2004年11月1日号

Last updated on October 27, 2004

特報

 タイトーの中間決算はゲーム場運営が下回ったが、販売が好調で増収増益となった。

 ゲーミング機の展示会、米国G2Eにコナミゲーミング社などが出展した。

海外

 EU欧州委員会はギリシャのゲーム機禁止法問題で、欧州司法裁判所に提訴した。

 タイトーは海外向けプライズゲーム機「コンボイ」をAMOAエキスポに出品した。

国内

 サミーがアビリットから訴えられている実用新案を無効とする高裁判決が出た。

 ナムコは「太鼓の達人」シリーズで初めて、海外バージョンを発売することになった。。


2004年11月1日号のニュースダイジェスト

写真は米国AMOAエキスポ04にて、上はサミーUSA社の「ダーティービッグスキン・フットボール」。下はロースリル社のTVドライブゲーム「ファースト・ファリウス」。


10年前の主なニュース


 米国AMOAエキスポ94(サンアントニオ)でミッドウェー社は、任天堂のCG技術を導入した「クルージンUSA」を披露した。セガ社は家庭用アタリコープが起こした特許訴訟を、9千万ドル支払うことで和解した。セガ社は家庭用「サターン」の11月国内販売を発表した。JAMMAと日経新聞がマルチメディア・シンポジウムを開催した。(1994年11月1日号)

20年前の主なニュース


 東京都アミューズメントオペレーター協会が発足し、新風営法に対応するための都道府県協会設立の動きが具体化しつつある。NAOの内田博会長は理事会で、SCロケが風営法の対象とならないことが確定したとして、別に協会を設立する計画を明らかにした。米国コロムビア映画社はマイルスター社(旧・ゴットリーブ社)の業務閉鎖を発表した。(1984年11月1日号)

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【ニユースダイジェスト】

 1.タイトーは10月27日、9月中間期決算(非連結)を発表し、売上高は前年同期比10.2%増の43,331百万円、経常利益は15.4%増の2,742百万円、中間利益は0.6%増の1,692百万円と堅実に増収増益を示した。部門別売上高では、主力のゲーム場運営が猛暑や台風のため客足が3%ほど減ったため、4.8%減の21,181百万円に後退した。なお直営店は「セイアット秋葉原」など6店新設した。業務用販売は「ダイノキング2」、「カプリチオG−ONE」などとともに新製品「ゾイドインフィニティ」が好調で、83.1%増の10,520百万円と伸ばし、業務用カラオケも販売が43.3%増の1,037百万円、レンタルが2.1%増の2,092百万円と増やしたが、家庭用ゲームソフトは21.9%減の2,687百万円にとどまった。携帯電話向けなどのコンテンツサービスは6.1%増の4,598百万円、その他は22.7%増の639百万円だった。

 2.サミーはアビリット(旧・高砂電器産業)からパチスロ機に関する実用新案権侵害で訴えられているが、東京高裁は10月19日、この実用新案を無効とする審決を支持する判決を出した。アビリットの実用新案の内容はスタートレバーを叩いた場合でも自動的にスタートさせるというもので、その実用新案権を侵害されたとしてアビリットは02年7月、サミーに対して114億円余りの損害賠償を求める訴訟を起こしており、この訴訟は大阪地裁で現在も係争中。ところがこの実用新案についてオリンピアが無効審判を請求し、特許庁は03年6月に実用新案を無効とする審判を出したため、アビリットはこの審決の取り消しを求めて同7月に東京高裁に提訴していた。セガサミーホールディングは10月21日、アビリットの請求を棄却した今回の東京高裁判決は、大阪地裁で係争中の実用新案訴訟に反映されると説明している。

 3.ナムコは音楽ゲームのヒット作「太鼓の達人」シリーズで初めて海外版を開発し、10月27日から家庭用PS2向けに「タイコ・ドラムマスター」として北米市場で発売することになった、と10月20日に発表した。「太鼓の達人」シリーズは和太鼓を叩くという分かりやすいゲームで、業務用で01年2月に発売されて以来、日本国内ですでに業務用で4,700台、家庭用で約230万枚を販売しているほか、携帯電話用や高齢者向けリハビリ用にも提供している。北米市場向け家庭用もコンセプトは同じで、「フォスターズメドレー」など北米の人々に馴染みのある31曲に合わせて、同梱する「タイココントローラー」(日本名はタタコン)で太鼓を叩いていくもの。米国家庭用子会社のナムコホームテック(本社サンノゼ、笠原信寛社長)からセット価格59ドルで発売されることになっている。

 4.ゲーミング機器の世界的な展示会、グローバル・ゲーミング・エキスポ(略称G2E)04(10月5‐7日、ラスベガス)には約700社が出展し、世界各国から約2万5千人が登録入場し、新タイプのスロットマシンなどに関心を持った。米国のIGT社、バリーゲーミング社、WMSゲーミング社、豪州のアリストクラット社、日系のコナミゲーミング社など主な出展社のほか、日本のマツイゲーミング、日系のアサヒセイコウUSA社などが出展した。G2E04のテープカットには映画俳優のクリント・イーストウッドが参加したが、これはWMSゲーミング社のスロットマシン、「フィストフル・ダラーズ」でかれのキャラクターが使用されているため。小額のコインを使用する代わりに、チケットを投入し、チケットが払い出されるというスロットマシンも注目された。米国では最近カリフォルニア州でインディアンゲーミングの拡張が承認されるなど、市場はいぜん拡大傾向にあるため、こうしたゲーミング機の需要は伸び続けている。G2Eはそれまであったワールドゲーミング展の代わりに、ゲーミング機業界団体のAGA主催で01年から始められたが、当初と比べると規模はかなり大きくなった。

 5.米国AMOAエキスポ04では、ナムコアメリカ社の小間で、タイトーが海外向けに開発製造したプライズゲーム機「コンボイ」が出品され、これは米国でナムコアメリカ社が販売を担当することになるが、タイトーではこれを手がかりに、海外市場への進出をさらに具体化する見通しになっている。タイトーはかつて最も大量に業務用TVゲーム機を輸出していた時期があるが、90年代後半に米国家庭用市場が後退したのに伴い、米欧にあった販売子会社を整理した。このため海外の販売拠点がなくなったが、輸出を断念したわけではなく、今年1月のATEでナムコヨーロッパ社の協力を得て久しぶりに出展するなど意欲を示している。またタイトーは、「アルカノイド」などかつてのヒット作20タイトルを集めた米国ウルトラケイド社の新作「タイトー・アーケード・クラシック」にもライセンスしており、これらを通じてタイトーのゲームが見直されるなど、海外進出に有利な条件が整いつつある。

 6.EU(欧州連合)欧州委員会は10月14日、ギリシャのゲーム機禁止法がEUの法令に違反しているとして、ギリシャ政府を欧州司法裁判所に提訴した。ギリシャでは02年初めに違法な賭博営業がはびこり、その対策を論議する国会の役員までもが違法なスロットマシンで賭博をしているところをマスコミで取り上げられたため、政府決定でプールテーブルを除くすべてのゲーム機を禁止した上、同7月に国会でPC向けや家庭用を含むあらゆるコンピューターゲーム機を禁止する法律が成立した。これに対しインターネットカフェの経営者が訴訟を起こし、同10月にはこの法律が違憲立法に当たるとの判決が出たため、議会は規制対象を「金銭的な利益を得られるものに限る」と改正したが、それでも事実上PC向けや家庭用までもがなお取り締まり対象となっていた。このため業者はEUに訴え、EUはギリシャ政府にこの法律を廃止するよう警告してきたが、いっこうに是正されないため欧州司法裁判所に提訴したもの。ギリシャ政府および国会にしてみれば、「害のないビデオゲームと賭博営業のためのゲーミングビデオ」の区別は不可能としており、それが原因でこんな混乱がすでに2年も続いているが、日本でも同じような理由で「8号」の風俗営業(ゲームセンター等)の規制に関して、混乱が20年以上も続いたままとなっている。


 ◎ 業界紙「ゲームマシン」は1974年以来、TVゲーム機を含む業務用アミューズメントマシン、遊園施設などに関する業界ニュースを、月2回のペースで伝えてきましたが、印刷媒体は2002年6月一杯で休刊しました。