2003年3月1日号

Last updated on February 25, 2003

特報

 セガ社とサミーは10月1日付けで事業統合すると発表したが、株価対策のためで、統合内容はこれから検討していくとのこと。

 AOUエキスポ03ではカードを使ったオンラインのTVゲームが中心になった。

海外

 イタリアで業界が望んだAWP機が合法化されたが、混乱はいぜん続いている。
 
 米国IT社がグローバルVR社を著作権侵害で訴えた。

国内

 日本コンラックスは米国マース・エレクトロニクス社に買い取られることになった。

 プレイモアは民事訴訟で訴えているアルゼに対しさらに刑事告訴した。


2003年3月1日号のニュースダイジェスト

写真はAOUエキスポ03で、上はセガ社の「E‐Zero AC」(仮称、出荷未定)、下はカトウ製作所の音楽ゲーム「三味線ブラザーズ」(参考出品)。前者はゲームキューブ用の「F−Zero GC」と連動できるなどの特徴がある。後者は3本の弦を金属導体のバチで当てると通電する仕組み。


10年前の主なニュース

 英国の大衆紙が「TVゲームでてんかん発作が起こる」と報じたことに対し、「ゲームでは発病しない」と日本てんかん協会が見解を明らかにした。松下電気産業は年内に米国3DO社の家庭用本体を発売すると発表した。JAMMA中山隼雄会長は3協会新年会で「不合理なところなど風営法改正に取り組みたい」と述べた(1993年3月1日号)。

20年前の主なニュース

 JAMMAはAMショー出展規定に違反したボナンザ、ミクマ、コインジャーナルの3社除名を決定、東京パブコの退会を了承した。NAOショー83は申し込み期限を延長してやっと59社184小間の出展を確保した。ナムコはコモドールジャパンを著作権侵害で提訴した。アイレムの辻本憲三会長が退任した(1983年3月1日号)。

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【ニユースダイジェスト】

 1.セガ社とサミーは、10月1日付けで両社が事業統合することで合意した、と2月13日に発表した。株式交換を伴う合併の方向で進めるが、交換比率は未定。統合後の社長にサミーの里見治社長が就任する予定だが、セガ社の佐藤秀樹社長のポストや新会社の社名などは未定。発表では、両社からの委員で構成される事業統合委員会が今後検討していくとしており、6月下旬の株主総会で承認を得る予定。セガ社はこれと同時に02年12月までの9ヶ月連結決算と03年3月期業績予想の下方修正を発表した。9ヶ月決算は初めて発表するもので、売上高は150,697百万円、経常利益は8,869百万円、純利益は3,961百万円だった。うち業務用販売、ゲーム場運営は好調だったが、家庭用ゲームソフトは国内で堅調だったものの、米国で計画を大幅に下回ったとしている。このため03年3月期は売上高195,000百万円(昨年11月20日の予想では200,000百万円)、経常利益6,000百万円(9,000百万円)、最終利益500百万円(5,000百万円)と業績予想を修正した。最終利益で9割の大幅下方修正となったことから株価下落が予想され、株価対策のためサミーとの事業統合発表になったと見られている。

 2.消息筋によると、セガ社とサミーの合併計画は2月初めから、セガ社の筆頭株主(22%)であるCSKの青園雅紘社長が水面下で進めていた。サミーの里見社長はかつてCSKの故大川功氏から資金援助を受けた経緯があることや、大川氏の資産管理会社であるエス・エス・プランニングがサミーの第2位株主(19%)となっていることもある。CSKでは簿価1株2,400円でセガ社の株式を所有しているが、簿価の半額以下になると減損処理しなければならず、その損失額が数百億円にもなると見られることから、株価対策が必至になったという。しかしセガ社の株価は合併計画の発表後も下がりつづけており、青園社長の思惑は外れたのではないかと見られている。一方サミーにとっては、優秀な開発陣とAM資産を持つセガ社を手に入れることができるチャンスとなった。3月中には合併比率など事業統合に向けて、さらに具体的な枠組を決定する見通しとなっているが、統合なしのセガ社の自主再建も可能との見方もあり、いぜん予断は許されない状況となっている。

 3.AOUエキスポ03(2月21‐22日、幕張メッセ)には38社(前回44社)が633小間(697小間)に出展。TVゲーム分野ではカードを使ったネットワーク関係が増えたが、従来からの基板タイプはめっきり減った。セガ社は大型キャビネットでカード使用の「F‐Zero AC」、カード使用のボードゲーム「アヴァロンの鍵」、グレフ開発のシューティングゲーム「ボーダーダウン」を披露。コナミはカード使用のカーレース「rpmレッド」とオンライン対戦の「クイズマジックアカデミー」、ネット接続のサッカーゲーム「ウィニングイレブン2003」を出品。ナムコはガンゲーム「タイムクライシス3」、基板タイプの「青春クイズカラフルハイスクール」と、ガエルコ社製「東京コップ」を紹介した。基板タイプでは他にタイトーが「兎・山城麻雀編」、「式神の城U」、エイブルがプレイモアのネオジオソフト「新豪傑寺一族・闘婚」、サミーがアトミスウェーブ用「デモリッシュフィスト」を紹介した。またカトウ製作所の音楽ゲーム「三味線ブラザーズ」が注目された。写真シール機は高画質と携帯電話利用とに分かれ、タイトー/オムロン「きらめき絵巻」などいくつか出品された。

 4.米国の貨幣処理装置大手、マース・エレクトロニクス・インターナショナル(MEI)は2月17日、日本コンラックスの発行済み株式の全部を公開買付(TOB)方式で買収すると発表、日本コンラックスはこれに賛同することを明らかにした。TOBは2月18日から3月13日まで実施され、過去半年の平均株価より48.7%高い1株710円で買い付ける。買い付け資金は約265億円。この買い付けは発行済み株式の過半数以上を取得することが応募条件となっており、取得の結果により日本コンラックスの上場が廃止されることがありうる。MEI社では日本コンラックスを取得した後も、現体制を維持する予定だとしている。日本コンラックスは1967年に設立された日本コインコが、88年に現社名に改称したもので、主な製品は紙幣識別機とコインメカニズム。02年3月期の連結売上高は18,661百万円、経常利益は1,097百万円、最終損失は1,646百万円。MEI社は世界的なコングロマリット企業、マース社のユニットのひとつで貨幣処理事業を担当している。

 5.イタリアの国会はゲーム業界側が長年求めてきたAWP機をついに認めたが、例によって具体的な実施は先延ばしとなるもようだ。AWP機とは英国やスペインなどで実績のあるゲーミング機の一種で、一回の賭け金と払い出し金が制限されているのが特徴。イタリアの国会は12月27日、AMP機承認を盛り込む新財政法案を可決したが、その中で1回の賭け金は最高50セント(0.5ユーロ)、1回の最高払い出し金は10ユーロと定めた。ペイアウト率は90%とされ、18歳未満の者は遊技できない。但しAWP機には年間一台1万8千ユーロの運営税がかかるし、当局による監視のためネットに接続する必要がある。AWP機以外でも、1ユーロ以下の現金でない景品を提供するリデムプションゲーム機、払い出しがなく最高10回の再ゲームができるビデオポーカー機なども容認された。イタリアでは95年10月以来リデムプションゲームが合法化されたが、それを機にTVポーカーなどもともと違法なギャンブル遊技が流行し、深刻な問題となっていた。今回の法律は03年1月1日施行だが、施行に必要な規則などは決まっておらず、実際にはいつから施行されるか分からない状態が続いている。

 6.米国の業務用TVゲームメーカー、インクレディブル・テクノロジーズ社(IT、本社シカゴ郊外、エレーヌ・ディットン社長)は2月20日、「グローバルVR」を展開するバーチャルテクノロジーズ社(VT、本社サンノゼ、ミリンド・バルバカー社長)を相手取って連邦地裁に著作権侵害訴訟を起こしたと発表した。訴えによると、VT社の「グローバルVR」ブランドの業務用TVゲーム「EAスポーツPGAツアーゴルフ」は、IT社の人気TVゲーム「ゴールデンティー・フォー」の著作権を侵害しており、大きな損害を与えているので、本訴で争うほか予備的禁止命令を申請したとのこと。これに対しVT社は、根拠のない訴えであるとのコメントを発表している。IT社は「ゴールデンティー・フォー」シリーズのゴルフゲーム機をプレイヤーに対する懸賞金付きで展開して業績を伸ばしてきた。VT社の「グローバルVR」部門はPCゲームソフトを利用したVRゲーム機を展開してきており、このほど初めて単体のTVゲーム機として「EAスポーツPGAツアーゴルフ」を出荷した。

 7.「ネオジオ」資産などを継承したプレイモアは2月24日、アルゼを著作権侵害などで刑事告訴したことを明らかにした。それによると、プレイモアはまず02年7月、パチスロ機「クレージーレーサーR」の商標を侵害したとしてアルゼを警視庁に告発した。これはプレイモアが所有するパチスロ機の商標権と著作権をアルゼがPS2ソフト「アルゼ王国6」により侵害しているとの民事訴訟が起こされているにもかかわらず、なお販売しているため。次にプレイモアは2月10日、同様にプレイモア所有のパチスロ機「IRE‐GUI」と「爆釣」の著作権を侵害しているとして訴訟中であるアルゼのパチスロ機「イレグイ」が販売されているため、大阪地検に告訴した。プレイモアはアルゼに対して民事訴訟で5件約62億円の損害賠償を求めている(02年11月15日号参照)が、その最中でも侵害行為が自粛されていないとして刑事告訴に踏み切ったもの。


 ◎ 業界紙「ゲームマシン」は1974年以来、TVゲーム機を含む業務用アミューズメントマシン、遊園施設などに関する業界ニュースを、月2回のペースで伝えてきましたが、印刷媒体は2002年6月一杯で休刊しました。