2004年11月15日号

Last updated on November 8, 2004

特報

 セガ社とサミーが合同でプライベートショーを開催し、「三国志大戦」などを披露した。

 ソニーの中間決算のうちゲーム部門は大幅減収で営業赤字になった。

海外

 米国の連邦地裁は操作盤タイプのTVゲームコピー品に対し、一時的禁止命令を出した。

 米国の業務用販売ベテラン2名がウルトラケード社に転職した。

国内

 バンプレストは中間決算で大幅に回復し、アトラスも黒字回復した。

 アルゼ、アドアーズなどは業績予想を大幅下方修正した。


2004年11月15日号のニュースダイジェスト

写真はセガ社/サミーのプライベートショー(東京会場)で。上の写真(左から)セガ社の鈴木義治常務、エイト・レジャー物産の富田典宏社長室長、山井武男専務、セガ社の森啓二上席執行役員。下の写真はセガ社「三国志大戦」を説明しているようす。


10年前の主なニュース


 韓国のソウル地裁はカプコン「ファイナルファイト」のコピー基板を製造販売した2業者に、損害賠償を命じる判決を出した。米国TWI社は米英で「T−Mek」ツアーを実施した。セガ社は通信カラオケ販売子会社のSMNを設立した。AOUは二人の名誉顧問に対する感謝会を開いた。金子製作所が三鷹に本社を移転した。(1994年11月15日号)

20年前の主なニュース


 米国AMOAエキスポでLDゲーム機に代わり、座席が浮かぶTVゲーム機が注目された。コナミはインターロジック社を吸収し、米国コナミをシカゴでスタートさせた。米国マイルスター社のフリッパー事業は新会社のプリミア・テクノロジー社に買い取られた。新風営法の85年2月施行が正式に決まった。(1984年11月15日号)

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【ニユースダイジェスト】

 1.セガ社とサミーは11月2日東京でプライベートショーを開催、セガ社のネットワークカードアクションゲーム「三国志大戦」などを披露した。来春出荷を予定している「三国志大戦」はシステム基板にチヒロを使用、フラットリーダーを使用したキャビネットでプレイヤーが置いたカード情報を読みとる。オールネット対応で、ゲームの進行に応じて次第に能力値が高くなるというシステム。セガ社が紹介したTVゲームはこのほか、バージョンアップ版の「アウトラン2スペシャルツアー」、前回披露した「セガゴルフクラブ・ネットワークプロツアー」、サイクラフト版の「頭文字Dアーケードステージver.3」、そしてグレフが開発した対戦型シューティングゲーム「旋光の輪舞」(来春発売)。「旋光の輪舞」はこれまでにない動作と画面の美しさで来場者を魅了した。サミーはアトミスウェーブ用のSNKプレイモア「ネオジオコロシアム」、「拳獣」、「ネットセレクト競馬」を紹介した。大阪では4日、福岡では9日に開催された。

 2.米国シアトルにある連邦裁判所は10月29日、各地のショッピングモールで販売されていた家庭用NES(米国版ファミコン)ゲームを内蔵した「スーパージョイ」、「スーパージョイスティック」、「パワージョイ」、「パワープレイヤー」などの輸入、販売を禁止する一時的命令を出した。これらの製品は中国で製造されたもので、「ニンテンドウ64」の操作盤とそっくりのコンソールの中に何十種類ものTVゲームの無断コピーを内蔵しており、コンソール自体も操作盤の働きをしているのが特徴的である。内蔵されているゲームは「ドンキーコング」など、今では古典的といえる名作ばかりで、それを操作盤の中に入れてしまったことから、無断コピー品も新たな時代に入ったと言われている。これらがショッピングモールのワゴンで販売されているとの通報を受けた米国任天堂は、輸入販売元の2社を相手取って販売禁止と損害賠償を求めて提訴しており、その一環として一時的命令が出されたもの。予備的禁止命令については審査中。

 3.ソニーは10月28日、第2・四半期(7‐9月期)と9月中間決算「米国基準」を発表し、家庭用TVゲームを扱う「ゲーム」部門では第2・四半期に売上高が前年同期比25.8%減の1,196億円、営業損失が11百万円(前年同期は22億円の利益)、中間期では売上高が21.5%減の2,250億円、営業損失が29億円(前年同期は39億円の利益)と後退したことを示した。第2・四半期に出荷したハードウェア(本体)は、「PS2」が前年同期より679万台少ない199万台、「PSOne」が36万台少ない60万台で、大幅に減少しているが、これは新型「PS2」への移行を前に意図的に出荷を抑えたためとしている。同時期のゲームソフトは「PS2」用が12百万枚多い56百万枚、「PS」用が7百万枚少ない3百万枚で、「PS2」用が伸ばして増収となった。なお、「PS2」の生産を中国での外注生産に移行したため、エレクトロニクス分野とゲーム分野のセグメント間取引が大幅に減少した。またこれまでゲーム分野に含めていた半導体製造事業の棚卸資産を、今回からエレクトロニクス分野で計上したとしている。

 4.バンプレストは11月4日、9月中間期連結決算を発表、売上高が前年同期比22.2%増の17,023百万円、経常利益が264.8%増の1,472百万円、中間利益が579.1%増の658百万円、と順調に業績を回復させた。同社は8月に浅草花やしき事業を継承済みであるが、プレジャーキャストへのゲーム場運営事業移管は10月から12月に延期している。部門別ではアミューズメント(機器、景品の販売、ゲーム場と遊園地運営)の売上高が10.1%増の8,812百万円で、営業利益は11.7%増の607百万円。家庭用ゲームソフトの売上高は44.4%増の4,830百万円、営業利益は306.5%増の968百万円、その他の売上高は22.9%増の3,939百万円、営業利益が21百万円(前年同期は69百万円の赤字)だった。

 5.アトラスは11月5日、9月中間期連結決算を発表、売上高は前年同期比13.7%増の8,274百万円で、経常利益は245百万円、中間利益は87百万円と黒字回復した。部門別では写真シール機などの業務用の売上高が17.6%減の1,950百万円で営業利益が16百万円(前年同期は赤字)と減収黒字回復、家庭用は売上高が71.9%増の2,756百万円で営業利益が242百万円(同)で増収黒字回復、ゲーム場運営は売上高が6.2%増の3,515百万円で営業利益が48.8%減の220百万円で増収で大幅減益、新事業の遊技機は売上高が51百万円で、営業損失が3百万円だった。ゲーム場は8月に大和店をオープンし、野田店を閉鎖した。下半期では高崎店、甲府店、石和店を開設する予定。投資有価証券売却益や貸倒引当金戻り入れ益などで312百万円の特別利益を、また家庭用での棚卸資産評価減と廃棄損、不採算店の固定資産除去損などで448百万円の特別損失を計上した。

 6.タイトーは11月1日、米国のPCゲームソフトメーカーであるバルブソフトウェア社から「ハーフライフ2」の許諾を受けて、業務用として来年夏に出荷する予定になったと発表した。「ハーフライフ」はバルブソフトウェア社が98年に発売した、移動しながら撃ち合うという1人称シューティング(FPS)ゲームで、3D画像と完成度の高いシナリオにより高い評価を受け、シリーズで1千万枚も売れるヒット作となっており、その続編「ハーフライフ2」もPCゲームとして発売されつつある。タイトーでは後者をシステム基板「タイプエックス」により業務用に移し替えることにしたもので、繊細な画像表現を表現するためワイド画面用にし、サウンドも5.1デジタルサラウンドシステム対応にする予定。また1人用の「ストリートモード」と、多人数用の「バトルモード」を備え、バトルモードではインターネットを利用したタイトー専用サーバーに接続して、タイトー「ネット・エントリーシステム」(NESYS)を活用、複数の仲間とともにゲームを進めることになる。タイトーはこのゲームで国内だけでなく世界へと販売を広げる構えである。

 7.アルゼは10月28日、9月中間期と05年3月期業績予想を大幅に下方修正し、中間期で赤字になるが通期で黒字を維持するとの見通しを明らかにした。中間期連結売上高は8月の前回予想を37%下回る360億円、経常損益は13億円の赤字、最終損失は67億円に修正した。同社の説明では、開発したパチスロ機の新機種がすべて認可されず、発売したパチンコ機も大きく計画を下回ったため、売上高が急落したためで、米国ウィンリゾート社株式のみなし売却益による特別利益47億円があるものの、パチスロ機の部材や在庫品の評価減104億円を含む特別損失138億円を計上するので、中間赤字の見通しとなった。しかしながら10月以降はパチスロ機とパチンコ機をそれぞれ3機種発売する予定で、販売見通しが立っているので、通期はやや持ち直して連結売上高は前回予想を46%下回る1040億円、経常利益が71%下回る132億円、最終利益が98%下回る4億円にとどまる、となお強気の予想をしている。

 8.アルゼの子会社であるアドアーズとセタも10月29日、大幅下方修正を発表した。アドアーズの9月中間期業績は、売上高が5月の前回予想を13%下回る98億円、経常利益は49%下回る6億8千万円、中間利益は81%下回る1億円を見込むことになった。オープンした新規4店のオープン時期が遅れたのと、台風や猛暑の影響による利用客の減少などによるとしている。通期業績予想は修正していない。セタの9月中間期連結業績は、売上高が5月の前回予想を47%下回る9億円で、経常損失が133百万円、最終損失が177百万円と一転して赤字見通しになった。通期では売上高が45%下回る36億円、経常利益が76%下回る312百万円、最終利益が82%下回る232百万円を見込んでいる。セタは今年3月に出荷したパチンコ用ICカードシステム「PC4」が販売体制の見直しにより計画を大幅に下回ることになったのに加え、業務用ゲーム基板の在庫評価損35百万円を特別損失に計上するため、と説明している。

 9.ラウンドワンは11月2日、9月中間期と05年3月期の業績予想を下方修正した。これは過去2年間ほど好調だったことの反動と猛暑、台風、アテネ五輪などの影響を受け、既存店で予想以上に売り上げが伸び悩んだことによる。中間期では売上高が5月の前回予想を5億円ほど下回る約165億円、経常利益が6億円ほど下回る約39億円、中間利益が3億円ほど下回る約23億円と下方修正した。出店ペースを上げていくが、通期についても売上高が18億円下回る約358億円、経常利益が13億円下回る約90億円、最終利益が約8億円下回る約51億円と下方修正した。同社ではボウリング場は05年春ごろ回復に転じるが、ゲーム場の回復は05年夏ごろまでかかると見ている。

 10.米国サンノゼにあるウルトラケード・テクノロジー社は10月、業務用販売のベテラン、エレーヌ・シャーリーさんとルー・ルドルフ氏を販売責任者に加えた。これは同社「タイトー・アーケード・クラシックス」や「フィーディング・フレンジー」が好評で、販売スタッフを強化する必要があるため。シャーリーさんはアタリ社業務用/アタリゲームズ社などで約30年の販売経験があり、ウルトラケード社では販売担当副社長になる。メリット社、ダイナモ社、グローバルVR社で約30年販売を担当してきたルドルフ氏は、ウルトラケード社では国際販売を担当する。一方、グローバルVR社では大株主の投資会社からブラッド・ネルソン氏が社長に就任し、元アタリゲームズ社社長のダンバン・エルダレン氏が相談役に就任した。エルダレン氏は73年にアタリ社に入社し、同社業務用の開発を担当、95年からアタリゲームズ社の最後の社長となったが、03年に引退、このほどグローバルVR社で相談役として手伝うことになった。


 ◎ 業界紙「ゲームマシン」は1974年以来、TVゲーム機を含む業務用アミューズメントマシン、遊園施設などに関する業界ニュースを、月2回のペースで伝えてきましたが、印刷媒体は2002年6月一杯で休刊しました。