもあるアップル社のスティーブ・ジョブズCEO(51歳)が取締役になっており、ウォルトディズニー社の会長に就任する可能性が取りざたされていた。

 7.鹿砦社の松岡利康社長に対し、神戸地裁の佐野哲生裁判長は7月4日、懲役1年2ヵ月、執行猶予4年(求刑懲役1年6ヵ月)の有罪判決を言い渡した。これは神戸地検が05年7月、阪神タイガースにいたM氏とK氏、およびアルゼの岡田和生会長と及川麻子元取締役に対する名誉毀損容疑で摘発し(起訴は8月)、半年以上も松岡氏を拘留した事件で、判決ではプレイモアやサミーにも言及するもの。名誉毀損罪は憲法で保障される「表現の自由」と調和させるため、「刑法230条の2」で事実の公共性、目的の公益性、真実性の証明(錯誤を含む)の3要件があれば処罰しないと定めている。判決要旨によると、阪神事件について前の2要件を認めたが、真実性を否定し、アルゼ事件については事実の公共性を部分的に認めたが、目的の公益性は認めず、真実性は判断しなかった。松岡社長は「悪意に満ちた判決」として控訴する予定。



 ◎ 業界紙「ゲームマシン」は1974年以来、TVゲーム機を含む業務用アミューズメントマシン、遊園施設などに関する業界ニュースを、月2回のペースで伝えてきましたが、印刷媒体は2002年6月一杯で休刊しました。