2004年2月1日号

Last updated on January 22, 2004

特報

 トーゴは債権者の整理回収機構が会社更生法を申請したため、保全命令を受けた。

 SNKプレイモアの著作権などをアルゼが侵害した、と大阪地裁が中間判決を出した。

海外

 イタリアでAWP機の使用が正式に認められることになった。

 ブッシュネルのユーウィンク社が株式公開会社となった。

国内

 写真シール機特許でIMSを訴えていたオムロンに対し、大阪地裁は訴えを退けた。 

 タイトー、サミーがそれぞれ新作展を開いた。


2004年2月1日号のニュースダイジェスト

上の写真はタイトーが海老名開発センターで開いた内覧会で「ゾイドインフィニティ」など。下の写真はSNKプレイモアのパチスロ機「メタルスラッグ」発表会のようす。


10年前の主なニュース


 タイトーのクレーン用景品「クレヨンしんちゃん」の偽物が出回ったため、愛知県警が3名の業者を著作権法違反で逮捕した。セガ社は中国のファーハン国際文化発展公司と合弁会社設立で合意した。ナムコは初のディベロッパー事業として横浜に「ワンダーシティ」をオープンした。セイブ開発は新作展で「雷電U」を披露した。テクモは浜松研究開発センターを開設した。ジェイアールイーの末佐喜一社長が死去した。(1994年2月1日号)。

20年前の主なニュース


 米国のユニバーサル映画社が任天堂「ドンキーコング」を商標権侵害で訴えていたが、連邦地裁は同映画社に権利はないとの略式判決を出した。コピー基板を米国に輸入しようとしたナサ・トレーディングの3名に禁固刑が言い渡された。警察庁は「賭博に使用されるおそれのある遊技機」に関する調査結果を発表した。アタリ社のドン・オズボーン業務用副社長が死去した。大阪娯楽機製作所の雅楽孝之社長が死去した。(1984年2月1日号)。

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【ニユースダイジェスト】

 1.潟gーゴ(東京都台東区浅草、山田朋一社長)は1月19日、債権者である整理回収機構(RCC)が東京地裁に会社更生法手続きを申請したため、保全命令を受けた。負債は約82億円。同社は1935年4月に創業、49年6月に法人成りした東洋娯楽機が、84年10月現社名に改称したもので、大型から小型の遊園施設を開発製造しながら、遊園地「浅草花やしき」などを直営、また各地の大型遊園地で委託を受けて運営していた。特に「スタンディングコースター」などローラーコースターの設計・建設では世界的に優れた技術を持つことで知られている。本社は昨年9月、目黒の本社ビルから移転していた。米国にも進出していた94年7月期には売上高124億円を計上していたが、長引く不況で伝統的な遊園地の入園客数が落ち込むなど経営環境の悪化が続いたため、02年7月期には34億6千万円まで落ち込み、45億8千万円の赤字となっていた。しかも02年から03年にかけ金融機関からの借入金がRCCに譲渡され、RCCは民事再生など経営再建を目指していたが、トーゴ側の協力が得られないとして会社更生法手続きを選んだ。なお「浅草花やしき」の営業は継続される。

 2.大阪地裁は1月15日、SNKプレイモアが持つ著作権と商標権をアルゼが侵害したと認定する中間判決を出した。中間判決は知的所有権侵害事件の早期解決を図るため採用されているもので、損害賠償の金額と差し止め命令についてはさらに審理を継続する。破産したSNKの知的所有権の譲渡先については、アルゼも入札したが、SNKプレイモアが01年10月30日に落札して一括譲渡を受けており、それ以降アルゼが侵害した著作権などについて、SNKプレイモアが02年2月と同10月に計5件提訴していたもの。中間判決は、SNKプレイモアが著作権を所有する図柄や画像、キャラクターなどをアルゼが無断複製又は翻案して、パチスロ機「クレイジーレーサーR」、「爆釣」、「イレグイ」とPS2用ゲームソフト「パチスロ・アルゼ王国6」、「同7」を製造販売したなど、SNKプレイモアが訴えた事実をすべて認定した。SNKプレイモアはこの訴訟で計56億4,240万円の損害賠償を求めている。中間判決についてアルゼは1月19日、事実誤認であり終局判決後直ちに控訴するとの考えを示している。

 3.SNKプレイモア対アルゼ訴訟で、アルゼは「アルゼ社内で行なった映像ソフト開発にSNKの社員を研修チームとして参加させたものに過ぎないのに、SNKがこれらソフトの著作権がSNKに帰属すると主張した上、破産管財人を介してSNKプレイモアに売却したように装ったものだ」と主張した。これに対し大阪地裁の第21民事部(小松和夫裁判長)は中間判決理由で、アルゼとSNKとがそれぞれ分担して開発したものであり、SNKは分担部分についての著作権使用許諾を含めた開発委託契約の締結を求めていたが、アルゼはその申し出を認識しつつ契約に応じなかったことを認めた。SNKの社員が作成した液晶画面などの著作権はSNKに帰属することが認められた。破産に伴い破産管財人は裁判所の許可を得て、SNKの知的所有権をプレイモアに譲渡したことが確認された。アルゼはSNKへの貸し付け支援により著作権の対価を間接的に十分支払ったと主張したが、判決は「SNKの発行済み株式の50.88%を所有しているにすぎないアルゼがSNKの事業の成果を無償で使用できることにはならない」と断じた。

 4.写真シール機の特許を侵害されたとしてオムロンが、アイ・エム・エス(IMS)を相手取って写真シール機「ぱれっと」製造販売の差し止めと損害賠償金1億8千4百万円を支払うよう求めていた訴訟で、大阪地裁は12月25日、オムロンの特許自体に無効理由があるとして、訴えを退けたことが分かった。オムロンは左右のストロボを備えた写真シール機についての特許を2000年7月に申請、特許庁は01年8月に登録しているが、この特許については第三者から02年4月に異議申し立てが行われ、またIMSが02年6月に提出したものを含め複数の無効審判請求が出ていた。このため特許庁は03年3月に特許無効の審決を行ない、オムロンは東京高裁に審決取り消し訴訟を起こしている。大阪地裁では、東京高裁での訴訟結果を待たず、オムロンの主張する特許について検討し、これは既存の特許に基づき業者が容易に発明できるものであり、特許法29条2項の無効理由があるので、請求は権利の乱用に当たるとした。オムロンは今回の敗訴についてニュースレリースを出していない。

 5.任天堂は1月21日、液晶画面とCPUをそれぞれ2個使用する新タイプのハンドヘルドゲーム機を年末にも発売する、と発表した。これは折り畳み式で、3インチTFT液晶画面を二つ使用し、32ビットのCPUをそれぞれ2個使用することから、例えばサッカーゲームで、フィールド全体をひとつの画面で表示し、もうひとつの画面で選手のようすをクローズアップするというような使い方ができる。仮称は二画面(ダブルスクリーン)の頭文字から、「ニンテンドウ・ディーエス(DS)」。5月にロサンゼルスで開かれるE3で、プレイ可能な状態でこれを披露する予定。本体価格は未定だが、2万円以下となるもよう。家庭用ゲームソフト業界ではハードの性能向上によるグラフィックスの豪華さや、凝ったゲームシステムのためゲームソフト開発が行き詰っているが、任天堂ではそうした従来のゲーム作りとは質的に異なる方向での新しい娯楽体験を提供するとして、「DS」を開発したと説明している。

 6.タイトーは1月15−16日、海老名開発センターの特設会場で内覧会を開き、業務用TVゲーム機「ゾイドインフィニティ」とプッシャータイプのメダルゲーム機「スルーラグーン」を関係業者に披露した。約100社、200人が訪れた。「ゾイドインフィニティ」は03年9月に開発計画が発表されていたもので、83年の発売以来累計2千万個も売れているトミーのキャラクター玩具「ゾイド」に基づき、トミーと提携して開発された。プレイヤーは移動、ジャンプ、武器の装備と発射を操作し、闘いながら成長していく。そのデータはICカードに記録され、またタイトーのNESYSネットにつなぐことで、新しい遊びが楽しめる。コックピット型で、カードベンダーも用意される。またサミーは1月16日、東京と大阪でプライベートショーを開催し、TVゲームではアトミスウェーブ(AW)用ゲームソフト「ザ・ランブルフィッシュ」などを紹介した。「ザ・ランブルフィッシュ」は2Dながら3D同様の滑らかな動きやグラフィックスを可能にした格闘ゲームで、3月出荷予定。昨年のAMショーで披露した3D格闘ゲーム「フォースファイブ」は04年春の発売予定。また「3人麻雀」など3ゲームから選択できる「ネットセレクト・サラリーマン金太郎」は3月発売の予定となっている。

 7.SNKプレイモアは1月13日、新高輪プリンスホテルで同社パチスロ機「メタルスラッグ」の発表会を開催し、パチスロ事業の本格展開を開始したことを明らかにした。パチスロ機「メタルスラッグ」は2年半に及ぶ開発を経て完成したもので、業界初の10.4インチという大型液晶画面と、キャビネットに盛り込まれたフルカラーのLEDによる演出を加えたのが大きな特徴。近く行なわれる「七号」遊技機に関する規則改正に伴い、今後パチスロはゲーム性が重視されていくと見られており、そうした遊技客の期待に応える演出になるとしている。同社は04年7月期に5機種、05年7月期に12機種、06年7月期に15機種の開発を計画しており、「事業の軸足をゲームからパチンコ・パチスロに移す」と説明している。

 8.欧州でアミューズメント・ウィズ・プライズ(AWP)機というのは遊技の結果客が勝てば現金を払い出すゲーミング機のことを指すが、もともとゲーミング機を禁止していたイタリアでは、ここ数年違法なTVポーカー機が横行したため、それらを完全に禁止する目的で業者側の要望を採り入れ、AWP機を合法化することにした。ここに来るまで紆余曲折の過程があったが、政府はこの目的を実現するため03年11月にペイアウト率など細かい規則を含めて法制化した。すでに出回っているTVポーカー機については04年4月末まで使用できるが、5月末までにAWP機に改造するか破壊することも定められた。新法令の下で、こうしてAWP機の運営が認められることになったが、これに伴いアミューズメントのTVゲーム機で年間1,800ユーロ、AWP機で2,500ユーロの税金が課税されるようになった。イタリアがAWP機を合法化したので、ゲーミング機禁止国は欧州でフランスだけとなった。

 9.米国のuWink社(ユーウィンク、本社ロサンゼルス、ノーラン・ブッシュネルCEO)が12月5日、店頭公開しているプロローグ社に買い取られるというリバース・アクイジション(逆買収)を通じて、株式を公開した。これまでのプロローグ社の役員は退任し、ブッシュネルなどユーウィンク社の役員がプロローグ社の役員となった。この逆買収は、ファルコンキャピタルなど4社の投資会社が支援して実施されており、結果としてユーウィンク社は3百万ドルの資産を持つ株式公開会社として再出発することになった。ユーウィンク社は2000年以来、インターネットを利用したゲーム配信事業を展開している。

 10.セガ社は1月11日に本社1号館で、「ワールドクラブ・チャンピオンフットボール・セリエ2002−2003」ゲーム大会の決勝戦を開催し、東北エリア代表のベガルタシンキチU5が優勝、東海エリア代表の国分タイチが準優勝を決めた。このゲーム大会は03年11月からセガ社直営店を通じて全国9エリア延べ175会場で実施され、約2ヵ月間進められた最終局面で、約5,600人が参加したもの。前回(03年2−4月)を上回る盛況ぶりとなった。


 ◎ 業界紙「ゲームマシン」は1974年以来、TVゲーム機を含む業務用アミューズメントマシン、遊園施設などに関する業界ニュースを、月2回のペースで伝えてきましたが、印刷媒体は2002年6月一杯で休刊しました。