2003年5月1日号

Last updated on April 24, 2003

特報

 ナムコがセガ社に合併を提案していることが判明。サミーとどちらを選ぶかセガ社は決断を迫られることになった。

 プロ野球ゲームの独占でコナミは公取委から警告を受けた。

海外

 ナムコアメリカ社はPCアミューズメント社を業務用TVゲームの無断コピーをしたと訴えた。

 アトラスは中国で「プリクラ」を本格展開することになった。

国内

 カプコンは主力の家庭用ゲームソフトの不振で、業績予想をさらに下方修正した。

 警察庁調べで、「8号営業」の営業所数と設置台数が年々減少していることが分かった。


2003年5月1日号のニュースダイジェスト

上の写真はアトラスが上海でオープンしたプリクラ専門店「PIKAPIKA」のようす。下の写真は富士急ハイランドの透明観覧車「スケルちゃんスクムちゃん」のようす。富士急ハイランドでは、今年2月に観覧車「シャイングフラワー」の32台あるゴンドラのうち2台を透明のゴンドラにしたところ好評で、4月26日から4台に増やすことになった。同機はサノヤス・ヒシノ明昌製。


10年前の主なニュース


 任天堂はセントギガに出資、衛星放送を利用したサービスに乗り出すことになった。ナムコはCG技術導入で米国エバンズ&サザーランド社と提携した。伊藤忠商事は米国アイワークス社の映像シミュレーターの日本を含む東南アジアでの独占販売権を獲得した。JAMMAは米国AAMA会員がAMショーに出展できることにした。日本娯楽機の遠藤栄氏がJAPEAの理事を辞任した。コナミは神戸と東京の2本社制を廃止、東京に一本化した。(1993年5月1日号)。

20年前の主なニュース


 総事業費千五百億円をかけて完成した東京ディズニーランドがオープンした。タイトーが訴えていた「スペースインベーダー」コピー事件で、フジコロムとワールドベンディングに対し大阪地裁は不正競争防止法に基づき、またマコト電子に対して横浜地裁は著作権法に基づき損害賠償命令を命じる判決を下した。セガ社は九娯貿易に続きオルカとも和解した。高知県で子ども用の電光点滅式ルーレット機を使用して中学生相手に賭博をさせていた男が逮捕、起訴された。(1983年5月1日号)。

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【ニユースダイジェスト】


 1.サミーとの事業統合手続きを進めているセガ社に対して、ナムコが合併提案をしていることが判明した。ナムコは4月17日、「セガ社とは01年9月以来AM事業分野での包括提携をしており、さらに昨年より全体統合に向けての話し合いを進めていたが、セガ社の希望で一時中断していた。今回改めて、ライバル会社として互いにAM業界をリードしてきた両者が協力し合うことが最大の統合効果を発揮すると確信して、合併を提案した」との内容でセガ社への提案事実を発表した。またセガ社は同日、ナムコから「合併を前提にした申し入れがあった。セガ社ではサミーとの事業統合を協議中であり、ナムコからの提案を含め検討していく」とのコメントを発表した。サミーとの事業統合については3月中にも合併比率を含めた具体的なアウトラインが示される見通しだったが、実現しておらず、可能性は一段と小さくなったと受け取られている。一部報道によると、セガ社はサミーとナムコのいずれを統合相手にするかについて、5月初旬までに結論を出すとの考えを4月22日に明らかにしている。

 2.公正取引委員会は4月22日、コナミが社団法人日本野球機構(NPB)との間で99年8月に交わしたゲームソフトへのプロ野球データ独占使用許諾契約により、00年4月から3年間独占してきたが、コナミ以外のメーカーによるプロ野球ゲーム制作を妨害する行為があったとして、コナミに対し独占禁止法違反(不公正な取引方法)の疑いがあると警告した。コナミは契約に基づき同社以外のメーカーがプロ野球ゲームを制作する場合、コナミが申請を受けて再許諾契約することになっていたが、いわゆる肖像権問題を理由に申請を受け付けなかったり、販売を遅らせたり、断念させた事実があったとしている。そこでこのような妨害をしないようコナミに警告したもので、NPBにも注意を与えた。コナミは同日、同社だけがプロ野球ゲームを制作する権利を持っていたが、「できる限り他のゲームソフトメーカーも制作できるようにしてきた」と述べ、コナミの裁量で再許諾契約を進めてきたが、結果として公正取引委員会に理解されなかったのは遺憾だ、と説明している。なおこの契約をめぐっては、肖像権を主張する日本プロ野球選手会もコナミなどを相手取って昨年提訴している。

 3.カプコンは4月18日、03年3月期の業績予想をさらに大幅下方修正し、前年比減収で赤字幅を増やすとの見通しを明らかにした。同社は昨年9月、本社などの不動産を子会社に譲渡するため231億円の評価損を計上することで、赤字になるとの見通しを発表したが、今回発表では連結売上高が619億円(9月の前回予想では705億円)、経常利益が67億円(100億5千万円)、最終損失が195億円(127億円)となる見通しだ。同社によると、期待したPS2用「クロックタワー3」などが計画を大きく下回ったほか、GC用「バイオハザード0」なども伸ばせなかったためで、主力の家庭用ゲームソフトの不振が大きな原因になっている。またヒットが見込めない18タイトルのゲームソフトの開発を止め、「開発中止損」として約50億円の特別損失を計上することで赤字幅を広げることにした。同社は、これとともに04年3月期は売上高630億円、経常利益73億円、最終利益42億円という連結業績予想を明らかにしている。

 4.警察庁・生活環境課は4月4日、02年中の「風俗警察の現状」について発表。この中で、風営法による「8号営業」(ゲームセンター等)は02年12月末で許可営業所が11,499ヵ所あり、うち「カジノバー」は194ヵ所あったことを明らかにした。営業所数は「8号営業」となった85年以後減少傾向にあり、またそこに設置されている遊技機台数は439,937台で、97年の501,080台をピークに毎年減少している。TVポーカーなどの遊技機を使用した賭博事犯について検挙数はここ3年減少しており、02年中は95件で、34ヵ所で873人を検挙し、313台の遊技機と賭金4億2千万円を押収した。うち暴力団関係者は537人、カジノバーは25ヵ所あった。こうした遊技機使用賭博を防止するため警察庁では85年以降風俗営業に「8号営業」を加えたいきさつがあるが、実質的にはなんら防止策になっておらず、賭博と無関係なゲーム場を警察許可制の下において警察事務を増やしたに過ぎない、という批判がある。

 5.ナムコ・アメリカ社は4月9日、業務用「パックマン」や「ギャラガ」の無断コピー品を販売していたフロリダ州オーランドのPCアミューズメント社と同社のルイス・モリナリー社長を提訴するとともに、オーランドにある連邦地裁がPCアミューズメント社に対しそれらコピー品の販売を予備的に禁止する命令を出すとともに、それらのコピー品の差し押さえ命令を出したことを明らかにした。調べによると、PCアミューズメント社はキャビネットのグラフィックを含め業務用TVゲーム機やフリッパーゲーム機を修理、復元して販売してきており、インターネット上のオークションなどさまざまな方法で販売してきたが、半年前から中止している。モリナリー氏は「だれもが同じようなことをしており、違法とは知らなかった」と説明、和解を望んでいる。ナムコ・アメリカ社は「20年以上前に出たヒット作ではあるが今なお強い人気を持っており、このため数年前からミズ・パックマンとギャラガのセットを一万三千台も売り切ったほど」と述べ、知的所有権保護のために法的手続きを進める、という当然のことをしているに過ぎないと説明している。

 6.アトラスは4月23日、同社の写真シール機「プリント倶楽部」シリーズを中国で本格的に展開することにしたと発表した。15日には上海の繁華街である徐家匯(ジュージャーホイ)にパイロット店「PIKAPIKA」をオープンしており、また5月には天津市の西青経済開発特区に製造子会社、アトラス(天津)電子を設立する予定。上海では1月23日付で上海アトラスデジタル影像有限公司を設立しており、「PIKAPIKA」をはじめとするプリクラ専門店の運営に携わっている。アトラスによると、「プリント倶楽部」シリーズは95年7月のデビュー以来約8年になり、日本では「プリクラ」世代という言葉まで生まれることになった。娯楽の少ない中国では携帯電話と並んで写真シール機に対する関心が高くなっているが、写真シール機は韓国や中国製ぐらいで高級機がないため、アトラスが高級機を中国で本格的に展開することにした。天津での製造は今夏ごろ開始する予定で、初年度数百台の出荷にとどめ、三年目に黒字化、5年目に売上高50億円以上を見込んでいる。

 7.ナムコの都市型テーマパーク「ナンジャタウン」の年間入園者が過去最高の197万人となった。同園は96年7月のオープン以来、アトラクションやイベントなど追加しているが、3月末までの02年度では昨年9月に「池袋餃子スタジアム」をオープンしたことから一挙に伸ばしたもの。同園入園者は96年度の92万人から97年度の127万人に増加した後、3年間は横ばいで、01年度は115万人と下がってきていた。「池袋餃子スタジアム」はナムコの企画設計集団「チームナンジャ」が初めて手がけたフードテーマパークで、他に01年1月オープンの「横浜カレーミュージアム」、博多「ラーメンスタジアム」(01年12月)、「なにわ食いしんぼ横丁」(02年7月)など成功させている。

 8.サミー・アミューズメントの鈴木実社長が、4月9日午前4時ごろ、心不全のため東京都三鷹市にある杏林大学病院で死去。58歳。秋田県出身。自宅は青梅市の新居に移転途中だったので、連絡先はサミー・アミューズメント。告別式は鈴木家によるものと社葬の合同で、4月14日午前11時30分から、東京の護国寺桂昌殿で行なわれた。葬儀委員長はミッドウェストの中西昭雄社長、実行委員長はサミーの鈴木義治常務。喪主は妻、美子さん。鈴木実氏はタイトーで販売を担当し、86年から取締役。90年にタイトー・アメリカ社長。91年にサミーに移り、アメリカンサミーの社長を経て、サミー取締役AM本部長となり、98年に子会社のサミー・アミューズメント設立と同時に社長となった。昨年11月から体の不調を訴え、スキルス性胃がん治療のため入院していた。

 9.米国ユニバーサル・ディストリビューティング・オブ・ネバダ社(UDN)の前社長、岡田友生(ともお)氏が3月1日の正午ごろ、レシンによる中毒のためラスベガス市内のバレー病院で死亡した。60歳。現地からの情報によると、2月28日の夜自宅で、ヒマシ油から精製した猛毒のレシンを自分で注射して、異常に気がついた家人の通報で緊急病院に運ばれたが、苦しみを軽減するなどの処置を拒んでおり、薬物による自殺と推定されている。岡田友生氏は大学で薬学を学んで薬剤師となった後、双子の兄である岡田和夫氏が経営するユニバーサル(現アルゼ)に就職、日本のメーカーとして初めてネバダ州でゲーミング機販売のライセンスを取得したのに伴い、84年5月から90年8月までUDNの社長を勤めた。この間同社は80年代後半にシェアを伸ばし、最大のメーカーとなったが、89年にゲーミング機の規制が強化されたため、その後急速にシェアを失った。UDN退職後はゲーミングの仕事に一切携わっていなかったようだ。


 ◎ 業界紙「ゲームマシン」は1974年以来、TVゲーム機を含む業務用アミューズメントマシン、遊園施設などに関する業界ニュースを、月2回のペースで伝えてきましたが、印刷媒体は2002年6月一杯で休刊しました。